問2 経済産業大臣の認定と贈与税の納税猶予の特例の適用

(問) 子A(後継者)は、贈与者である父から甲株式会社の株式等の贈与を受け、贈与税の申告において「贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)」の適用を受けることとし、甲株式会社は、中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律施行規則(以下「円滑化法規則」という。)第7条第2項の規定に基づき「経済産業大臣の認定の申請」を行い、同条第4項の規定に基づく認定を受けた。
 これにより、子Aは、当然に「贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)」の適用を受けることができるのか。

(答)

 経済産業大臣の認定だけをもって、直ちに贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるとは判断できない。

(解説)

  • 1  経済産業大臣の認定に係る要件は、贈与税の納税猶予の特例の適用要件と同様であるが、贈与税の納税猶予の特例の適用の可否に当たっては、措置法に定められた贈与税の納税猶予の特例の固有の要件として、措置法第70条の7第24項に定める要件(以下「現物出資等資産要件」という。)があることから、当該現物出資等資産要件を満たさない限り、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。
  • 2  なお、経済産業大臣の認定に係る要件を満たさないにもかかわらず、偽りその他不正の手段により当該認定を受けた場合には、たとえ上記現物出資等資産要件を満たしていたとしても、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。
    (注) 経済産業大臣は、偽りその他不正の手段により当該認定を受けたことが判明したときは、その認定を取り消すことができるとされている(円滑化法規則9丸1三)。
  • 3  なお、上記は、相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)においても同様である(措法第70条の7の2丸24)。

(参考) 措置通70の7−45《措置法第70条の7第24項各号の価額の意義》

問3 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるための贈与

(問) 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるには、贈与者が有する議決権に制限のない株式等の全部を贈与しなければならないのか。

(答)

 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるためには、贈与の直前において贈与者(措置法第70条の7第1項に規定する一定の個人をいう。)が有する同条第2項第1号に規定する認定贈与承継会社(以下「認定贈与承継会社」という。)の議決権に制限のない株式又は出資(以下「株式等」という。)の数又は金額(以下「数等」という。)と贈与の直前に経営承継受贈者が有する当該認定贈与承継会社の議決権に制限のない株式等の数等の合計が、当該認定贈与承継会社の発行済株式等(議決権に制限のない株式等に限る。以下同じ。)の総数又は総額の3分の2を超えるか否かにより、丸1贈与者が有する議決権に制限のない株式等の全部を贈与しなければならない場合と、丸2一定数等以上贈与すれば贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる場合とに、特例の適用を受けるための贈与の態様が分かれる。したがって、贈与者が有する議決権に制限のない株式等の全部を贈与する必要がない場合がある。

(解説)

  • 1  贈与税の納税猶予の特例とは、経営承継受贈者が、贈与により、認定贈与承継会社の非上場株式等を当該認定贈与承継会社の代表権(制限が加えられた代表権を除く。)を有していた者(贈与者)から全部又は一定数等以上取得し、その会社を経営していく場合には、経営承継受贈者が納付すべき贈与税のうち、その会社の発行済株式等の総数又は総額の3分の2に達するまでの部分として一定の数等までを限度として、この特例の適用を受ける株式等に対応する贈与税の全額の納税が猶予されるものである。
  • 2  この特例の適用を受けるためには、贈与の直前に贈与者及び経営承継受贈者が有していた認定贈与承継会社の株式等(議決権に制限のないものに限る。)の数等の態様により、経営承継受贈者は、次に掲げる数等の贈与を受けなければならないこととされている。
    • (1) A+B≧C×2/3の場合は、C×2/3−B以上の贈与
    • (2) A+B<C×2/3の場合は、Aの全部の贈与
    (注) 上記算式中の符号は次のとおり。
    • Aは、贈与者が贈与の直前に有していた認定贈与承継会社の株式等の数等
    • Bは、経営承継受贈者が贈与の直前に有していた認定贈与承継会社の株式等の数等
    • Cは、認定贈与承継会社の発行済株式等の総数又は総額
  • 3  なお、経営承継受贈者は、上記2の(1)に該当した場合には(C×2/3−B)の数等、上記2の(2)に該当した場合にはAの全部の数等を限度として、この特例の適用を受けることができる。

