広大地の評価において、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」とは具体的にどのようなものをいうのでしょうか。
評価対象地が、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」(中高層の集合住宅等の敷地用地として使用するのが最有効使用と認められるもの)かどうかの判断については、その宅地の存する地域の標準的使用の状況を参考とすることになります。
しかし、戸建住宅と中高層の集合住宅等が混在する地域(主に都市計画により指定された容積率(指定容積率)が200%以下の地域)にある場合には、最有効使用の判定が困難な場合もあることから、例えば、次のように「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」に該当すると判断できる場合を除いて、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」には該当しないこととして差し支えありません。
一方、指定容積率が300%以上の地域内にある場合には、戸建住宅の敷地用地として利用するよりも中高層の集合住宅等の敷地用地として利用する方が最有効使用と判断される場合が多いことから、原則として「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」に該当することになります。
地域によっては、指定容積率が300%以上でありながら、戸建住宅が多く存在する地域もありますが、このような地域は指定容積率を十分に活用しておらず、将来的にその戸建住宅を取り壊したとすれば、中高層の集合住宅等が建築されるものと認められる地域か、あるいは、例えば道路の幅員(参考)などの何らかの事情により指定容積率を活用することができない地域であると考えられます。したがって、のような例外的な場合を除き、評価対象地が存する地域の指定容積率が300%以上である場合には、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」と判断することになります。
(参考)
指定容積率のほか、前面道路(前面道路が2以上あるときは、その幅員の最大のもの)の幅員が12m未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に下表の数値を乗じたもの以下でなければならないとされています(建築基準法第52条第2項)。
建築物のある地域 | 前面道路の幅員のメートル数値に乗ずべき数値 |
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第1種・第2種低層住居専用地域 | 4/10 |
第1種・第2種中高層住居専用地域 第1種・第2種住居地域、準住居地域 (高層住居誘導地区内の建築物であってその住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の3分の2以上であるものを除く) |
4/10(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあっては6/10) |
その他の地域 | 6/10(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあっては4/10又は8/10のうち特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの) |
財産評価基本通達 24-4
建築基準法第52条
注記
平成29年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、課税時期が平成29年12月31日以前の場合を前提としています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。