(農地法第32条の規定による通知に係るもの)

70の6-1の2 措置法第70条の6第1項に規定する「農地法第32条の規定による通知(同条ただし書の規定による公告を含む。第1号において同じ。)に係るもの」については、70の4-1の2((農地法第32条の規定による通知に係るもの))を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-1の2((農地法第32条の規定による通知に係るもの))の説明を参照。

(農業相続人の範囲)

70の6-7の2 措置法第70条の6第1項に規定する「農業相続人」には、次の(1)から(4)までに掲げる者が含まれることに留意する。

  • (1) 措置法第70条の4第1項の規定の適用を受ける同項に規定する受贈者に係る同項に規定する贈与者が死亡し、特例適用農地等の受贈者が措置法第70条の5第1項の規定の適用により当該特例適用農地等を相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合において、措置法第70条の6第1項に規定する相続税の申告書の提出期限(以下70の6-7の2において「相続税の申告期限」という。)まで当該特例適用農地等に係る農業経営を開始し、その後引き続き当該農業経営を行うと認められる受贈者
  • (2) 措置法第70条の4第21項の規定の適用を受ける同項に規定する受贈者に係る同条第1項に規定する贈与者が死亡し、当該受贈者が同条第21項に規定する営農困難時貸付けを行っている特例適用農地等が措置法第70条の5第1項の規定により当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合の当該受贈者
  • (3) 措置法第70条の6の3第2項に規定する農業経営者又は同項に規定する農業相続人が死亡した場合において、当該農業経営者又は農業相続人の相続人が当該農業経営者又は農業相続人から相続又は遺贈により取得した農地又は採草放牧地について相続税の申告期限までに措置法第70条の6の3第1項に規定する特定貸付け(以下70の6-7の2において「特定貸付け」という。)を行ったときの当該農業経営者又は農業相続人の相続人
  • (4) 措置法第70条の4第1項の規定の適用を受ける同項に規定する受贈者に係る贈与者が死亡した場合において、当該受贈者が特例適用農地等のうち農地又は採草放牧地について当該贈与者の死亡に係る相続税の申告期限までに特定貸付けを行ったときの当該受贈者
(新設)

(説明)

 措置法第70条の6第1項の規定による農地等についての相続税の納税猶予等(以下「相続税の納税猶予」という。)の適用対象となる同条第1項に規定する農業相続人(以下「農業相続人」という。)は、相続税の申告書の提出期限までに相続又は遺贈により取得した農地等について農業経営を開始し、その後引き続き農業経営を行うと認められる者であることにつき農業委員会の証明を受けた者とされている(措令40の7丸2)。この場合において、次に掲げる受贈者又は相続人は、それぞれ次に掲げる規定において相続又は遺贈により農地等を取得したものとみなされるか、又はその者が当該農地等を農業の用に供するものとみなされることから当該農業相続人に含まれることとなる。70の6-7の2では、そのことを留意的に明らかにした。

  • (1) 贈与税の納税猶予の適用を受ける受贈者に係る贈与者が死亡し、特例適用農地等の受贈者が措置法第70条の5第1項の規定の適用により当該特例適用農地等を相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合において、当該贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までに当該特例適用農地等に係る農業経営を開始し、その後引き続き当該農業経営を行うと認められる受贈者
  • (2) 営農困難時貸付けの規定の適用を受ける受贈者に係る贈与者が死亡し、当該受贈者が営農困難時貸付けを行っている特例適用農地等が措置法第70条の5第1項の規定により当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合の当該受贈者
  • (3) 措置法第70条の6の3第2項に規定する農業経営者又は同項に規定する農業相続人が死亡した場合において、当該農業経営者又は農業相続人の相続人が当該農業経営者又は農業相続人から相続又は遺贈により取得した農地又は採草放牧地について相続税の申告期限までに措置法第70条の6の3第1項に規定する特定貸付け(以下「特定貸付け」という。)を行ったときの当該農業経営者又は農業相続人の相続人
  • (4) 贈与税の納税猶予の規定の適用を受ける受贈者に係る贈与者が死亡した場合において、当該受贈者が特例適用農地等のうち農地又は採草放牧地について当該贈与者の死亡に係る相続税の申告期限までに特定貸付けを行ったときの当該受贈者

