【照会要旨】

 相続人間で遺産分割協議が整っていない状況で、取引相場のない株式を評価する場合、各相続人に適用されるべき評価方式を判定するに当たって、基礎となる「株式取得後の議決権の数」はどのようになるのでしょうか。

【回答要旨】

 各相続人ごとに、所有する株式数にその未分割の株式数の全部を加算した数に応じた議決権数とします。

(理由)
 取引相場のない株式は、純資産価額方式、類似業種比準方式又はこれらの併用方式により評価することを原則としています(原則的評価方式)が、少数株主が取得した株式については、特例的な措置として配当還元方式により評価することとしています(特例的評価方式)。
 遺産未分割の状態は、遺産の分割により具体的に相続財産を取得するまでの暫定的、過渡的な状態であり、将来、各相続人等がその法定相続分等に応じて確定的に取得するとは限りません。そこで、その納税義務者につき特例的評価方式を用いることが相当か否かの判定は、当該納税義務者が当該株式の全部を取得するものとして行う必要があります。
 なお、「第1表の1 評価上の株主の判定及び会社規模の判定の明細書」の(1.株主及び評価方式の判定)の「イ株式数(株式の種類)」欄には、納税義務者が有する株式(未分割の株式を除く。)の株式数の上部に、未分割の株式の株式数を未と表示の上、外書で記載し、納税義務者が有する株式の株式数に未分割の株式の株式数を加算した数に応じた議決権数を「ロ議決権数」に記載します。また、「納税義務者の属する同族関係者グループの議決権の合計数(5(2/4))」欄には、納税義務者の属する同族関係者グループが有する実際の議決権数(未分割の株式に応じた議決権数を含む。)を記載します。

【関係法令通達】

 財産評価基本通達188
 平成2年12月27日付直評23外「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」通達 第1表の1 3(5)

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。