○ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」の一部改正について

 

1 税制改正の内容

 株式等に係る譲渡所得等に関する税制については、平成20年度及び平成21年度改正において、平成21年分から適用されるものとして、次のような改正が行われている。

(1) 上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の廃止

 居住者等が、平成15年1月1日から平成20年12月31日までの間に、上場株式等の金融商品取引業者等への売委託に基づく譲渡等をした場合には、その上場株式等の譲渡による上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額に対する所得税の税率は、7%(本則は15%)の軽減税率とする特例が設けられていたが、平成20年度及び平成21年度改正により、適用期限をもってこの特例を廃止し、本則税率移行時までの経過措置として、平成21年1月1日から平成23年12月31日までの譲渡等については、従来の軽減税率と同じく、7%税率を引き続き適用することとされた(旧措法37の11の廃止、平成21年改正後の平成20年改正法附則43)。
 また、源泉徴収を選択した特定口座において源泉徴収及び還付の際に適用される税率もこれと同様の改正が行われた(旧措法37の11の45の廃止、平成21年改正後の平成20年改正法附則4512)。

(2) 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の改正

 確定申告書を提出する居住者等が、上場株式等に係る譲渡損失の金額(この特例の適用を受けて前年以前において控除されたものを除く。)を有する場合には、一定の要件の下で、その上場株式等に係る譲渡損失の金額は、その年分の翌年以後3年内の各年分の株式等に係る譲渡所得等の金額からの繰越控除ができることとされていたが、平成20年度改正においてこの特例を改組し、1上場株式等に係る譲渡損失の金額の発生年(平成21年分以後に限る。)において申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額との損益通算を導入するとともに、2上場株式等に係る譲渡損失の金額を繰越控除する場合の対象所得に申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額を追加することとされた(措法37の12の216)。

(3) 公募株式等証券投資信託の終了又は一部解約時の課税の改正

 公募株式等証券投資信託の終了又は一部の解約により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額については、従来、これを配当所得部分と株式等の譲渡所得等の部分に区分して課税することとされていたが、平成20年度改正により、平成21年1月1日以後に公募株式等証券投資信託の終了及び一部の解約により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額については、そのすべてを株式等の譲渡所得等として課税することとされた(措法37の104一、平成20年改正法附則42)。

2 通達改正の内容

 今回の通達改正は、上記1の改正などに伴って、1条文の改廃に伴う形式的な改正、2定義規定の異動に伴う形式的な改正、3軽減税率の経過措置に対応した経過的取扱いを定める、といった改正を行ったものであり、内容についての実質的な改正は行っていない。