【照会要旨】

 転リース会社が所有権移転外ファイナンス・リース取引により賃借した資産を他の事業者に所有権移転外ファイナンス・リース取引として賃貸する転リース取引とする場合、この転リース取引の会計処理を会計基準に従い、賃貸人として受け取るリース料総額と賃借人として支払うリース料総額の差額を手数料収入として各期に配分したとき、消費税の課税関係はどうなるのでしょうか。

【回答要旨】

 転リース会社が所有権移転外ファイナンス・リース取引により賃借した資産を他の事業者に所有権移転外ファイナンス・リース取引として賃貸する転リース取引とする場合、賃貸人として受け取るリース料総額と賃借人として支払うリース料総額の差額は手数料収入として会計処理したとしても、消費税法上、賃貸人として受け取るリース料総額を資産の譲渡等の対価に加算し、賃借人として支払うリース料総額は課税仕入れに係る支払対価の額に加算して消費税の申告を行うこととなります。

(理由等)

(1) 転リース取引
 転リース取引とは、リース物件の所有者(以下「元受会社」といいます。)から当該物件のリースを受けた会社(以下「転リース会社」といいます。)が、元受会社とのリース取引と概ね同一の条件で、さらに同一物件を第三者(リース物件の使用者、以下「エンドユーザー」といいます。)にリースする取引をいいます。

(2) リース会計基準の取扱い
 転リース会社の会計処理について、リース会計基準では、借手としてのリース取引及び貸手としてのリース取引の双方が所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する場合において、貸借対照表上にエンドユーザーとのリース取引に係るリース債権又はリース投資資産を計上するとともに、元受会社とのリース取引に係るリース債務を計上しますが、支払利息、売上高、売上原価等は計上せずに、エンドユーザーからの受取リース料総額と元受会社に対する支払リース料総額の差額を手数料収入として各期に配分し、転リース料差益等の名称で損益計算書に計上することとしています(リース適用指針第47項)。

(3) 法人税法上の取扱い
 法人税法上の取扱いについては、転リース会社において、借手としてのリース取引及び貸手としてのリース取引の双方が法人税法上のリース取引に該当する場合には、元受会社から借り受ける所有権移転外ファイナンス・リース取引については、元受会社からリース物件を購入したものとして、また、同一物件をエンドユーザーに対して貸し付ける所有権移転外ファイナンス・リース取引については、当該物件をエンドユーザーに売却したものとして所得計算を行います。
 なお、法人税法第63条第1項の適用に際しては、エンドユーザーからリース期間中に収受するリース料の合計額をリース譲渡の対価の額として、元受会社に支払うリース料の合計額をリース譲渡の原価の額と取り扱い、その所得の計算の結果とリース会計基準の処理によって計算される転リース差益の金額に差異がないと認められる場合には、リース会計基準の処理を延払基準の方法により計算したものと取り扱っても差し支えないこととされています。

(4) 消費税法上の取扱い
 消費税法上の取扱いにおいては、転リース会社が、所有権移転外ファイナンス・リース取引により賃借した資産を他の事業者に所有権移転外ファイナンス・リース取引として賃貸する転リース取引とする場合、賃借人として元受会社からのリース資産を譲り受ける取引と賃貸人としてエンドユーザーに対して同一リース資産を譲渡する2つの取引として、処理することになります。
 このため、転リース会社は、リース資産の引渡しの時に、原則として、賃貸人として受け取るリース料総額を一括して資産の譲渡等の対価に加算し、賃借人として支払うリース料総額を一括して課税仕入れに係る支払対価の額に加算することになります。
 なお、上記リース資産の譲渡の対価は、会計処理上において手数料取引として処理されますが、法人税法上において延払基準の方法による経理処理が行われたと認められた場合には、消費税法上においても、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を適用することができます。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第8号、第12号、第16条、第28条、第30条

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。