「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第37条の13《特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等》関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

37の13−3 特定株式の払込みによる取得の後、その取得の日の属する年の12月31日までの期間内に、当該特定株式に係る同一銘柄株式につき分割、併合又は会社法(平成17年法律第86号)第185条に規定する株式無償割当て(当該株式無償割当てにより当該特定株式と同一の種類の株式が割り当てられるものに限る。以下この項において同じ。)があった場合の措置法令第25条の12第2項に規定する控除対象額(以下37の13-5までにおいて「控除対象額」という。)の計算は、同条第3項から第6項の規定に基づき、次のように行う。

《計算例》
取得の状況

イ 払込みにより取得をした特定株式の取得に要した金額の合計額

1,000,000円(Aの取得)+500,000円(Dの取得)=1,500,000円・・・1

ロ 払込みにより取得をした特定株式の数

{2,000株(Aの取得)×2(分割の比率)+1,000株(Dの取得)}× [1+1,500÷3,000]
(株式無償割当ての比率)7,500株・・・2

ハ 譲渡又は贈与をした同一銘柄株式の数

1,000株(Bの譲渡)×2(分割の比率)× [1+1,500÷3,000](株式無償割当ての比率)3,000株・・・3

ニ 控除対象特定株式数

7,500株2)−3,000株3)=4,500株・・・4

ホ 控除対象額(その年の株式等に係る譲渡所得等の金額が限度)

(1,500,000円(1)÷7,500株2))×4,500株4)=900,000円

(注) 同条第5項に規定する分割又は併合の比率とは、分割又は併合後に有することとな った株式数の分割又は併合前に有していた株式数で除して得た数をいうことに留意す る。したがって、上記ロ及びハの分割の比率は、2,000株÷1,000株=2となる。

≪説明≫

1 平成15年4月1日以後に、中小企業の新たな事業活動の促進に 関する法律第7条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社等(以下「特定中小会社」という。)により発行される株式(以下「特定株式」という。) を払込により取得(いわゆるストックオプション税制の適用を受けるものを除く。)をした居住者等(特定中小会社の同族株主など一定の者を除く。)が、その 特定株式を払込みにより取得をした場合における株式等に係る譲渡所得等の金額の計算においては、その年中にその払込みにより取得をした特定株式(その年 12月31日において有するものに限る。以下「控除対象特定株式」という。)の取得に要した金額の合計額(この特例の適用前の株式等に係る譲渡所得等の金 額を限度とする。)を控除することとされている(措法37の13、措令25の12、措規18の15)。

2  この場合において、控除対象特定株式の取得に要した金額(控除対象額)は、居住者等がその年中に払込みにより取得をした特定株式の銘柄ごとに、その払込 みにより取得をした特定株式の取得に要した金額の合計額をその取得をした特定株式の数で除して計算した金額に次のイからロを控除した控除対象特定株式数を 乗じて計算することとされている(措令25の1234)。

イ その年中に払込みにより取得をした特定株式の数

ロ その年中に譲渡又は贈与をしたその特定株式と同一銘柄株式の数
また、特定株式の払込みによる取得の後、その取得の日の属する年の12月31日までの期間内に、 その特定株式に係る同一銘柄株式につき分割又は併合があった場合には、株式数に移動が生じるこ とから、控除対象特定株式数の計算上、その分割又は併合の前にされた取得、譲渡及び贈与に係る 株式の数は、その取得、譲渡及び贈与がされた数にその分割又は併合の比率を乗じて得た数をもっ て計算することとされている(措令25の125)。

(注) その取得の日の属する年の12月31日までの期間内に、2回以上にわたって分割又は併合があった場合には、そ の取得、譲渡及び贈与がされたすべての分割又は併合の比率の積に相当する比率を乗じて得た数をもって計算することとなる。

3  会社法において新たに株式無償割当て制度が創設されたが、この株式無償割当てについては、株主が有する株式の数に応じて一律に株式が割り当てられるとい う面で株式分割とその効果が類似していることから、平成18年度税制改正において、特定株式に係る同一銘柄株式につき株式無償割当て(当該株式無償割当て により当該特定株式と同一の種類の株式が割り当てられるものに限る。)があった場合においても、上記2の計算に当たっては、その割り当てられた株式を加味 したところで計算することとされたところである(措令25の126)。
 この改正を受け、払込みによる取得の後に株式の分割等があった場合の控除対象額の計算方法を計算例で示している本項において、株式の取得後に株式無償割当てがあった場合の具体的な計算例を追加して示したものである。