個人課税課情報 第7号 平成25年12月11日 国税庁
個人課税課

 平成13年7月に相続が開始した被相続人の遺産について、民法第900条第4号ただし書の規定のうち「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとの部分(民法第900条第4号ただし書前段。以下「嫡出に関する規定」という。)を適用して遺産の分割をすべきかが争われていた遺産分割審判に係る特別抗告事件において、最高裁判所は、平成25年9月4日付の最高裁決定において、嫡出に関する規定は「違憲」との判断(以下「違憲決定」という。)をしたところである。
 また、民法の一部を改正する法律(平成25年法律第94号。以下「民法改正法」という。)により、嫡出に関する規定が削除されたところである。
 標題のことについては、当該違憲決定及び民法改正法を踏まえ、下記のとおり取りまとめたので、執務の参考とされたい。

(注) 民法改正法は、平成25年12月11日に公布・施行され、平成25年9月5日以後に開始された相続について適用することとされている。以下、民法改正法による改正前の民法を「旧民法」、改正後の民法を「新民法」という。

1 未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額
 未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額については、次の区分に応じ、それぞれ次のとおり取り扱う。

(1) 平成25年9月5日以後に開始された相続の場合
 新民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。

(2) 平成25年9月4日以前に開始された相続の場合
 旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。

(3) (2)のうち、平成13年7月から平成25年9月4日までの間に開始された相続の場合
 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期に応じ、次のとおり取り扱う。

1 その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等
 旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。

2 その収入すべき時期が平成25年9月5日以後である賃貸料等
 嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。

2 供託された賃貸料等に係る調整
 上記1の(3)の場合において、未分割遺産から生ずる不動産の賃貸料等が供託され、当該供託に係る供託金の全部又は一部についての払渡請求が、平成25年9月5日以後に行われたときは、嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分により払渡しが行われることとされている(法務省民事局に確認済)。
 このため、その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等について供託されている場合には、当該賃貸料等について各相続人が不動産所得の総収入金額に算入した金額の合計額と各相続人に帰属する供託金の額に差額が生じることとなるが、この差額については、平成25年分の不動産所得に係る総収入金額又は必要経費に算入する。

(参考)未分割遺産から生ずる不動産所得の取扱い
 相続財産について遺産分割が確定していない場合、その相続財産は各共同相続人の共有に属するものとされ、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものとされているところ、未分割遺産から生ずる不動産所得については、遺産分割が確定するまでの間は、各相続人にその法定相続分に応じて帰属することとなる。
 なお、遺産分割協議が整い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼさない。