【照会要旨】

 甲は土地を譲渡するため、仲介業者A社と専任媒介契約を締結しましたが、その後甲自身がこの媒介契約に定めた価額より高い金額で買取りたいとする乙を探し出しました。そこで、甲はA社との専任媒介契約を解除し、契約条項に従いA社が媒介契約履行のために要した費用である200万円を支払い、土地は乙へ譲渡しました。
 この場合のA社に支払った200万円は譲渡費用になりますか。

【回答要旨】

 専任媒介契約は、他の不動産業者に重ねて媒介依頼することを禁止する反面、依頼を受けた業者の短期間の成約に向けての努力を期待した契約であり、通常、依頼者が自ら発見した者へ譲渡する場合には、媒介者が媒介契約履行のために要した実費相当額の費用償還金を、また、他の業者の媒介による者へ譲渡する場合には約定報酬額に相当する金額の違約金を支払わなければなりません。
 照会の費用償還金は、結果としてA社の媒介により譲渡されなかったとしても買主を捜すために要した費用と認められますから、譲渡のために直接要した費用として譲渡費用に該当します。
 また、他の業者の媒介による者へ譲渡する場合に支払う違約金についても、それが、当該資産の譲渡価額を増加させるため譲渡に際して支出したものと認められる場合には譲渡費用となります。

【関係法令通達】

 所得税法第33条
 所得税基本通達33-7

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。