(農業相続人の農業の用に供している農地又は採草放牧地)

70の6-13の3 措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人の農業の用に供している農地又は採草放牧地として取り扱うものについては、70の4-12((贈与者等の農業の用に供している農地又は採草放牧地))の後段を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-12((贈与者等の農業の用に供している農地又は採草放牧地))の説明を参照。

(納税猶予分の相続税額に相当する担保)

70の6-17 措置法第70条の6第1項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る相続税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうものとする。

  • (1) この場合において、同項の規定の適用を受ける農地等の全部を担保として提供する場合(当該農地等につき当該相続税額に優先する担保権が設定されている場合を除く。)には、同項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合」に該当するものとする。
  • (2) なお、上記以外の方法により担保を提供する場合には、納税猶予に係る相続税の本税の額とこれに係る農業相続人の平均余命年数に相当する納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保が提供された場合が同項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合」に該当するものとして取り扱う。

(注) 次に掲げる農業相続人(相続又は遺贈により特例農地等を取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。)の納税猶予に係る相続税の本税の額のうち、当該特例農地等のうち措置法第70条の6第5項に規定する市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。)に係る農業投資価格控除後の価格に対応する部分の金額については、上記(2)の「平均余命年数」を「平均余命年数(20年を限度とする。)」と読み替えて、当該金額に係る納税猶予期間中の利子税の額を計算する。

  • 1 当該取得をした日において特例農地等の全てが市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。)である農業相続人
  • 2 当該取得をした日において特例農地等のうちに都市営農農地等以外の市街化区域内農地等及び市街化区域内農地等以外の特例農地等がある農業相続人
※下線部分が改正部分である。(改正)

(説明)

 担保として必要な財産の価額は、本税のほか猶予期間中の利子税も担保する必要があることを留意的に明らかにした。
 また、(1)、(2)に該当する場合には、必要担保額に充足する担保財産が提供されたものとして取り扱うこととした。
 なお、(1)以外の方法により担保提供する場合、担保提供時には「農業相続人の死亡の日まで」という未確定の猶予期間に係る利子税を計算できないことから、必要担保額の計算に当たっては「農業相続人の平均余命年数に相当する納税猶予期間中の利子税の額」による取扱いとし、また、(注)1、2に該当する農業相続人の納税猶予に係る相続税の本税の額のうち、当該特例農地等のうち措置法第70条の6第5項に規定する市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。)に係る農業投資価格控除後の価格に対応する部分の金額については、納税猶予期限が農業相続人の死亡の日又は相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日のいずれか早い日(措法70の6丸5)であることから、当該金額部分に係る必要担保額を計算するに当たっての利子税の額は20年を上限とした平均余命年数により計算する取扱いとした。

(譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算)

70の6-27 措置法第70条の6第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算は、次に掲げる場合に応じ、次に掲げる算式により行うことに留意する。
 なお、同条第38項第4号に定める相続税について同項の規定により免除があった場合には、70の6-30の2((市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について申告書の提出期限の翌日から20年を経過して免除があった場合の100分の20の計算))に留意する。

  • (1) 既往において同条第19項又は第20項において準用する措置法第70条の4第15項第3号又は第16項第3号の規定に該当する農地又は採草放牧地(以下70の6-27において「代替取得農地等」という。)を取得していない場合
    A分のB+C
  • (2) 既往において、措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項第3号の規定に該当する代替取得農地等を取得している場合
    A+(F-D+E)分のB+C
  • (3) 既往において、措置法第70条の6第20項において準用する措置法第70条の4第16項第3号の規定に該当する代替取得農地等を取得している場合
    A+(F-D+E′)

(注) 算式中の符号は、次のとおりである。

  • Aは、相続又は遺贈により取得した特例農地等の当該取得時の面積をいう。
  • Bは、今回譲渡等をした特例農地等の面積をいう。

     この場合の譲渡等には、措置法第70条の6第1項第1号に規定する収用交換等による譲渡その他措置法令第40条の7第8項に規定する譲渡又は設定(以下70の6-27において「収用交換等による譲渡等」という。)を含まない。

