【照会要旨】

 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価をする場合の留意事項は何でしょうか。

【回答要旨】

 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価についての留意事項は以下のとおりです。

1 1画地の宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上であるが、その正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がない場合には、財産評価基本通達20-7による容積率の格差による減額調整を行いません。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の図1

2 その宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上である場合で、その正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がある場合には、異なる容積率の部分との違いによる減額調整を行います。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の図2

(注) この場合の調整計算に当たっては、容積率500%地域は容積率400%地域と一体であるものとして取扱い、容積率400%地域と容積率300%地域との格差の調整計算とします。

容積率の格差に基づく減額率の算式

3 1画地の宅地が2以上の路線に面する場合において、正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額について容積率の格差による減額調整を行った価額が、正面路線以外の各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額のいずれかを下回る場合には、容積率の格差による減額調整を適用せず、正面路線以外の路線の路線価について、それぞれ奥行価格補正率を乗じて計算した価額のうち最も高い価額となる路線を当該画地の正面路線とみなして、財産評価基本通達15(奥行価格補正)から20-6(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)までの定めにより計算した価額によって評価します。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の図3

(1) 正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額に容積率の格差による減額調整を行った価額
 600,000円×1.00-(600,000円×1.00×0.167)=499,800円

(2) 裏面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額
 500,000円×1.00=500,000円

(3) (1)<(2)となるので、容積率の格差による減額調整の適用はなく、裏面路線を正面路線とみなして、当該画地の評価額を求めます。
 なお、この場合、宅地の価額は最も高い効用を有する路線から影響を強く受けることから、正面路線とみなされた路線(裏面路線)の路線価の地区区分に応じた補正率を適用することに留意してください。

(注) 財産評価基本通達20-2の「地積規模の大きな宅地の評価」については、考慮しないこととして計算しています。

【関係法令通達】

 財産評価基本通達20-7

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。