【照会要旨】

 当社(3月決算)は、×1年3月期において、10年超所有する土地建物Aを11億円で譲渡し、×2年3月期に建物Bを16億円で取得する見込みであったことから、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第65条の8第1項を適用し、土地建物Aを譲渡資産、建物Bを買換資産として特別勘定を設けました。
 その後、当社は、×2年3月期において、予定どおり建物Bを16億円で取得し、事業の用に供したため、特別勘定を取り崩して建物Bの圧縮記帳を行いました。
 この度、当社は、×3年3月期において、10年超所有する建物Cを譲渡する予定ですが、建物Bの取得価額のうち5億円については、特別勘定の経理の対象としていなかったことから、措置法第65条の7第1項の特定の資産の買換えの場合の圧縮記帳(3号)の適用を受けることを考えていますが、建物Bの取得価額のうち5億円については同条第3項のいわゆる先行取得資産に該当し、圧縮記帳の適用を受けることができますか。

【回答要旨】

 圧縮記帳の適用を受けることができます。

(理由)

 法人が、一定の期間内に措置法第65条の7第1項の表の第3号上欄に規定する譲渡資産の譲渡をした場合で、当該譲渡の日を含む事業年度において、同項の表第3号下欄に規定する買換資産を取得し、かつ、当該取得の日から1年以内に、当該買換資産を一定の地域内にある当該法人の事業の用に供したとき、又は供する見込みであるときは、買換資産につき、圧縮記帳の適用を受けることができることとされています(措法65の71)。
 また、いわゆる先行取得資産についても納税地の所轄税務署長に所定の届出を行う等、一定の要件を満たす場合には圧縮記帳をすることができることとされています(措法65の73)。
 さらに、譲渡資産の譲渡の日を含む事業年度開始の日前に取得した資産について措置法第65条の7第3項の規定により当該譲渡資産に係る買換資産とみなす場合において、当該買換資産の取得価額が当該譲渡資産の対価の額を超えるときは、当該超える金額に相当する部分の資産については、当該事業年度後の事業年度における同項の規定による買換資産とみなすことができるとされています(措通65の7(3)-4)。
 したがって、建物Bの一部について既に特別勘定を設ける対象とした場合であっても、同条第1項の表の第3号の買換資産に該当する建物であることにかわりはありません。この際、建物Bの取得価額16億円のうち土地建物Aの譲渡対価を充てた11億円を超える5億円に相当する部分については、建物Cに係る買換資産(先行取得資産)とみなすことができ、同項の他の要件を満たす場合には圧縮記帳の適用を受けることができます。

【関係法令通達】

租税特別措置法第65条の7第1項、第3項、第65条の8第1項
租税特別措置法関係通達(法人税編)65の7(3)-4

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。