  • Cは、既往において譲渡等(収用交換等による譲渡等を除く。)をした特例農地等の面積をいい、この面積は、措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項第1号の規定により譲渡等がなかつたものとみなされるものの面積を除き、同項第2号の規定により譲渡等がされたものとみなされるものの面積を含む。
  • Dは、既往において措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項第1号の規定により譲渡等がなかつたものとみなされた特例農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (譲渡等をした特例農地等の面積)×(譲渡等をした特例農地等の対価の額)分の(譲渡等の対価の額のうち代替取得農地等の取得に充てる見込金額)
  • Eは、Dの面積のうち、措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項第2号の規定によりその後譲渡等がされたものとみなされた特例農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (Dの面積)×(Dの面積に係る譲渡等の対価の額)分の(Dの面積に係る譲渡等の対価の額のうち代替取得農地等の取得に充てられなかった金額)
  • Fは、代替取得農地等の面積をいう。
  • D′は、既往において措置法第70条の6第20項において準用する措置法第70条の4第16項第1号の規定により譲渡等がなかったものとみなされた特定農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (譲渡等をする見込みである特定農地等の面積)×(譲渡等をする見込みである特定農地等の対価の見積額)分の(譲渡等の対価の見積額のうち代替取得農地等の取得に充てる見込金額)
  • E′は、D′の面積のうち、措置法第70条の6第20項において準用する措置法第70条の4第16項第2号ハの規定によりその後買取りの申出等があったものとみなされた特定農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (D′の面積)×(D′の面積に係る譲渡等の対価の額)分の(D′の面積に係る譲渡等の対価の額のうち代替取得農地等の取得に充てられなかった金額)
※下線部分が改正部分である。(改正)

(説明)

 譲渡等をした措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける農地等(以下「特例農地等」という。)の面積が100分の20を超える場合には、納税猶予税額の全額について納税猶予が打ち切られることとなるのであるが(措法70の6丸1一)、この譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算に関する基本的な事項を整理するとおおむね次のとおりである。

  • (1) 計算の基礎となる分母の面積は、既往において譲渡等に係る対価をもって措置法第70条の6第19項又は第20項において準用する措置法第70条の4第15項第3号又は第16項第3号の規定に該当する農地又は採草放牧地(以下「代替取得農地等」という。)を取得したか否かによって、次のように異なることになる。
    • イ 買換え(特定農地等に係る買換えを含む。以下この項において「買換え」という。)により代替取得農地等を取得していない場合
       分母の面積は、譲渡等の時の直前における特例適用農地等の面積に、その時前における譲渡等に係る特例農地等の面積を加算することとされている(措法70の6丸1一)ので、この場合には、その時前において特例農地等の譲渡があったかどうかにかかわらず、その面積は、措置法第70条の6第38項第4号に定める相続税について同項の規定により免除があった場合を除き、相続時における取得農地等の面積に、常に等しくなる。なお、同項第4号に定める相続税について同項の規定により免除があった場合には、70の6-30の2((市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について申告書の提出期限の翌日から20年を経過して免除があった場合の100分の20の計算))に留意する。
    • ロ 買換えにより代替取得農地等を取得している場合
       この場合には、買換えにより譲渡等をした特例農地等又は特定農地等が、その譲渡対価をもって取得した代替取得農地等を置きかえることになる(措法70の6丸19丸20)ので、譲渡等した面積と代替取得した面積との差額に相当する面積だけ、相続時の農地等の面積が増減することになる。
  • (2) 分子の面積には、収用交換等による譲渡等又は買取りの申出等に係る農地等の面積を含まない。
     なお、贈与税の納税猶予における「収用交換等による譲渡等」と相続税の納税猶予における「収用交換等による譲渡等」とは異なることに留意する(70の4-29の2参照。)。