(参考) 措置通70の7−2《特例受贈非上場株式等の意義等》

問4 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けなければならない株式等の数等

(問) 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるために必要な非上場株式等の贈与を受けたが、贈与を受けた株式等のうち贈与税の納税猶予の特例の対象となる株式の数又は金額(限度数又は限度額に達するまでの部分)の全部についてこの特例の適用を受ける必要があるか。

(答)

 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるためには、全部又は一定の数等(限度数又は限度額に達するまでの部分)の非上場株式等の贈与を受けなければならないが、その贈与を受けた株式等の数等(限度数又は限度額に達するまでの部分)の全部についてこの特例の適用を受ける必要はなく、この特例の対象となる株式等の数等を限度として選択した部分(数等)について特例の適用を受けることができる。

(解説)

  • 1  措置法第70条の7第1項本文では、「・・・、当該贈与が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める贈与であるときは、当該経営承継受贈者の当該贈与の日の属する年分の贈与税で相続税法第28条第1項の規定による申告書(・・・)の提出により納付すべきものの額のうち、当該非上場株式等で当該贈与税の申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの(・・・)に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、・・・、その納税を猶予する。」と規定しており、贈与税の納税猶予の特例は、全部又は一定数等以上の贈与がなされることを前提とし、この特例の対象となる株式等の限度数又は限度額に達するまでの部分のうち、選択した部分(数等)についてこの特例の適用を受けることができることとされている。
  • 2  したがって、限度数又は限度額に達するまでの部分の全部についてこの特例の適用を受けることは要件とされていない。
  • 3  なお、上記については、相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)及び贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)においても同様であり、措置法第70条の7の2第1項及び同法第70条の7の4第1項の規定において、それぞれ、「当該相続税の申告書にこの項の規定を受けようとする旨の記載があるもの(・・・)に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、・・・、その納税を猶予する。」と規定されている。

(参考) 措置通70の7−2《特例受贈非上場株式等の意義等》、措置通70の7の2−2《特例非上場株式等の意義》、措置通70の7の4−1《特例相続非上場株式等の意義》

問5 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる贈与(事業承継)の態様(1)

(問) 子A及び子Bは、それぞれ次のように株式の贈与を受けた。この場合に、贈与税の納税猶予の特例の適用が可能な贈与(事業承継)の態様に該当するか。

  • (1)父から子Aに対して甲株式会社の株式、子Bに対して乙株式会社の株式の贈与があった場合
  • (2)父から子Aに対して甲株式会社及び乙株式会社の株式の贈与があった場合
  • (3)父から子Aに対して甲株式会社の株式、母から子Bに対して乙株式会社の株式の贈与があった場合
  • (4)父から子Aに対して甲株式会社の株式、母から子Aに対して乙株式会社の株式の贈与があった場合
  • (5)父から子A及び子Bに対して甲株式会社の株式の贈与があった場合
  • (6)父から子Aに対して甲株式会社の株式の贈与が行われた後、母からも子Aに同会社の株式の贈与があった場合
  • (7)父から子Aに対して甲株式会社の株式、母から子Bに対して甲株式会社の株式の贈与があった場合

(答)

 次の表のとおりとなる。

  贈与者 贈与株式 受贈者 特例の適用が可能な贈与の態様であるかどうかの判定
(1) 甲社株 子A 該当
乙社株 子B 該当
(2) 甲社株 子A 該当
乙社株 該当
(3) 甲社株 子A 該当
乙社株 子B 該当
(4) 甲社株 子A 該当
乙社株 該当
(5) 甲社株 子A 該当
子B 非該当(子Aが納税猶予を適用する場合)
(6) 甲社株 子A 該当
(7) 甲社株 子A 該当
子B 非該当(子Aが納税猶予を適用する場合)

