【照会要旨】

 JV工事においては、資産の譲渡等及び課税仕入れはJVの各構成員が出資金等の割合に応じて行ったことになりますが(基通1−3−1)、課税仕入れに係る請求書等は幹事会社が保管し、各構成員は幹事会社から精算書(各構成員別に工事原価を計算した「完成工事原価報告書」が添付されている。)の交付を受け、これに基づき法人税、消費税の申告を行っています。
 各構成員は、この精算書を保存すれば仕入税額控除を行うことができますか。

【回答要旨】

 JV工事等の共同事業として、課税仕入れを行った場合に、幹事会社が課税仕入れの名義人となっていること等の事由により各構成員の持分に応じた適格請求書の交付を受けることができないときにおいて、各構成員は、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書のコピー及び幹事会社が作成した各構成員の出資金等の割合に応じた課税仕入れに係る支払対価の額の配分内容を記載した精算書の交付を受け、これらを併せて保存することにより、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすことになります。
 また、JVの構成員に交付する適格請求書のコピーが大量となる等の事情により、立替払を行った幹事会社が、コピーを交付することが困難なときは、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書を保存し、精算書を交付することにより、各構成員は幹事会社が作成した(立替えを受けた構成員の負担額が記載されている)精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます(基通11−6−2)。
 この場合、幹事会社は、精算書に記載されている仕入れ(経費)について、仕入税額控除が可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、各構成員が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を記載しておく必要があります。
 なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要となりますし、適格請求書のコピーにより、その仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者から受けたものか否かを確認できなくなるため、幹事会社と構成員の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。
 ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされている等の場合には、精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

【関係法令通達】

 消費税法第30条第7項、第9項、消費税法基本通達1-3-1、11-6-2

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。