【照会要旨】

 総価契約単価合意方式は、公共工事等における受発注者間の双務性の向上の観点から、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払い代金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、変更契約や部分払いに伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施されています。
 また、その実施方法としては、単価等を個別に合意する方式(以下「単価個別合意方式」といいます。)を基本としておりますが、一定の規模以下の契約工事においては、受注者の希望により、単価を包括的に合意する方式(以下「単価包括合意方式」といいます。)も可能なものとなっています。
 いずれの場合であっても、発注者と受注者との間では、「工事請負契約書」と「単価合意書」(単価個別合意方式用)又は「単価合意書」(単価包括合意方式用)が締結されることになります。
 このうち、「工事請負契約書」は、印紙税法上、請負に関する契約書に該当することから、請負金額に応じて収入印紙を貼付していますが、契約当事者間で作成されるもう一方の「単価合意書」の印紙税の取扱いを教えてください。
 なお、「単価合意書」(単価個別合意方式用)には「単価表」、「単価合意書」(単価包括合意方式用)には「工事数量総括表」を添付する方法で作成します。

工事請負契約書

(単価個別合意方式用)

単価合意書

単価表

(単価包括合意方式用)

単価合意書

工事数量総括表

【回答要旨】

1 「単価合意書」(単価個別合意方式用)について

 「単価合意書」(単価個別合意方式用)は、工事における契約の変更に用いる単価または金額を定めるために、原契約書(工事請負契約書)で定められた契約金額(請負金額の総額)に係る工事種別ごとの単価又は金額(内訳金額)を記載して契約当事者間で合意した契約書であり、原契約書で定められていない契約内容(請負の内容、単価、取扱数量及び契約金額に密接に関連する事項(内訳金額))を補充するものと認められることから、印紙税法上、請負に関する契約書(第2号文書)に該当します。
 また、当該「単価合意書」(単価個別合意方式用)には、契約の変更に用いる単価又は金額(内訳金額)のほかに当該内訳金額の合計金額(請負金額の総額)も記載されていますが、当該合計金額は、原契約である「工事請負契約書」の内容から判断して当該文書(「単価合意書」(単価個別合意方式用))によって新たに契約金額を取り決めたものではなく、既に締結されている工事請負契約書の契約金額の内訳である単価又は金額の合計額を示しているに過ぎませんから記載金額には該当しません。
 したがって、「単価合意書(単価個別合意方式用)」は、印紙税法上、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になります。

2 「単価合意書」(単価包括合意方式用)について

 「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、契約の変更に用いる単価の考え方について合意したものであり、具体的な単価(数値として具体性を有するもの)を合意したものではありませんので、印紙税法上の請負に関する契約書に係る「単価」を定めたものとは認められません。
 しかし、当該「単価合意書」(単価包括合意方式用)には、工事数量総括表を別紙として添付することとされており当該工事数量総括表に記載される内容は、原契約で定められていない契約内容(請負の内容及び取扱い数量)を補充するものと認められますから、当該「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になります。
 また、追加工事等により、原契約書の変更契約の締結に伴い改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容(請負内容又は取扱数量)が変更されますので、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になります。

※ 賃金又は物価変動に基づく請負代金の変更(労務単価など単価のみの変更)に伴い、改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容に変更はありませんので、課税文書には該当しません。

【関係法令通達】

 印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則5
 印紙税法基本通達第17条、第18条、別表第2重要な事項の一覧表4

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。