第2章 清算人等の第二次納税義務

第2節 第二次納税義務を負う者

(第二次納税義務を負う者)

60 第二次納税義務を負う者は、次に掲げる者である。

  1. (1) 法人が解散した場合
    • イ 分配等をした清算人
       第二次納税義務を負う清算人は、解散法人(合併により解散した法人及び破産手続が終了していない法人を除く。)の清算事務を執行する者で分配等をした者をいい、納付通知書を発する時において清算人でない者も含まれる(徴基通第34条関係5)。
       なお、上記の清算人については、その法人の商業登記簿等を調査して確認する。ただし、登記がない場合においては、清算人の選任の決議書、裁判所による清算人の選任の記録、清算人選任申請書、税務署に対する会社解散届等清算人たる事実を証明できる書類等を調査して清算人であるかどうかを確認する。

      (注)

      1. 1 清算人が無限責任社員である場合には、徴収法第33条《合名会社等の社員の第二次納税義務》の規定が適用されるので、商業登記簿等の調査に当たっては、清算人が無限責任社員であるか、又は無限責任社員であった者であるかどうかについても確認することに留意する。
         なお、分配等を受けた者が無限責任社員である場合についても上記に準ずる。
         おって、無限責任社員に対して徴収法第33条《合名会社等の社員の第二次納税義務》の規定が適用される場合には、本章の第二次納税義務は適用されない(徴収法34条1項かっこ書、徴基通34条関係7の(注))
      2. 2 会社法第668条《任意清算における財産の処分の方法》の規定による任意清算の場合には、清算人が置かれないことがあるが、この場合にも、分配等を受けた者については、徴収法第34条第1項の規定が適用されることに留意する(徴基通第34条関係6参照)。
      3. 3 株式会社が解散した場合において清算人が3人以上いるときは、清算人会を置くことができる(会社法477条2項、478条8項)。この場合には、代表清算人が法人の機関として対外的及び対内的に清算事務を執行するものであることに留意する(会社法483条1項、489条3項)。
    • ロ 残余財産の分配等を受けた者
       残余財産の分配等を受けた者とは、残余財産の分配等を受けた株主等をいうが、これらの者に該当するかどうかは、58の(2)のロ《残余財産の分配等の調査》に準じた調査をして確認する。
  2. (2) 信託が終了した場合
    • イ 特定清算受託者
       特定清算受託者とは、信託財産責任負担債務となる国税について信託財産に属する財産のみをもって納付する義務を負う清算受託者をいい、残余財産の給付をした清算受託者で納付通知書を発する時において清算受託者でない者も含まれる(徴基通34条関係21参照)。
       なお、具体的には次に掲げる場合がこれに該当する。
      • (イ) 清算受託者が限定責任信託(信託法2条12項)の受託者である場合
      • (ロ) 清算受託者が当該国税の納付義務の成立後に就任した新たな清算受託者である場合(信託法76条2項)
        • (注) 一般に、清算受託者は、信託財産責任負担債務となる国税について信託財産に属する財産だけではなく、自己の固有財産をもって納付義務を履行する責任を負っているが、上記の特定清算受託者は、徴収法第34条第2項に規定する第二次納税義務を負うことにより初めて自己の固有財産をもって国税を納付する義務を負うことになる。
        • おって、上記の特定清算受託者に該当するかどうかは、59の(1)のロ《信託の終了についての調査》に準じた調査をして確認する。
    • ロ 残余財産受益者等
       残余財産受益者等とは、残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者(以下この項において「残余財産受益者」という。)及び残余財産の帰属すべき者(以下この項において「帰属権利者」という。)をいう。
       なお、第二次納税義務を負う残余財産受益者等には、信託行為において残余財産受益者又は帰属権利者となるべき者として指定された者のほか、みなし帰属権利者(信託行為に残余財産受益者等の指定に関する定めがない場合又はこれらの指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合において、信託行為に定めがあるとみなされることにより帰属権利者となる委託者又はその相続人その他の一般承継人)が含まれる(信託法182条1項、2項、徴基通34条関係20参照)。
       おって、これらの者に該当するかどうかは、59の(2)のロ《残余財産の給付についての調査》に準じた調査をして確認する。

(第二次納税義務を負う者が2人以上いる場合の処理)

61 清算人若しくは分配等を受けた者又は特定清算受託者若しくは残余財産受益者等が2人以上いる場合には、その全員に対して第二次納税義務を負わせるものとする。
 なお、これらの者相互間における滞納処分の執行については、いずれの者からその処分を執行しても差し支えないことに留意する。

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