- ホーム
- 法令等
- 事務運営指針
- 第2編 第4章 第3節 第二次納税義務の限度
第4章 実質所得者課税の原則等の第二次納税義務
第3節 第二次納税義務の限度
(責任の限度)
78 第二次納税義務者から徴収することができる金額は、収益が生じた財産(その財産の異動により取得した財産及びこれらの財産に基因して取得した財産(以下「取得財産」という。)を含む。以下この節において同じ。)又は資産の貸付けに係る財産(取得財産を含む。以下この節において同じ。)を限度として、主たる納税者の滞納国税の全額である。
(収益が生じた財産の範囲)
79 徴収法第36条本文に規定する「収益が生じた財産」とは、資産から生じた収益に関する実質所得者課税の場合にはその資産、事業から生じた収益に関する実質所得者課税の場合にはその事業に属する資産、法人の事業所の所得の帰属推定による課税の場合にはその事業所の事業に属する資産をいう(徴基通第36条関係11)。
なお、次の事項に留意する。
- (1) 収益が生じた資産又は事業(事業所の事業を含む。以下この節において同じ。)が、譲渡等により、滞納処分の時において、既に77《第二次納税義務を負うべき者》に掲げる第二次納税義務者に法律上帰属すると認められない場合には、その資産又は事業に属する資産に対しては、この章による第二次納税義務を追及することができない(取得財産に対する追及については、81《異動により取得した財産の範囲》参照)。
- (2) 「事業に属する資産」とは、滞納処分の時においてその事業に属するものをいう。したがって、資産がその事業に属することとなった時期が、課税時又は納付通知等の前であるか後であるかを問わない。
なお、事業に属していた資産が、譲渡等により滞納処分の時において事業に属しない場合の処理は(1)と同様である。
- (3) 事業に属する資産であっても、その事業の名義人である第二次納税義務者に法律上帰属すると認められない資産(例えば、第三者から賃借している資産)に対しては、第二次納税義務を追及することができない。
(貸付けに係る財産の範囲)
80 徴収法第36条の「貸付けに係る財産」とは、事業として対価を得て行われる資産の貸付けの目的となる財産をいう(徴基通第36条関係14)。
なお、次の事項に留意する。
- (1) 「資産の貸付け」には、資産に係る権利の設定その他他の者に資産を使用させる一切の行為(当該行為のうち、電気通信利用役務の提供に該当するものを除く。)を含む(消費税法2条2項)。
(注)
- 1 「資産に係る権利の設定」とは、例えば次のものをいう。
- (1) 土地に係る地上権又は地役権の設定
- (2) 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権及び回路配置利用権に係る実施権、使用権又は利用権の設定
- (3) 著作物に係る出版権の設定
- 2 「資産を使用させる一切の行為」とは、例えば次のものをいう。
- (1) 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権及び回路配置利用権並びにこれらの権利に係る出願権及び実施権の使用、提供又は伝授
- (2) 著作物の複製、上演、演奏、上映、公衆送信、口述、展示、頒布、翻訳、編曲、脚色、映画化その他著作物を利用させる行為
- 3 「電気通信利用役務の提供」とは、例えば次のものをいう。
- (1) インターネットを介した電子書籍の配信
- (2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供
- (3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供
- (4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供
- (5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供
- (6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
- (2) 資産の貸付けに係る財産が、譲渡等により、滞納処分の時において、課税の基礎となった貸付けを法律上行ったとみられる者に、法律上帰属するとみられない場合には、第二次納税義務を追及できない(この場合の取得財産に対する追及については、81《異動により取得した財産の範囲》参照)。
(異動により取得した財産の範囲)
81 徴収法第36条本文に規定する「異動により取得した財産」とは、79《収益が生じた財産の範囲》の収益が生じた財産(資産又は事業に属する財産)及び80《貸付けに係る財産の範囲》の資産の貸付けに係る財産について、その交換によって取得した財産、売却によって取得した代金、滅失によって取得した保険金等をいう(徴基通第36条関係12)。
なお、次の事項に留意する。
- (1) 2回以上の異動により取得した財産(例えば、収益が生じた財産の売却代金をもって購入した財産)も、その異動の経過が明らかなものは、異動により取得した財産となる。
- (2) 事業に属する資産の異動によって取得した資産は、それがその事業に属さない場合に限り、収益が生じた財産の異動により取得した財産に含まれ、その事業に属する場合には、「収益が生じた財産」に該当する。
- (3) 収益が生じた財産の異動により取得した財産が、第二次納税義務者に法律上帰属するとみられない場合には、その財産に対しては、第二次納税義務を追及することができない。
(異動により取得した財産の調査)
82 異動により取得した財産の有無及びその財産が異動により取得した財産であるかどうかについては、譲渡契約等を調査してその事実を確認する。ただし、これにより難い場合には、不動産登記簿等の調査を基礎として実地調査により確認するほか、実質所得者課税の原則等の規定を適用した場合の収益の生じた財産又は資産の貸付けに係る財産について、交換、滅失等があった場合にはその後の数期の貸借対照表、財産目録、固定資産台帳等を比較して調査する等により判定するものとする。
なお、上記の場合には、譲渡契約書等の写しを作成する等によりその事績を明確にしておく。
(基因して取得した財産の範囲と調査)
83 徴収法第36条本文に規定する「基因して取得した財産」の範囲及びその調査は次による。
- (1) 基因して取得した財産の範囲
-
「基因して取得した財産」とは、79《収益が生じた財産の範囲》の収益が生じた財産及び81《異動により取得した財産の範囲》の異動により取得した財産について、その天然果実又は法定果実及び権利の使用料等をいう(徴基通第36条関係13)。
- (2) 基因して取得した財産の調査
- 基因して取得した財産の有無及びその財産が基因して取得した財産であるかどうかについては、賃貸借契約等による調査又は実地調査等により確認する。
なお、上記の場合には、賃貸借契約書等の写しを作成する等によりその事績を明確にしておく。
第二次納税義務関係事務提要主要項目別目次