【照会】

 平成13年度の税制改正において、減価償却資産の減価償却費の損金算入の規定について、次のような改正が行われています(法311)。

(改正前)
「内国法人の減価償却資産につきその償却費として第22条第3項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入する金額は………」

(改正後)
「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第22条第3項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は………」

 ところで、改正前の圧縮記帳制度の取扱いとして、期中に減価償却資産を譲渡する一方で買換資産を取得し、特定資産の買換えの特例の規定(措法65の7)を適用する場合において、当該譲渡資産の差益割合の計算における「譲渡直前の帳簿価額」については、期首の帳簿価額から期首から譲渡時までの期間に係る減価償却費を控除した後の金額とすることが認められていました。
 ところが、改正後においては、文理上、期末に有する減価償却資産について償却費の計算を行うとされていることから、期中に譲渡した資産について期首から譲渡時までの期間に係る減価償却費を控除した後の金額を帳簿価額とすることが認められないのではないか、といった疑問があります。
 改正後においても、従来どおりの取扱いが認められるでしょうか。


【回答】

 従前どおり取り扱って差し支えないと考えられます。
 平成13年度の改正は、適格分社型分割等により期中に移転する減価償却資産の償却費の計上(期中損金経理額)と、一般的に期末に行われる減価償却費の計上とを区分するために行われたものであり、期中譲渡資産の譲渡時までの資産の減価部分の計上を否定する趣旨の改正ではありません。
 また、月次決算を行っている法人では、一般的に各月ごとに減価償却費を計上しており、会計上も譲渡資産については譲渡時までの減価償却を行うことの方が理論的でもあることから、圧縮記帳の計算において従前どおり取り扱っても差し支えないものと考えられます。