【照会要旨】

 Aは、従来個人経営であった事業をそのままの事業内容と規模で法人組織としました。従業員のうちには、個人事業当時から引き続き勤務している者が数人いますが、その従業員が退職した場合に支払う退職手当についての退職所得控除額の計算の基礎となる勤続年数は、個人事業当時からの勤続年数を通算してもよいでしょうか。

【回答要旨】

 個人事業当時の勤続期間を含めて退職金の額を計算することが退職給与規程等において明らかとなっている場合には、勤続期間の通算が認められます。

 退職給与規程等に個人事業当時からの期間を含めた勤続期間を基礎として退職金を計算する旨が定められており、それに従って計算した退職金を支払うのであれば、原則として、個人事業当時の勤続期間を含めて勤続年数を計算することができます。
 ただし、青色事業専従者であった者の場合は、あくまでも法人設立の日から退職するまでの期間が勤続年数となるので、個人事業当時の勤続期間を通算することはできません。
 また、退職給与規程等により、退職金の支払額の計算の基礎とする期間が、法人成りしてからの期間によるものとされている場合には、個人事業当時の勤続期間との通算は認められません。

【関係法令通達】

 所得税法施行令第69条第1項、所得税基本通達30-10

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。