【照会要旨】

 新製品の製造を開始する場合、親会社から出向契約に基づいて派遣される社員により指導を受けることがあります。その際、親会社に対して派遣社員の給料に相当する額を給与負担金として支払うほか、旅費、通勤費、日当などの実費をも支払うこととし、親会社はそれをそのまま派遣社員に支給しています。この場合、当社が負担する給与負担金及び旅費などの実費相当額は、当社の課税仕入れとなるのでしょうか。

【回答要旨】

 親会社から出向により社員の派遣を受ける場合、派遣社員の給与の支払は本来の雇用関係に基づいて親会社が支払うことから、子会社がその給与相当額の全部又は一部を給与負担金として親会社に支払うことがありますが、この場合における給与負担金は、本来派遣先の子会社が負担すべき給与に相当する金額であることから、課税資産の譲渡等の対価にはなりません。したがって、派遣先の子会社が支出する給与負担金は課税仕入れとはならず、給与負担金相当額を受け取る親会社においては、資産の譲渡等の対価に該当せず課税の対象となりません(基通5−5−10)。
 また、派遣社員の旅費、通勤費、日当など(旅費等)を区別して親会社に支払う場合、これらの旅費等は派遣先の子会社の事業の遂行上必要なものであることから、その支払は課税仕入れに該当することになり、また、旅費などの実費相当額の支払を受ける親会社においては、派遣社員に支給すべき旅費、日当に相当する金額を預かり、それをそのまま派遣社員に支払うにすぎないから、課税の対象とはなりません。
 他社から社員の派遣(出向による派遣を除く。)を受け、技術指導等を受ける場合に支払う技術指導料は、役務の提供に係る支払対価として課税仕入れとなります。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第12号、消費税法基本通達5-5-10

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。