【照会要旨】

 A社は、従業員Bが急死したため、死亡の日を退職の日として1か月後に退職金をBの遺族に支払いましたが、この退職金について、「退職所得の源泉徴収票」の作成は必要ですか。

【回答要旨】

 照会の退職金は、死亡後にその支給期が到来したものであり、相続税の課税価格計算の基礎に算入されるので、所得税は課税されず、「退職所得の源泉徴収票」ではなく、「退職手当等受給者別支払調書」を提出することとなります。
  「退職所得の源泉徴収票」を提出するのは、退職所得に該当する退職手当等とされています(所得税法第226条第2項)。死亡により退職した者に係る退職手当等で、その者の死亡後に支給期の到来するもののうち相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、所得税は課税されないこととされており(所得税基本通達9-17)、退職所得に該当しないことから、「退職所得の源泉徴収票」の提出を要しません。
  一方、みなし相続財産とされる退職手当等については、「退職手当等受給者別支払調書」を提出しなければなりません(相続税法第3条第1項第2号、第59条第1項第2号)。

(注)

1 「退職手当等受給者別支払調書」は、「退職所得の源泉徴収票」の提出範囲と異なり、役員以外の者であっても、受給者(相続人等)ごとの退職手当金等の支払金額が100万円超の場合は提出を要します(相続税法施行規則第30条第3項)。

2 死亡した者の退職金であっても、死亡後3年を経過してから支給が確定したものについては、相続税の課税価格計算の基礎に算入されないので、遺族の一時所得として所得税の課税対象になりますが(所得税基本通達34-2)、この場合には、法定調書の提出を要しません。

【関係法令通達】

 所得税法第226条第2項、所得税基本通達9-17、34-2、相続税法第3条第1項第2号、第59条第1項第2号、相続税法施行規則第30条第3項

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。