 70の6-27は、上記の点を踏まえ、既往において代替取得農地等を取得していない場合と取得している場合との態様の別に、それぞれの場合に応ずる計算方法を算式で示したものである。
 すなわち、譲渡等に係る特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる算式により行うこととなる。
 なお、これによる計算は、同一年中に2度以上譲渡等があった場合においても、その譲渡等の面積をまとめて行うことなく、特例農地等の譲渡等があった都度、それぞれ各別に行うこととなることに留意する必要がある。

  • @ 既往において代替取得農地等を取得していない場合
    ・・・・・A分のB+C
  • A 既往において代替取得農地等を取得している場合
    ・・・・・A+(F-D+E)分のB+C
  • B 既往において特定農地等に係る代替取得農地等を取得している場合
    ・・・・・A+(F-D′+E′)分のB+C

(注) 算式中の符号は、次のとおりである。

  • Aは、相続又は遺贈により取得した特例農地等の当該取得時の面積をいう。なお、措置法第70条の6第38項第4号に定める相続税について同項の規定により免除があった場合には、70の6-30の2((市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について申告書の提出期限の翌日から20年を経過して免除があった場合の100分の20の計算))に留意する。
  • Bは、今回譲渡等(収用交換等による譲渡等を除く。)をした特例農地等の面積をいう。
  • Cは、既往において譲渡等(収用交換等による譲渡等を除く。)をした特例農地等の面積をいい、この面積は、措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項第1号の規定により譲渡等がなかつたものとみなされる農地等(買換えの承認を受けて譲渡した農地等)の面積を除き、同項第2号の規定により譲渡等がされたものとみなされる農地等(買換えの承認を受けて譲渡等した農地等のうち、その譲渡対価の額を代替取得農地等の取得に充てなかった部分の農地等)の面積を含む。
  • Dは、既往において措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項第1号の規定により譲渡等がなかつたものとみなされた特例農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (Dの面積)×(Dの面積に係る譲渡等の対価の額)分の(Dの面積に係る譲渡等の対価の額のうち代替取得農地等の取得に充てられなかった金額)
  • Fは、代替取得農地等の面積をいう。
  • D′は、既往において措置法第70条の6第20項において準用する措置法第70条の4第16項第1号の規定により譲渡等がなかったものとみなされた特定農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (譲渡等をする見込みである特定農地等の面積)×(譲渡等をする見込みである特定農地等の対価の見積額)分の(譲渡等の対価の見積額のうち代替取得農地等の取得に充てる見込金額)
  • E′は、D′の面積のうち、措置法第70条の6第20項において準用する措置法第70条の4第16項第2号ハの規定によりその後買取りの申出等があったものとみなされた特定農地等の面積をいい、次の算式により計算する。
    (D′の面積)×(D′の面積に係る譲渡等の対価の額)分の(D′の面積に係る譲渡等の対価の額のうち代替取得農地等の取得に充てられなかった金額)

(注)

  • 1 「譲渡等」とは、次のものをいう。
    • (1) 譲渡、贈与又は転用(措法70の6丸1一)。ただし、この転用からは、丸1採草放牧地の農地への転用、丸2準農地の農地又は採草放牧地への転用又は丸3その特例農地等を農業相続人(又はその推定相続人)の耕作若しくは養畜の事業に用いる事務所、作業場、倉庫その他の施設又はこれらの事業に従事する使用人の宿舎の敷地にするための転用が除かれる(措法70の6丸1一かっこ書、措令40の7丸7)。
    • (2) 地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(措法70の6丸1一)。
    • (3) 耕作の放棄(農地について農地法第32条の規定による通知(同条ただし書の規定による公告を含む。)があったことをいう。)(措法70の6丸1一)。
    • (4) 特例農地等が上記(2)の権利である場合におけるこれらの権利の消滅(措法70の6丸1一)。ただし、この権利の消滅からは、これらの権利に係る農地又は採草放牧地の所有権の取得に伴う消滅は除かれる(措法70の6丸1一かっこ書)。
  • 2 「特例農地等につき譲渡等があった場合」からは、収用交換等による譲渡等が除かれるが、この場合の「収用交換等による譲渡等」とは、次のものをいう。
    • (1) 措置法第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡(措法70の6丸1一かっこ書)
    • (2) 都市計画法第8条第1項第14号に掲げる生産緑地地区内にある農地及び採草放牧地が、生産緑地法第11条第1項又は第12条第2項の規定に基づき、地方公共団体等に買い取られた場合の譲渡(措令40の7丸8
    • (3) 農業生産法人に現物出資をした場合で、その出資をした者がその農業生産法人の常時従事者となる場合の譲渡(措令40の7丸8
    • (4) 農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)附則第7条第2項の規定によりなお従前の例によることとされる同法第1条の規定による改正前の農地法第70条の7第1項の協議若しくは同条第2項において準用する同法第75条の5第1項の裁定に基づき同法第75条の2第1項に規定する草地利用権が設定され、又は同法第75条の8第1項の裁定に基づき買い取られた場合(措令40の7丸8
    • (5) 農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域として定められている区域内にある特例農地等についての農業経営基盤強化促進法の規定による次に掲げる譲渡(措令40の7丸8
      • イ 農業経営基盤強化促進法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のための譲渡
      • ロ 農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のための譲渡
      • ハ 農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる譲渡

