【照会要旨】

 金銭の受取通帳や判取帳に一定金額以上の付込みをすると、その付け込んだ事項の文書が別に作成されたものとして課税されると聞きましたが、その取扱いについて説明してください。
 また、付込みの際に消費税額等を区分記載した場合や、税込金額と税抜金額をそれぞれ記載した場合については、どのように取り扱うのでしょうか。

【回答要旨】

 ご質問の内容については、次のとおり取り扱うことになっています。

1 通帳等のみなし作成
  課税物件表の第19号(第1号、第2号、第14号又は第17号に掲げる文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもって作成する通帳)又は第20号(判取帳)の課税文書(以下「通帳等」といいます。)は、1冊1年以内の付込みにつき、第19号文書は400円、第20号文書は4,000円の印紙税を納付することになっています。
 しかし、この通帳等に次の事項の付込みがされた場合において、その付込みがされた事項に係る記載金額が次に掲げる金額であるときは、その付込みがされた事項に係る部分については、通帳等への付込みがなく、次に掲げる課税文書の作成があったものとみなされます(法第4条第4項)。

(1) 第1号(消費貸借に関する契約書等)の課税文書により証されるべき事項
 10万円(租税特別措置法第91条第2項の軽減措置が適用される不動産譲渡契約書の場合は50万円)を超える金額 第1号文書
 例えば、貸付金通帳に10万円を超える貸付金額50万円を付込み証明したときには、その50万円の付込みは、貸付金通帳への付込みにはならず、新たな「消費貸借に関する契約書(第1号の3文書)」を作成したものとみなされます。

(2) 第2号(請負に関する契約書)の課税文書により証されるべき事項
 100万円(租税特別措置法第91条第3項の軽減措置が適用される建設工事請負契約書の場合は200万円)を超える金額 第2号文書
 例えば、注文請負通帳に100万円を超える請負金額200万円を付込み証明したときには、その200万円の付込みは、注文請負通帳への付込みにはならず、新たな「請負に関する契約書(第2号文書)」を作成したものとみなされます。

(3) 第17号の1(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)の課税文書により証されるべき事項
 100万円を超える金額 第17号の1文書
 例えば、金銭の受取通帳に100万円を超える売上代金に係る受取金額300万円を付込み証明したときには、その300万円の付込みは、その金銭の受取通帳への付込みにはならず、新たな「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(第17号の1文書)」を作成したものとみなされます。

2 付込み金額に消費税及び地方消費税を含む場合
  通帳等に運送金額、請負金額又は受取金額等を付込み証明する場合において、これらの金額に消費税額等が含まれている場合には、その含まれている金額で「10万円」又は「100万円」を超えるかどうかを判定します。

3 付込み金額に消費税額等を含まない場合
  通帳等に運送金額、請負金額又は受取金額等を付込み証明する場合において、これらの金額と消費税額等とが区分記載されている場合には、消費税額等を含まない金額で「10万円」又は「100万円」を超えるかどうかを判定します。

4 付込み金額に税込金額と税抜金額が記載されている場合
  通帳等に運送金額、請負金額又は受取金額等を付込み証明する場合において、税込金額と税抜金額がそれぞれ記載されている場合には、その取引に係る消費税額等を含む金額と含まない金額の両方を具体的に記載していることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が容易に計算できることから、税抜金額で「10万円」又は「100万円」を超えるかどうかを判定します(平成元年3月10日付通達「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」の1(契約書等の記載金額)及び2(みなし作成の適用))。

5 付込み金額が消費税額等のみである場合
  通帳等に消費税額等のみを付込み証明した場合には、その消費税額等が「10万円」又は「100万円」を超えていても、新たな課税文書の作成として取り扱われません(平成元年3月10日付通達「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」の2(みなし作成の適用))。

【関係法令通達】

 印紙税法第4条第4項、租税特別措置法第91条、消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて(平成元年3月10日付間消3−2・最終改正 令和元年7月1日付課消4−55)

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。