(解説)

  • 1  措置法第70条の7第8項において「第1項の規定は、贈与者から贈与により取得をした非上場株式等に係る会社の株式等について、同項の規定の適用を受けている他の経営承継受贈者又は次条第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営承継相続人等若しくは第70条の7の4第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営相続承継受贈者がある場合(第1項の規定の適用を受けようとする者が当該経営承継相続人等又は当該経営相続承継受贈者である場合を除く。)には、当該非上場株式等については、適用しない。」と規定し、同一の会社について贈与税の納税猶予の特例、相続税の納税猶予の特例又は贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例のいずれかの特例の適用を受けている者が他にいる場合には、当該納税猶予の特例の適用を受けている者以外の者は、当該同一の会社の株式等について納税猶予の特例の適用を受けることはできないこととされている。
  • 2  したがって、上記設例の(5)及び(7)について、子Aが、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている(あるいは、特例の適用を受ける)場合には、子Bは、当該同一の会社の非上場株式等について、贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)、相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)又は贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)のいずれの特例の適用も受けることはできない。

(参考) 措置通70の7−34《既に非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例等の適用を受けている他の者がいる場合等》

問6 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる贈与(事業承継)の態様(2)

(問) 子Aが甲株式会社の株式について次に掲げる納税猶予の特例の適用を現に受けている場合において、その後、子Aが母から同一会社である甲株式会社の株式を新たに贈与により取得をした場合、子Aは、当該母からの贈与について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか。

  • (1)父から贈与により取得をした甲株式会社の株式について「贈与税の納税猶予の特例」(措法70の7丸1)の適用を受けている場合
  • (2)母から贈与により取得をした甲株式会社の株式について「贈与税の納税猶予の特例」の適用を受けている場合
  • (3)父から相続により取得をした甲株式会社の株式について「相続税の納税猶予の特例」(措法70の7の2丸1)の適用を受けている場合
  • (4)父から贈与により取得をした甲株式会社の株式について「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例」(措法70の7の4丸1)の適用を受けている場合

(答)

  • 1  (1)、(3)及び(4)については、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる贈与の態様に該当する。したがって、その他の特例適用要件を満たせば納税猶予の適用は可能である。
  • 2  (2)については、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。

(解説)

  • 1  (1)、(3)及び(4)については、措置法第70条の7第8項かっこ書において「第1項の規定の適用を受けようとする者が(略)当該経営承継受贈者である場合を除く。」と規定されていることから、既に、父から贈与(又は相続)により甲株式会社の株式を取得し、贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)、相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)又は贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)の適用を受けている場合であっても、その後に母から贈与により取得をした同一会社である甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることは可能である。
  • 2  (2)については、措置法第70条の7第1項かっこ書において、贈与者が「当該認定贈与承継会社の非上場株式等について既にこの条の規定の適用に係る贈与をしているものを除く。」と規定されていることから、既に、甲株式会社の株式について母から贈与を受け、贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)の適用を受けている場合には、その後に同じ贈与者である母から同一会社である甲株式会社の株式について贈与を受けたとしても、当該株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。

問7 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができない贈与(事業承継)の態様(1)

(問) 子Aが甲株式会社の株式について次に掲げる納税猶予の特例の適用を現に受けている場合において、その後、子Bが同一会社である甲株式会社の株式の贈与を受けた。この場合に、子Bは、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか。

  • (1)子Aが贈与により取得をした甲株式会社の株式について「贈与税の納税猶予の特例」(措法70の7丸1)の適用を受けている場合
  • (2)子Aが相続により取得をした甲株式会社の株式について「相続税の納税猶予の特例」(措法70の7の2丸1)の適用を受けている場合
  • (3)子Aが贈与により取得をした甲株式会社の株式について、贈与者が死亡したことにより「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例」(措法70の7の4丸1)の適用を受けている場合

