ソフトウエア・リース取引に係る税務上の取扱いについて、社団法人リース事業協会から別紙のとおり照会があり、これに対して「貴見のとおりで差し支えありません。」との口頭回答を行いました(平成12年12月掲載)。


別紙

 当協会は、ソフトウエアに関する平成12年度税制改正及び会計基準の改正等を踏まえ、今般、ソフトウエア・リース取引の仕組み並びに税務上の取扱いについて下記のとおりとりまとめましたので、念のため貴見を伺いたくご照会します。

1 ソフトウエア・リース取引の仕組み

 ソフトウエア・リース取引の基本的な仕組みは、ハードウエア・リース取引と同じである。しかし、ソフトウエアが無形固定資産であるため、次のような特徴がある。

(1) ソフトウエア・リース取引の形態
 ソフトウエア・リース取引は、リース会社がメーカー等(著作者、販売者等)との間で、「ソフトウエア使用権(無形固定資産)設定契約」に基づき使用権を取得(購入)し、そのソフトウエア使用権をリース契約に基づきユーザー(使用者)に再許諾する賃貸借取引であること。

(注) これらのソフトウエア・リース取引の「転賃貸借取引」が含まれる。

(2) リース取引の対象とするソフトウエア
 リース取引の対象とするソフトウエアは、ユーザーが使用(当該ユーザーの子会社・関連会社等と共用する場合を含む。以下同じ。)するために開発したソフトウエアの使用権又はユーザーが使用するためにメーカー等が開発したソフトウエア(いわゆる汎用ソフトウエアを含む。)の使用権であること。

(3) ソフトウエアのリース期間終了時又は中途解約時の処理
 ソフトウエア・リース契約の終了時又は中途解約時において、ユーザーは当該ソフトウエアの使用を終了する旨を記載した書面(以下「契約終了通知書」という。)をリース会社に対して交付することにより返還・廃棄を行い、リース会社は、原則として、ユーザーから受領した「契約終了通知書」の写しをメーカー等に送付するものであること。ただし、リース会社のメーカー等への「契約終了通知書」の写しの送付については、その契約に別段の定めがある場合は、当該契約に基づき処理することができるものであること。

2 ソフトウエア・リース取引の税務上の取扱い

 ソフトウエア・リース取引に係る税務上の取扱いは、基本的には法人税法施行令第136条の3《リース取引に係る所得の計算》及び法人税基本通達第12章の2《リース取引》の規定にてこれを処理するものとする。
  この場合、前掲「ソフトウエア・リース取引の仕組み」のとおり、リース資産が一般の動産とは異なり、ソフトウエア使用権(無形固定資産)であるため、その識別、専用性の判定、使用状態の確認、又はリース期間終了時におけるソフトウエアの返還・廃棄・消去等の方法等、通常のリース取引に比し、実務上、配慮すべき点があることを勘案し、法人税法施行令第136条の3第1項《売買とされるリース取引》又は同条第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の判定に関して、以下に掲げるものは以下のとおり取り扱うこととする。

(1) 次のリース期間によるものは、法人税法施行令第136条の3第1項の売買取引に該当しない。

1 当該ソフトウエアの耐用年数とリース期間とが合致しているもの(例示:5年のもの)又は当該ソフトウエアの耐用年数以上で、かつ、当該耐用年数の100分の120以下のもの(例示:5年以上6年以下のもの)。

2 リース期間がハードウエアの耐用年数を基準として、ハードウエアと一体で設定されて取引されているもの(例示:ハードウエアの耐用年数6年の場合、4年(6年×70%)以上6年(5年×120%)以下のもの)。

(注) 「リース期間がハードウエアの耐用年数を基準として、ハードウエアと一体で設定されて取引されているもの」とは、ハードウエアと一体で使用されるもので、かつ、既往のリース取引の状況等からみて、リース期間終了時に返還・使用終了等又は再リースがハードウエアと同時付随的に行われるもの。

(2) 次に掲げるものは、法人税法施行令第136条の3第2項の金銭の貸借とされるリース取引に該当しない。

1 リースバック取引でないもの

2 法人税基本通達12の2−3−1《金銭の貸借とされるリース取引の判定》(1)及び(2)に該当するもの若しくはこれらに準ずるもの。

(以上)