(市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について申告書の提出期限の翌日から20年を経過して免除があった場合の100分の20の計算)

70の6-30の2 措置法第70条の6第38項第4号の規定により、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において同号の市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。以下70の6-30の2において同じ。)がある場合には、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額については、同号の規定により当該20年を経過する日において免除されるが、免除の時において同条第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算を行う必要はなく、同項後段の適用はないことに留意する。
 なお、免除後に特例農地等の譲渡等があった時は、当該免除に係る市街化区域内農地等の面積は同号後段に規定する「当該相続人のその時の直前におけるこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等に係る耕作又は養畜の用に供する土地の面積」(70の6-27((譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算))の算式におけるA)には含めず、当該100分の20の計算を行うことに留意する。

(注) 相続税の申告書の提出期限後10年を経過する日において農業相続人が有する措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける準農地のうち農地又は採草放牧地として当該農業相続人の農業の用に供されていないことから同条第7項の規定により納税猶予期限が確定した準農地は、同条第1項第1号後段に規定する「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」であることから、当該準農地に係る面積は、同項に規定する100分の20を超えるかどうかの計算の分母の面積に含まれることに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において措置法第70条の6第38項第4号の市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。以下70の6-30の2において同じ。)がある場合には、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額については、同号の規定により当該20年を経過する日において免除されるが、相続税が免除された特例農地等に係る面積は、譲渡等に係る特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかを判定するときの計算式の分母から除外することとなる(措法70の6丸1一)。
 ところで、相続税が免除された特例農地等の面積については、譲渡等に係る特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかを判定するときの計算式の分母から除外することとなるが、免除があった時において100分の20を超えるかどうかの判定をしなければならないのか疑義が生じる。
 70の6-30の2では、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において措置法第70条の6第38項第4号の市街化区域内農地等がある場合に、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について、当該20年を経過する日において免除があった場合には、その免除があった時においては、措置法第70条の6第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算は行わないことを明らかにするとともに、その免除があった特例農地等の面積は、その後、特例農地等の譲渡等があった場合に限り、「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」の面積、すなわち、70の6-27((譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算))の算式によるAの面積には含めず、100分の20を超えるかどうかの計算を行うことを留意的に明らかにしたものである。
 なお、相続税の申告書の提出期限後10年を経過する日において農業相続人が有する特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地に転用されず当該農業相続人の農業の用に供されていないことから同条第7項の規定により納税猶予期限が確定した準農地については、同条第1項第1号後段に規定する「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」であることから、当該納税猶予期限が確定した準農地の面積は、100分の20を超えるかどうかの計算の分母の面積に含まれる。そこで、注書きにおいて、そのことを留意的に明らかにした。

(相続税の納税猶予期限)

70の6-40 所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正後の措置法第70条の6第1項に規定する相続税の納税猶予期限は、同条第21項の規定の適用の有無にかかわらず、原則として、次に掲げる相続人の区分に応じ、それぞれに掲げる日となることに留意する。

