【照会要旨】

 内国法人A社は、イタリア法人B社の商標を付したサングラス及び眼鏡フレームを販売していたところ、イタリア法人B社から、不正競争防止法に基づく損害賠償を請求されました。その後両社は和解し、A社は和解金としてB社に4,000万円を支払いました。
 この和解金については、源泉徴収の対象となりますか。

(注) B社の商標は、我が国においては商標登録されていませんが、周知商標(商標法第4条第1項第10号)に該当します。

【回答要旨】

 和解金については、原則として所得税法第161条第1項第11号イ《国内源泉所得》に規定する使用料に該当し、源泉徴収を要します。

 商標法によって登録されていない商標であっても、周知性の高いものや著名なものについては、不正競争防止法により保護され、不正使用については損害賠償請求が認められています(不正競争防止法第2条第1項第1号、第2号、第4条)。
 したがって、不正競争防止法に基づき請求する損害賠償金は商標の使用料に代わる性質を有しており、また、その請求に係る和解金の明細が明らかでない以上、その全額が所得税法第161条第1項第11号イに規定する工業所有権又はこれに準ずるものの使用料として取り扱われます(所得税基本通達161-35)。
 また、日伊租税条約の適用に当たっては、我が国において未登録のため商標権が発生していないものであっても、法令によって保護されている周知商標の使用料については、同条約第12条《使用料条項》が適用されるものと解されます。
 なお、和解金算出の明細が明らかな場合には、使用料以外の部分として合理的と判断される金額については、使用料とされる金額から除外されることとなります。

【関係法令通達】

 所得税法第161条第1項第11号イ、所得税基本通達161-35、日伊租税条約第12条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。