【照会要旨】

 当社では、前期において、パソコンを10台(1台当たり15万円)購入し、決算においては一括償却資産としてその取得価額の合計額の3分の1を損金の額に算入しました。
 ところが、今期になって事業規模を縮小することとなったため、そのうちの3台を除却しましたが、この場合に、当期の損金算入額は、除却したパソコンの取得価額のうち未だ損金の額に算入されていない金額30万円(15万円×3−15万円)と残り7台について一括償却資産として損金の額に算入できる限度額35万円(15万円×7台×1/3)の合計額65万円となるのでしょうか。
 なお、当社は購入したパソコンをいずれも貸付けの用に供していません。

【回答要旨】

 一括償却資産を事業の用に供した事業年度(以下「供用事業年度」といいます。)後の各事業年度において除却の事実が生じた場合であっても、その損金算入額は、あくまで一括償却資産の損金算入規定による損金算入限度額50万円(15万円×10台×1/3)に達するまでの金額となります。

(理由)
 法人が、一括償却資産について、法人税法施行令第133条の2((一括償却資産の損金算入))の規定の適用を受けることを選定した場合において、例えば、供用事業年度の翌事業年度中にその資産の全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときに、その滅失等した減価償却資産の取得価額のうちで未だ損金算入されていない金額に相当する金額の全額をその翌事業年度の損金の額に計上できるのかどうかという疑問が生じます。
 この点、同条第1項の文理上、一括償却資産の取得価額の合計額を供用事業年度以後の各事業年度の「費用の額又は損失の額とする方法を選定したとき」に同項に定める損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入することとなるのですから、法人がその方法を選定した以上、たとえその一括償却資産について滅失等が生じたときであっても、その損金算入限度額は同項に規定する金額になると解されます。
 また、同条の規定が設けられた趣旨は、取得価額が20万円未満の減価償却資産を企業が個別管理することによる事務負担に配慮したものであり、このことからすれば、供用事業年度後の個々の資産の状況にかかわらず同条第1項の規定に従い計算される損金算入限度額の範囲内での損金算入を行うべきものであると考えられます。
 そこで、取得価額が20万円未満の減価償却資産につき、法人がこの規定の適用を選定した場合においては、供用事業年度後の各事業年度において滅失、除却等の事実が生じた場合であっても、その損金算入額は、その滅失等した減価償却資産の取得価額のうちで未だ損金算入されていない金額に相当する金額の全額ではなく、同項の規定による損金算入限度額に達するまでの金額になります(法人税基本通達7−1−13)。
 また、一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても同様に取り扱われます(法人税基本通達7−1−13(注))。
 したがって、一括償却資産の損金算入の規定の適用を選定した減価償却資産の一部につき除却した場合であっても、その償却限度額は、パソコン10台(除却した3台を含みます。)に対応する金額50万円(15万円×10台×1/3)となりますから、除却したパソコン3台に係る除却損相当額(本件の場合は30万円)の全額を当期の損金の額に算入することは認められません。

【関係法令通達】

 法人税法施行令第133条の2
 法人税基本通達7−1−13

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。