【照会要旨】

 確定給付企業年金法等の改正により、企業年金のポータビリティ制度(年金通算制度)が措置され、平成17年10月から、確定給付企業年金間で一定の要件の下に脱退一時金相当額を移換できることとされています。
 当社では確定給付企業年金制度を実施しており、当社に転職した従業員Aについて、Aの前勤務先の確定給付企業年金(以下「移換前企業年金」といいます。)から脱退一時金相当額の移換を受けました。
 移換前企業年金におけるAの加入者期間は10年ありましたが、移換前企業年金の給付水準より当社の確定給付企業年金(以下「移換後企業年金」といいます。)の方が高いため、移換前企業年金におけるAの加入者期間10年のうち、移換後企業年金の加入者期間に加算する期間を7年としました。
 Aは12年後に定年となりますが、その際に移換後企業年金から支払われる一時金(退職所得)について、勤続年数を何年として計算することになりますか。

【回答要旨】

 勤続年数は19年となります。

 所得税法第31条《退職手当等とみなす一時金》の規定により退職手当等とみなされるもの(以下「退職一時金等」といいます。)については、組合員等であった期間により勤続年数の計算を行うこととされ、この組合員等であった期間とは、原則として、その退職一時金等の支払金額の計算の基礎となった期間とされています(所得税法施行令第69条第1項第2号)。
 照会の場合、移換後企業年金における退職一時金の支払金額の計算の基礎となる期間は、移換後企業年金の加入者期間12年に移換前企業年金の加入者期間10年のうち7年を加算した19年となっていますので、勤続年数は19年となります。

【関係法令通達】

 所得税法第31条、所得税法施行令第69条第1項、確定給付企業年金法施行令第50条の3

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。