第8章 無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務

第2節 第二次納税義務を負う者

(第二次納税義務を負う者)

101 第二次納税義務を負う者は、無償譲渡等の処分により権利を取得し、又は義務を免れた者である。この場合の「権利を取得し、又は義務を免がれた者」とは、無償譲渡等の処分により所有権、地上権、賃借権、無体財産権その他の財産権を取得した者又は債務の免除により債務を免れた者若しくは負うべき債務を免れた者をいう(徴基通第39条関係10)。

(親族その他の特殊関係者)

102 「親族その他の特殊関係者」とは、次に掲げる者をいう(徴収令14条2項)。
 なお、親族その他の特殊関係者の調査は、96の(1)《生計を一にする親族その他の特殊関係者の調査》と同様であるが、これらの者に該当するかどうかの判定は、無償譲渡等の処分の基因となった契約が成立した時(予約契約の場合には、その予約契約が成立した時)の現況により行う(徴基通第39条関係11参照)。

  1. (1) 滞納者の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹
     なお、これらの者については、滞納者と生計を一にしていない者も含まれることに留意する(基本通達第39条関係11−2)。
  2. (2) (1)に掲げる者以外の滞納者の親族で、滞納者と生計を一にし、又は滞納者から受ける金銭その他の財産により生計を維持しているもの
     なお、これらの者については、次に留意する。
    • イ 滞納者の親族とは、民法第725条《親族の範囲》に規定する親族のうち(1)に掲げる者を除いた六親等内の血族及び三親等内の姻族であること(徴基通第39条関係11−3)。
    • ロ 生計を一にするとは、91の(1)のイの(イ)《生計を一にする者》と同様であること。
    • ハ 生計を維持しているとは、95の(1)のハ《生計を一にする親族その他の特殊関係者》と同様であること。
  3. (3) (1)及び(2)に掲げる者以外の滞納者の使用人その他の個人で、滞納者から受ける特別の金銭その他の財産により生計を維持しているもの
     なお、滞納者から受ける特別の金銭とは、95の(2)《特別の金銭》と同様である。
  4. (4) 滞納者に特別の金銭その他の財産を提供してその生計を維持させている個人((1)及び(2)に掲げる者を除く。)
     なお、財産を提供している場合については、95の(3)《財産を提供している場合》と同様である。
  5. (5) 滞納者が法人税法第2条第10号《同族会社の定義》に規定する会社に該当する会社である場合には、その判定の基礎となった株主又は社員である個人及びその者と(1)から(4)までのいずれかに該当する関係がある個人
     なお、この場合における同族会社の判定は、91の(2)のイ《第二次納税義務を負う者の範囲》と同様である。
     また、同族会社の株主又は社員の1人又は2人の有する株式又は出資が、発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える場合等においては、同族会社の「判定の基礎となった株主又は社員である個人」は、その1人又は2人の株主又は社員のうちの個人に限る(徴基通第39条関係11−5)。
  6. (6) 滞納者を判定の基礎として同族会社に該当する会社
     なお、「滞納者を判定の基礎として同族会社に該当する会社」とは、滞納者がその会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は額を有する場合等におけるその会社をいう(徴基通第39条関係11−6)。
  7. (7) 滞納者が同族会社である場合において、その判定の基礎となった株主又は社員(これらの者と(1)から(4)までに該当する関係がある個人及びこれらの者を判定の基礎として同族会社に該当する他の会社を含む。)の全部又は一部を判定の基礎として同族会社に該当する他の会社
     なお、「同族会社に該当する他の会社」とは、具体的には次に掲げる会社をいう(徴基通第39条関係11−7)。
    • イ 下図のA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、E1及びE2
    • ロ 下図のA、A1、B、B1、C、C1、D、D1、E及びE1の全部又は一部を判定の基礎として同族会社に該当する会社
       例えば、次に掲げる会社が該当する。
      • (イ) A、Bを判定の基礎として同族会社に該当する会社
      • (ロ) C、D1を判定の基礎として同族会社に該当する会社
      • (ハ) B1、C1を判定の基礎として同族会社に該当する会社

同族会社に該当する他の会社の図

(注)

  1. 1 徴収令第14条第2項第7号《無償又は著しく低額の譲渡の範囲等》の「判定の基礎となつた株主又は社員」については、91の(2)のイと同様である。
  2. 2 上図のうちA(個人である場合に限る。)、B、C、D及びEは、徴収令第14条第2項第5号《無償又は著しく低額の譲渡の範囲等》の特殊関係者に該当する。
  3. 3 徴収令第14条第2項第7号かっこ書《無償又は著しく低額の譲渡の範囲等》のうち前者の「これらの者」とは上図のAをいい、後者の「これらの者」とは上図のA、B、C、D及びEをいう。
  4. 4 徴収令第14条第2項第7号かっこ書《無償又は著しく低額の譲渡の範囲等》の「同族会社に該当する他の会社」とは、上図のA1、B1、C1、D1及びE1をいう。

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