【照会要旨】

 中小法人等(注)である法人債務者が特定調停により債権放棄を受けた場合、法人税法上の一般的な取扱いはどのようになるのでしょうか。

(注) 中小法人等とは、次の法人をいいます。

  • 1 普通法人のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの。ただし、次の法人を除きます。
    • (1) 大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人、相互会社及び外国相互会社並びに法人課税信託に係る受託法人をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
    • (2) 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において当該いずれか一の法人と当該普通法人との間に当該いずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人
    • (3) 相互会社
    • (4) 投資法人及び特定目的会社
    • (5) 法人課税信託の受託法人
    • (6) 大通算法人(通算法人である普通法人又は当該普通法人の各事業年度終了の日において当該普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうち、いずれかの法人が当該各事業年度終了の時における資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は上記(1)から(3)まで及び(5)に該当する場合の当該普通法人)
  • 2 公益法人等又は協同組合等
  • 3 人格のない社団等

【回答要旨】

1  法人債務者が債権放棄を受けた場合には、その債権放棄を受けた金額は、法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入されることとなります(法法222)。
 しかし、その者が青色申告書を連続して提出している中小法人等である場合には、その事業年度の前10年間において生じた欠損金(以下「青色欠損金」といいます。)が損金の額に算入されます(ただし、青色欠損金を損金の額に算入する前の所得金額が損金算入限度額となります。)(法法57)。

2  更に、当該法人債務者について会社法の規定による特別清算開始の命令があった場合等において、債権者から債権放棄を受けた場合又は当該法人債務者がその役員若しくは株主等(株主又は出資者)である者若しくはこれらであった者から私財提供を受けた場合には、更に青色欠損金より前に生じた欠損金等についても損金の額に算入されます(ただし、当該欠損金等を損金算入する前の所得金額が損金算入限度額となります。)(法法593、法令117の3、117の4、法基通12−3−1)。

(注) 仮に、上記の債権放棄等に係る計画により、当該法人債務者が法人税法第25条第3項又は第33条第4項の規定の適用を受ける場合には、青色欠損金及び青色欠損金より前に生じた欠損金等を損金算入する前の所得金額が損金算入限度額となります。

(概念図)

特定調停により債権放棄を受けた場合の一般的な取扱いの概念図

【関係法令通達】

 法人税法第22条第2項、第25条第3項、第33条第4項、第57条、第59条第3項
 法人税法施行令第117条の3、第117条の4
 法人税基本通達12−3−1

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。