  • (1) 同条第1項の規定の適用を受ける特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得した日において都市営農農地等がある農業相続人 当該農業相続人の死亡の日

    (注) 上記の農業相続人については、たとえ、当該都市営農農地等である特例農地等がその後同条第7項又は第8項の規定に該当したことにより同条第1項の規定の適用を受ける特例農地等のうちに都市営農農地等を有しないこととなった場合においても、すべての特例農地等についてその死亡の日となることに留意する。

  • (2) 同項の規定の適用を受ける特例農地等のすべてが相続又は遺贈により取得をした日において都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地(以下70の6-97までにおいて「市街化区域内農地等」という。)である農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日又は相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日のいずれか早い日
  • (3) 措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける特例農地等のすべてが相続又は遺贈により取得をした日において市街化区域内農地等以外のものである農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日
  • (4) 同項の規定の適用を受ける特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得した日において都市営農農地等以外の市街化区域内農地等及び市街化区域内農地等以外の特例農地等があり、かつ、同項に規定する相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日までの間に、農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち当該取得した日において当該市街化区域内農地等以外の特例農地等に係る相続税のすべてについて、同条第7項又は第8項の規定による納税の猶予に係る期限が到来している当該農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日又は相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日のいずれか早い日
  • (5) 措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得した日において都市営農農地等以外の市街化区域内農地等及び市街化区域内農地等以外の特例農地等があり、かつ、同項に規定する相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち当該取得した日において当該市街化区域内農地等以外の特例農地等に係る相続税について、同条第7項又は第8項の規定による納税の猶予に係る期限が到来していないものがある当該農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日

(注) 上記の農業相続人の区分のいずれに該当するかは、特例農地等を相続又は遺贈により取得をした日において、いずれの農地等に該当するかによることに留意する。

※下線部分が改正部分である。(改正)

(説明)

 平成21年改正法による改正により、市街化区域内農地等以外の特例農地等に係る納税猶予税額については、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において猶予税額を免除(相続又は遺贈により取得した日において特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。)する措置が廃止され、農業相続人の死亡の日まで納税猶予を継続することとされた。この改正により相続税の納税猶予期限は、原則として、次に掲げる相続人の区分に応じ、それぞれに掲げる日とされた。

  • (1) 相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得した日において都市営農農地等がある農業相続人 当該農業相続人の死亡の日
  • (2) 相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等のすべてが相続又は遺贈により取得をした日において都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地(以下70の6-97までにおいて「市街化区域内農地等」という。)である農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日又は相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日のいずれか早い日
  • (3) 相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等のすべてが相続又は遺贈により取得をした日において市街化区域内農地等以外のものである農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日
  • (4) 相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得した日において都市営農農地等以外の市街化区域農地等及び市街化区域内農地等以外の特例農地等があり、かつ、同項に規定する相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日までの間に、農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち当該取得した日において当該市街化区域内農地等以外の特例農地等に係る相続税のすべてについて、措置法第70条の6第7項又は第8項の規定による納税の猶予に係る期限が到来している当該農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日又は相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日のいずれか早い日
  • (5) 相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得した日において都市営農農地等以外の市街化区域内農地等及び市街化区域内農地等以外の特例農地等があり、かつ、同項に規定する相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち当該取得した日において当該市街化区域内農地等以外の特例農地等に係る相続税について、措置法第70条の6第7項又は第8項の規定による納税の猶予に係る期限が到来していないものがある当該農業相続人(当該取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。) 当該農業相続人の死亡の日

 なお、上記の農業相続人の区分のいずれに該当するかは、特例農地等を相続又は遺贈により取得をした日において、いずれの農地等に該当するかによることにより判定することとなる。
 70の6-40では、このことを留意的に明らかにした。

(借受代替農地等の全部又は一部につき耕作の放棄があった場合)

70の6-59の2 措置法第70条の6第10項の規定の適用を受ける貸付特例適用農地等に係る同項に規定する借受代替農地等の全部又は一部につき同条第12項第2号に規定する耕作の放棄があった場合については、70の4-63の2((借受代替農地等の全部又は一部につき耕作の放棄があった場合))を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-63の2((借受代替農地等の全部又は一部につき耕作の放棄があった場合))の説明を参照。

