【照会要旨】

 根抵当権の設定契約書は平成元年3月31日に課税廃止されていますが、現在でも引き続き課税されるものがあると聞いています。どのようなものが課税対象になるのでしょうか。

【回答要旨】

 抵当権の設定に関する契約書は、平成元年3月31日までは第14号の1文書(抵当権の設定に関する契約書)として課税されていましたが、同年4月1日以降作成されるものから課税が廃止されました。このため、抵当権の設定を約することだけの文書であれば課税文書には該当しないことになります。
 しかし、根抵当権の設定契約書のうちには、不動産に根抵当を設定する場合、その契約条項として「抵当物件について、収用その他の原因により補償金、清算金などの債権が生じたときは、債務者(担保提供者)はその債権を貴行に譲渡します。」というような文言が入っているものがあります。この文言は、一定の事由が生じた場合とはいえ、補償金等の請求権という債権の譲渡を約するものですから、第15号文書(債権譲渡に関する契約書)の課税事項に当たることになります。
 したがって、このような文書は、抵当権を設定すること自体の契約は課税事項には当たらないものの、他の記載文言に課税事項が含まれていますから、第15号文書等として課税対象になることがあります。
 なお、同じ収用があった場合でも、例えば、「債権譲渡の手続をとります。」旨の記載のものは、債権譲渡が行われることは予想されるものの、債権譲渡自体を約しているものではありませんから、第15号文書には該当しないことになります。

【関係法令通達】

 印紙税法別表第一 課税物件表の適用に関する通則5

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。