「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第37条の14《特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税》関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

37の14−11 取得期間内に取得をしたものとされる上場株式等に該当するかどうかの判定は、措置法令第25条の13の2第4項の規定 によるが、この場合に、次に掲げる事由により取得し引き続き所有していたものとみなされる上場株式等については、次に掲げる事由の区分に応じそれぞれ次に 定める日を当該上場株式等の取得の日とみなして判定を行うことに留意する。

(1) 同条第5項第1号に規定する株式の分割又は併合により取得した上場株式等
その株式の分割又は併合により取得した上場株式等のその取得の基因となった株式等の取得の日

(2) 同条第5項第2号に規定する株式無償割当てにより取得した上場株式等
その株式無償割当てにより取得した上場株式等のその取得の基因となった株式等の取得の日

(3) 同条第5項第3号に規定する「法人の合併」により取得した上場株式等(合併法人株式)
その法人の合併により取得した合併法人株式のその取得の基因となった被合併法人の株式の取得の日

(4) 同条第5項第4号に規定する「法人の分割」により取得した上場株式等(分割承継法人の株式)
その法人の分割により取得した分割承継法人の株式のその取得の基因となった分割法人の株式の取得の日

(5) 同条第5項第5号に規定する株式交換又は株式移転により取得した上場株式等(株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人の株式)
その株式交換又は株式移転により取得した株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人の株式のその取得の基因となった株式の取得の日

(6) 同条第5項第6号に規定する取得事由の発生又は取得決議により取得した上場株式等
その取得事由の発生又は取得決議により取得した株式のその取得の基因となった株式(取得条項付株式又は全部取得条項付種類株式)の取得の日

≪説明≫

1 「特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税」の対象となる「特定上場株式等」は、上場株式等で居住者等が平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間(以下「取得期間」という。) に取得したものをいうが、次に掲げる事由が生じた場合には、当該事由により取得した上場株式等 (以下「取得上場株式等」という。)は、当該居住者が引き続き所有していたものとみなし、当該取 得上場株式等の取得の基因となった事由の区分に応じそれぞれの事由において定める日を当該上 場株式等の取得の日として、取得期間に取得をしたものかどうかの判定を行うこととされており、 改正前の本項は、その内容を留意的に示しているものである。

(1) 措置法令第25条の13の2第5項第1号に規定する株式の分割又は併合により取得した上場株 式等

(2) 改正前の措置法令第25条の13の2第5項第2号に規定する法人の合併により取得した上場株 式等

(3) 改正前の措置法令第25条の13の2第5項第3号に規定する法人の分割により取得した上場株 式等

(4) 改正前の措置法令第25条の13の2第5項第4号に規定する株式交換又は株式移転により取得 した上場株式等

2 会社法第185条においては、「株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当てをすることができる。」 と規定され、株主に対して払込みや申込み等の手続を経ることなく株式が割り当てられる株式無償 割当て制度が創設された。また、取得条項付株式(株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内 容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定 めを設けている場合における当該株式)や全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得することができる旨の定めがある種類の株式)の制度が創設された。
 この株式無償割当てや取得条項付株式の取得事由の発生等による株式の取得については、株式の分割や株式交換等と同様にその株主の意思とは関係なく発生す るものであることから、平成18年度税制改正において、上記1の取得上場株式等を居住者等が引き続き所有していたものとみなす事 由の範囲に、会社法において新たに創設された株式無償割当て及び取得条項付株式の取得事由の発 生等による株式の取得が追加されるとともに、所得税法における株式交換・株式移転に係る譲渡所 得等の課税の繰延制度の創設に伴う文言の整理が行われた。

3 このため、本項においては、新たに追加された事由の区分に応じ、それぞれ次に定める日を当該 取得上場株式等の取得の日として上記1の判定を行うことを留意的に示すとともに、所得税法にお ける株式交換・株式移転に係る譲渡所得等の課税の繰延制度の創設に伴う文言の整理に伴う改正を 行ったものである。

(1)  居住者等が有する上場株式等(以下「従前の上場株式等」という。)を発行した法人の会社法第185条に規定する株式無償割当て(当該株式無償割当てによ り当該従前の上場株式等と同一の種類の株式が割り当てられる場合の当該株式無償割当てに限る。)により取得した上場株式等
 当該株式無償割当てにより取得した上場株式等のその取得の基因となった株式等の取得の日

(2) 所得税法第57条の4第3項第2号に規定する取得条項付株式の同号に規定する取得事由の発生により交付を受ける同号の株式
 当該取得事由の発生により取得した株式のその取得の基因となった株式(取得条項付株式)の取得の日
この場合において、「所得税法第57条の4第3項第2号に規定する取得条項付株式」とは、法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該法人が一定の事由(取得事由)が発生し たことを条件として当該株式の取得をすることができる旨の定めを設けている場合の当該株式 をいい、「同号に規定する取得事由の発生により交付を受ける同号の株式」とは、当該取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得 をする法人の株式のみが交付される場合(その取得の対象となった種類の株式のすべてが取得をさ れる場合には、その取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含む。)の当該取得事由の発生により交付を受ける株式であること に留意する。

(3) 所得税法第57条の4第3項第3号に規定する全部取得条項付種類株式の同号に規定する取得 決議により交付を受ける同号の株式
 当該取得決議により取得した株式のその取得の基因となった株式(全部取得条項付種類株式)の取得の日
この場合において、「所得税法第57条の4第3項第3号に規定する全部取得条項付種類株式」 とは、ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議 (取得決議)によってその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいい、「同号に規定する取得決議により交付を受ける同号の株式」とは、当該全部取得条項付種類株式に係る 取得決議によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合又は当該取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合の当該取得決議により交付を受ける株式であることに留意する。