【照会要旨】

 線路の高架化工事を行うについて仮線路を設ける必要が生じ、鉄道事業者がその仮線路の敷地となるべき土地を工事期間(4年間)中使用することとしてその土地の所有者にその土地の使用の申出を行いました。
 ところが、その土地の所有者の一部から使用に代えて買い取って欲しい旨の請求があり、この請求に基づいてその土地の買取りが行われた場合には、収用等の場合の課税の特例の適用が認められますか。また、認められるものとした場合に、その土地について「最初に買取り等の申出があった日」はいつとなるのでしょうか。
 なお、当該事業については、土地収用法による事業認定を受けています。

【回答要旨】

 土地収用法第81条の土地の使用に代わる収用の請求は、同法第42条第2項の規定による使用の裁決申請の公告があった後に土地所有者が収用委員会に対して意見を提出することにより行うべきものとされており(土地収用法87条)、この請求に基づいて現実に収用裁決が行われ、土地等が収用されて補償金の支払があったときは、その補償金について収用特例の適用があります。
 しかし、照会の場合は、起業者と土地所有者との間の任意契約により譲渡されるものであるため、上記の収用による譲渡には該当しませんが、その事業についてはすでに事業認定がなされており、土地の使用の申出を拒めば、土地収用法の規定に基づいてその土地が使用されることは明らかであることから、土地所有者からの買取りの請求が、同法第81条第1項に規定する事情の下に行われたものであると認められるときは、その買取りについて、収用等の場合の課税の特例を適用することができます。
 なお、上記の場合における租税特別措置法第33条の4第3項の規定の適用上「資産につき最初に買取り等の申出」のあった日は、その土地について最初に使用の申出があった日によることとなります。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第33条第1項第2号、第33条の4第3項第1号
 土地収用法第42条、第81条、第87条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。