【照会要旨】

 評価会社である完全支配関係にある親法人から内国法人である子法人に対して寄附があった場合、親法人の利益積立金額は、税務調整により寄附金に相当する金額だけ増加することとなりますが、類似業種比準方式における「1株当たりの純資産価額D」の計算上、利益積立金が増加した分を減算するなどの調整を行う必要がありますか。

【回答要旨】

 利益積立金額の増減について調整する必要はありません。

(理由)

 「1株当たりの純資産価額D」は、直前期末における法人税法に規定する資本金等の額及び利益積立金額に相当する金額の合計額によることとしていますが、これは、恣意性を排除し、評価会社の株式を同一の算定基準により評価することが合理的であることに鑑み、納税者利便の観点から、このように取り扱うものとしています。そのため「1株当たりの純資産価額D」は、法人税法上の処理が適正なものである限り、法人税法の規定による資本金等の額又は利益積立金額の加減算は、基本的に法人税法の処理どおりに取り扱うことが相当です。
 したがって、完全支配関係にある法人間の寄附に伴う税務調整により、評価会社である親法人の利益積立金額が寄附金に相当する金額だけ増減が生ずる場合でも、「1株当たりの純資産価額D」の計算上、その利益積立金額の増減についての調整は必要ありません。

【関係法令通達】

 財産評価基本通達183(3)
 法人税法施行令第9条第1項第7号

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。