(答)

 (1)から(3)のいずれの場合についても、子Bは贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。

(解説)

 措置法第70条の7第8項において「第1項の規定は、贈与者から贈与により取得をした非上場株式等に係る会社の株式等について、同項の規定の適用を受けている他の経営承継受贈者又は次条第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営承継相続人等若しくは第70条の7の4第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営相続承継受贈者がある場合(第1項の規定の適用を受けようとする者が当該経営承継相続人等又は当該経営相続承継受贈者である場合を除く。)には、当該非上場株式等については、適用しない。」と規定し、同一の会社について贈与税の納税猶予の特例、相続税の納税猶予の特例又は贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例のいずれかの特例の適用を受けている者が他にいる場合には、当該納税猶予の特例の適用を受けている者以外の者は、当該同一の会社の株式等について納税猶予の特例の適用を受けることはできないこととされている。

(参考) 措置通70の7−34《既に非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例等の適用を受けている他の者がいる場合等》

問8 贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができない贈与(事業承継)の態様(2)

(問) 長男Aは、贈与者である父から甲株式会社の株式の贈与を受け、当該株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていたが、贈与者である父よりも先に死亡し、猶予中贈与税額に相当する贈与税は免除された。
 その後、次男Bが、同じ贈与者である父から同一会社である甲株式会社の株式の贈与を受けた。この場合に、次男Bは、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか。

(答)

 贈与者である父が、亡長男Aに対し甲株式会社の株式について既に贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)の適用に係る贈与をしているため、次男Bは、甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。

(解説)

  • 1  措置法第70条の7第8項において「第1項の規定は、贈与者から贈与により取得をした非上場株式等に係る会社の株式等について、同項の規定の適用を受けている他の経営承継受贈者又は次条第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営承継相続人等若しくは第70条の7の4第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営相続承継受贈者がある場合(第1項の規定の適用を受けようとする者が当該経営承継相続人等又は当該経営相続承継受贈者である場合を除く。)には、当該非上場株式等については、適用しない。」と規定し、同一の会社について贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)、相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)又は贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)のいずれかの特例の適用を受けている者が他にいる場合には、当該納税猶予の特例の適用を受けている者以外の者は、当該同一の会社の株式等について納税猶予の特例の適用を受けることはできないこととされている。
  • 2  問について、長男Aは既に死亡し、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていないが、措置法第70条の7第1項かっこ書により「当該認定贈与承継会社の非上場株式等について既にこの条の規定の適用に係る贈与をしているものを除く。」と規定され、贈与者である父が、亡長男Aに対し甲株式会社の株式について既に贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)の適用に係る贈与をしているため、次男Bは、同じ贈与者から贈与を受けた同じ会社である甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることはできない。

(参考) 措置通70の7−34《既に非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例等の適用を受けている他の者がいる場合等》

問9 贈与税の納税猶予の特例と相続税の納税猶予の特例の適用関係(1)

(問) 子Aは、父から贈与を受けた甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていたが、その後、贈与者である父が死亡し、当該父の死亡による相続又は遺贈に係る相続税の申告において贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)の適用を受けることとなった。
 ところで、子Aは、父が生前に保有していた甲株式会社の株式を相続により取得をしたが、当該相続により取得をした株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることができるか。

(答)

 子Aは、父の相続が開始した時において、父から贈与により取得をした甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていることから、父から相続により取得をした(同じ会社である)甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることはできない。

(解説)

  • 1  措置法第70条の7の2第1項かっこ書において、相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の対象となる非上場株式等は、「次条(措置法第70条の7の3)第1項の規定により当該被相続人から相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる同項の特例受贈非上場株式等に係る認定承継会社の株式等を除く。」と規定されている。(注) 措置法第70条の7の4第6項においても同趣旨の規定が置かれている。
  • 2  問について、子Aは、父の相続が開始した時において、父から贈与により取得をした甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けており、措置法第70条の7の3第1項の規定により、相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる特例受贈非上場株式等である甲株式会社の株式があることから、父から相続により取得をした(同じ会社の株式である)甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることはできない。