(措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付け)

70の6-74 措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付け(以下70の6-91までにおいて「営農困難時貸付け」という。)とは、同条第1項の規定の適用を受ける農業相続人が特例農地等について当該農業相続人の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の7第49項に定める状態となり、かつ、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合において、当該特例農地等について地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下70の6-74までにおいて「権利設定」という。)に基づく貸付けを行った場合をいうことに留意する。
 したがって、営農困難時貸付けは、措置法第70条の6第27項の規定の適用を受けようとする特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合又は措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合(当該貸付けの申込みを当該1年を経過する日まで引き続き行われている場合に限る。)における当該貸付け以外の権利設定に基づく貸付けをいう。

(新設)

(説明)

 農地等の納税猶予制度は適用期間が長期にわたるため、その適用期間中に、農業相続人の障害や疾病などの理由により特例農地等について、農業相続人の農業の用に供することが困難な状態となることも想定される。このような場合には、耕作の放棄や営農廃止となり納税猶予の期限が確定し、利子税を含めた納税が必要となる。しかし、本人の意思によらないこのような場合にまで納付を求めることは酷であり、また、農地の有効利用にもつながらないことから、平成21年度税制改正において、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が障害、疾病、その他の事由により特例農地等について自己の農業の用に供することが困難な状態となった場合に一定の貸付け(以下「営農困難時貸付け」という。)を行ったときは、引き続き相続税の納税猶予制度を適用することができることとされた(措法70の6丸27)。
 70の6-74は、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けとは、どのような貸付けをいうのかを留意的に明らかにした。すなわち、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けとは、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が特例農地等について当該農業相続人の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の7第49項に定める状態となり、かつ、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合において、当該特例農地等について地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下70の6-74までにおいて「権利設定」という。)に基づく貸付けを行った場合をいう。この場合における措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合とは、営農困難時貸付けを行おうとする特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合又は措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合(当該貸付けの申込みを当該1年を経過する日まで引き続き行われている場合に限る。)をいう。
 なお、営農困難時貸付けを行う際に、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日以降に当該貸付の申込みにより貸付けを行った場合の当該貸付けは、措置法第70条の6の2の規定の適用を受ける特定貸付けとなる。
 また、相続税の納税猶予制度における営農困難時貸付けは、相続税の納税猶予制度においては特定貸付けの特例(措法70の6の2)があることから、贈与税の納税猶予における営農困難時貸付けとは制度の仕組みが異なり、特定貸付けの特例が適用できる場合には、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けの規定の適用がないことに留意が必要である。

(農業相続人の農業の用に供することが困難な状態となった場合)

70の6-75 措置法第70条の6第27項に規定する農業相続人の農業の用に供することが困難な状態となった場合については、70の4-81 ((受贈者の農業の用に供することが困難な状態となった場合))を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-81((受贈者の農業の用に供することが困難な状態となった場合))の説明を参照。

(営農困難時貸付けを行う特例農地等の単位)

70の6-76 措置法第70条の6第27項の規定は、特例農地等の一部について貸付けを行う場合でも適用があることに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けの適用を受ける場合には、当該農業相続人が営農困難な状態にあることから特例農地等の全部につき営農困難時貸付けを行わなければならないか疑義が生じる。
 措置法第70条の6第27項の規定においては、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が、障害、疾病その他の事由により特例農地等について自己の農業の用に供することが困難な状態として一定の状態となった場合(特例農地等につき措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合として政令で定める場合に限る。)に、地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権に基づく貸付けを行ったとき、とされており特例農地等の一部につき営農困難時貸付けを行った場合であっても同項の規定の適用があることとなる。そこで、70の6-76は、そのことを留意的に明らかにしたものである。
 なお、特例農地等の一部につき営農困難時貸付けを行う場合としては、例えば、特例農地等について、その所在が農業相続人の住所地から遠方にあるものは営農が困難であるとして営農困難時貸付けを行い、近隣にあるものについては農業相続人の農業の用に供する場合などが考えられる。