第5章 同族会社等の行為又は計算の否認等による課税額の第二次納税義務

第2節 第二次納税義務を負う者

(第二次納税義務を負う者)

85 第二次納税義務を負う者は、同族会社等の行為又は計算の否認等の規定により否認された納税者の行為(否認された計算の基礎となった行為を含む。以下この章において同じ。)につき利益を受けたものとされる者である(徴収法36条3号)。

(否認された納税者の行為につき利益を受けたものとされる者)

86 否認された納税者の行為につき利益を受けたものとされる者の範囲については、次に留意する(徴基通第36条関係10参照)。

  1. (1) 「納税者の行為」とは、納税者(同族会社等の行為又は計算の否認等の規定により課された国税につき納税義務を負う者をいう。)が当事者となっている行為をいう。
  2. (2) 「否認された計算の基礎となつた行為」とは、同族会社等の行為(例えば、譲渡行為)自体は否認しないが、その行為に係る計算(例えば、譲渡価額の計算)を否認した場合におけるその計算の基となった行為(例えば、上記の譲渡行為)をいう。
  3. (3) 「利益を受けたものとされる者」とは、納税者の行為(例えば、同族会社の支出した飲食費が社長の負担とすべきものとして、その損金処理を否認した場合におけるその飲食費の支出行為)について、行為又は計算の否認理由との関係からみて不当な経済的利益を受けたと認められる者(例えば、上記の飲食費を負担しなかったことにより不当な経済的利益を受けたと認められる社長)をいう。

(否認された納税者の行為につき利益を受けたものとされる者の調査)

87 否認された納税者の行為につき利益を受けたものとされる者かどうかについては、課税決議書等により決定するものとする。
 この場合においては、その事績を滞納処分票等に明確に記録する。

(責任の限度)

88 第二次納税義務者から徴収することができる金額は、その受けた利益の額を限度として主たる納税者の滞納国税の全額である。

(受けた利益の範囲とその算定)

89 受けた利益の額は、利益を受けたものとされる者(86の(3)《否認された納税者の行為につき利益を受けたものとされる者》)が受けたその利益の額をいう。この場合において、その利益が現存するかどうかは関係がない(徴基通第36条関係15参照)。
 なお、受けた利益の額は、賦課担当部門の課税決議書に基づいて算定するものとする。

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