(参考) 措置通70の7の2−3《相続税の納税猶予の対象とならない非上場株式等》

問10 贈与税の納税猶予の特例と相続税の納税猶予の特例の適用関係(2)

(問) 子Aは、父から贈与を受けた甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていたが、その後、贈与者である父が死亡した。
 ところで、父の死亡による相続又は遺贈に係る相続税の申告において贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)の適用を受けないこととした場合、子Aは、父から相続により取得をした甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることができるか。

(答)

 子Aは、父の相続が開始した時において、父から贈与により取得をした甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていることから、父から相続により取得をした(同じ会社である)甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることはできない。

(解説)

  • 1  措置法第70条の7の2第1項かっこ書において、相続税の納税猶予の特例の対象となる非上場株式等は、「次条(措置法第70条の7の3)第1項の規定により当該被相続人から相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる同項の特例受贈非上場株式等に係る認定承継会社の株式等を除く。」と規定されている。
  • 2  問について、子Aは、父の相続が開始した時において、父から贈与により取得をした甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていることから、当該特例の適用を受けている特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の3第1項の規定により、「贈与者の死亡による相続又は遺贈に係る相続税については、当該経営承継受贈者が当該贈与者から相続(又は遺贈)により同条(措置法第70条の7)第1項の規定の適用を受ける特例受贈非上場株式等の取得をしたもの」とみなされる。
  • 3  したがって、措置法第70条の7の3第1項の規定により、子Aが相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる特例受贈非上場株式等である甲株式会社の株式がある場合には、同法第70条の7の2第1項かっこ書の規定により、当該株式について贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例(措法70の7の4丸1)の適用を受けるか否かにかかわらず、父から相続により取得をした(同じ会社の株式である)甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることはできない。

(参考) 措置通70の7の2−3《相続税の納税猶予の対象とならない非上場株式等》

問11 贈与税の納税猶予の特例と相続税の納税猶予の特例の適用関係(3)

(問) 子Aは、父から贈与を受けた甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていたが、途中、猶予中贈与税額の全部について期限が確定し、その後、贈与者である父が死亡した。
 ところで、子Aは、父が生前に保有していた甲株式会社の株式を相続により取得をしたが、当該相続により取得をした株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることができるか。

(答)

 子Aについては、父の相続が開始した時において、贈与税の納税猶予の特例(措法70の7丸1)の適用を受ける特例受贈非上場株式等を有していないことから、父から相続により取得をした甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることは可能である。

(解説)

  • 1  措置法第70条の7の2第1項かっこ書において、相続税の納税猶予の特例の対象となる非上場株式等は、「次条(措置法第70条の7の3)第1項の規定により当該被相続人から相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる同項の特例受贈非上場株式等に係る認定承継会社の株式等を除く。」と規定されている。
  • 2  問について、子Aは、父から贈与を受けた甲株式会社の株式について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていたが、贈与者である父が死亡する前に猶予中贈与税額の全部について納税の猶予に係る期限が確定しており、贈与者である父の相続が開始した時において、措置法第70条の7の3第1項の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる特例受贈非上場株式等を有していない。
  • 3  したがって、子Aが父から相続により取得をした甲株式会社の株式は、措置法第70条の7の2第1項かっこ書により除外される特例受贈非上場株式等に係る認定承継会社の株式等に該当しないことから、当該相続により取得をした甲株式会社の株式について相続税の納税猶予の特例(措法70の7の2丸1)の適用を受けることは可能である。

(参考) 措置通70の7の2−3《相続税の納税猶予の対象とならない非上場株式等》