【新設】(移転資産の範囲−借地権の設定)

1−4−11 分割、現物出資又は事後設立による資産の移転には、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人を借地権者とする借地権の設定(令第138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がある設定に限る。)が含まれる。

(注) この場合における当該借地権に係る法第62条第2項《合併及び分割による資産等の時価による譲渡》若しくは法第62条の5第1項《適格事後設立による資産等の時価による譲渡と株式の帳簿価額修正益又は帳簿価額修正損の益金又は損金算入》に規定する「原価の額」又は法第62条の2第1項《適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ》、法第62条の3《適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡》若しくは法第62条の4第1項《適格現物出資による資産等の帳簿価額による譲渡》に規定する「帳簿価額」は、当該借地権に係る土地につき令第138条第1項の規定により損金の額に算入される金額に相当する金額をいう。

【解説】

 法人が、分割、現物出資又は事後設立により、他人の土地の上に現に有している借地権を移転した場合に当該借地権がその分割等の移転資産とみることに疑義は生じない。しかし、法人が土地・建物を有する場合において、分割等により建物は移転するが土地そのものは移転資産とせず、分割承継法人等のために新たに借地権を設定し、これを移転資産とすることもあり得る。この場合、新たに借地権を設定するという形で借地権を移転する場合にその借地権は移転資産に含まれるかという疑問が生じる。
 しかしながら、法人税法では、借地権の設定により土地の時価が2分の1以下に低下したため、 法人税法施行令第138条の規定により土地の帳簿価額の一部算入の適用がある場合には、いわば土地の部分的譲渡があったものとして取り扱うこととしており、それが分割等に際して行われた場合には、その借地権の設定は、借地権そのものを移転したとみることが相当である。
 本通達ではこのことを明らかにしている。
 ところで、この場合には当該借地権はもともと分割法人等において独立して記帳されていたものではないため、分割法人等における移転直前の当該借地権の原価の額又は帳簿価額をいかなる金額とするかが問題となる。
 この点、本通達の(注)においては、このような場合の借地権の原価の額又は帳簿価額はその借地権に係る土地につき法人税法施行令第138条の規定により損金の額に算入される金額に相当する金額をいうことを明らかにしている。

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