第6章 共同的な事業者の第二次納税義務

第2節 第二次納税義務を負う者

(第二次納税義務を負う者)

91 第二次納税義務を負う者は、重要財産を有し、かつ、その財産に関して生ずる所得が、納税者の所得となっている場合における次に掲げる者である。

  1. (1) 納税者が個人である場合
    • イ 第二次納税義務を負う者の範囲
    • 第二次納税義務を負う者は、納税者と生計を一にする配偶者その他の親族で、その納税者の経営する事業から所得を受けている者である(徴収法37条1号)。
       なお、これらの者については、次の事項に留意する。
      • (イ) 「生計を一にする」とは、有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、納税者がその親族と起居を共にしていない場合においても、常に生活費、学資金又は療養費等を送金して扶養しているときは、生計を一にするものとする。
         なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする(徴基通第37条関係6)。
      • (ロ) 「親族」とは、民法第725条各号《親族の範囲》に掲げる者、すなわち、配偶者、六親等内の血族及び三親等内の姻族をいう(徴基通第37条関係7)。
      • (ハ) 「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者は含まない。
      • (ニ) 「納税者の経営する事業」とは、納税者が経営する事業の全てをいい、重要財産が供されている事業のみをいうものではない(徴基通第37条関係8)。
      • (ホ) 「所得を受けている」とは、納税者から、その経営する事業の計算において給料、賃貸料、配当、利息又は収益の分配等その名称のいかんを問わず実質的に対価の支払を受けていることをいう(徴基通第37条関係9)。
         なお、「実質的な所得」については、次に留意する。
        • A 所得税法第57条第4項《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》の規定により、一定の金額につき、事業専従者の所得計算上収入金額とみなすにすぎない場合には、実質的な所得を受けていることにはならない。
        • B 納税者と生計を一にしている配偶者その他の親族の負担すべき固定資産税、自動車割賦代金等を納税者が支払っているときは、所得を受けているものとして取り扱う。
    • ロ 第二次納税義務を負う者の調査
       イに掲げる者に該当するかどうかの調査は、次による。
      • (イ) 納税者の配偶者その他の親族が納税者と生計を一にしているかどうかは、実地調査により確認する。
      • (ロ) 納税者の配偶者その他の親族であるかどうかは戸籍簿若しくは住民票又はそれらの謄本等により確認する。
      • (ハ) 納税者の経営する事業から所得を受けているかどうかは、納税者の経営する事業に関する賃金台帳、経費明細帳等の帳簿書類により確認する。この場合には、賃金台帳等の写しを作成する等その事績を明確にしておく。
         なお、帳簿書類の調査によっては所得を受けているかどうかが判明しない場合には、納税者又は所得を受けていると認められる親族等に質問してその事実を確認し、必要に応じ質問てん末書等を作成しておく。
    • ハ 第二次納税義務を負う者の判定の時期
       重要財産を所有している者がイに掲げる者に該当するかどうかは、その財産に関して生ずる所得が納税者の所得となっている時期の現況において判定するものとする(徴基通第37条関係10)。
  2. (2) 納税者が同族会社である場合
    • イ 第二次納税義務を負う者の範囲
    • 第二次納税義務を負う者は、同族会社の判定の基礎となった株主又は社員である(徴収法37条2号)。
       この場合において、滞納者が徴収法第37条第2号の同族会社であるかどうかの判定については、法人税法の規定により同族会社であるかどうかの判定を行うときの取扱いと同様の方法により判定するものとする。
       なお、同族会社の株主又は社員の1人又は2人の有する株式又は出資が、発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える場合等においては、同族会社の「判定の基礎となった株主又は社員」は、その1人又は2人の株主又は社員に限る(徴基通第37条関係9−2)。
    • ロ 第二次納税義務を負う者の調査
       イに掲げる株主又は社員に該当するかどうかは71及び72《同族会社の判定及び調査》に準じて調査するものとする。
    • ハ 第二次納税義務を負う者の判定の時期
       重要財産を有している株主又は社員が、イに掲げる者に該当するかどうかの判定は、その財産に関して生ずる所得が納税者の所得となっている事実があった時期による(徴基通第37条関係11、昭和37.12.25東京地判参照)。

第二次納税義務関係事務提要主要項目別目次