第1章 合名会社等の社員の第二次納税義務

第5節 無限責任社員が死亡した場合

(無限責任社員が死亡した場合の処理)

57 無限責任社員が死亡した場合には、次に掲げるところにより処理する。

  1. (1) 相続人が無限責任社員となった場合
    • 合名会社又は合資会社の無限責任社員の相続人が定款に定めるところに従い被相続人に代わって無限責任社員となった場合には、当該相続人を合名会社又は合資会社成立後に無限責任社員となった者(51の(2)参照)として、その責任を追及する(52の(1)参照)。この場合において、相続人が無限責任社員となっているかどうかについては51の(2)に準じて調査をし、確認する。
  2. (2) 相続人が無限責任社員とならなかった場合
    • 社員の相続人が当該社員の持分を承継する旨の定款の定めがなく、相続人が被相続人に代わって無限責任社員とならなかった場合には、無限責任社員の有した責任について通則法第5条《相続による国税の納付義務の承継》の規定により納付義務の承継の処理をすることとなるが、この処理に当たっては次に掲げることに留意する。
  3. イ 通則法第5条の規定により相続人に対して納付義務が承継されるのは、合名会社等の国税で無限責任社員の死亡前に課されていたもの及び納税義務が成立していたものに限られる。
     なお、相続人が承継する責任の存続期間は、被相続人の負担する責任の存続期間の残存期間であるから、例えば、その無限責任社員が死亡により退社したとき又は既に生前退社していたときは、本店所在地における退社の登記の日から2年間であり、解散登記後に死亡したときは、解散登記の日から5年間である(徴基通第33条関係7のなお書)。
     おって、相続人が無限責任社員でない場合には、その死亡による退社の登記があるかどうか及び退社の登記がされているときはその登記の日から2年を経過しているかどうか、解散登記後に死亡しているかどうか及び解散登記後に死亡しているときは解散登記の日から5年を経過しているかどうかを51の(3)に準じて調査をし、確認する。
  4. ロ 無限責任社員の死亡後、その退社登記前に納税義務が成立した合名会社等の国税についての無限責任社員の責任は、相続人には承継されない(昭和10.3.9大判)。
  5. (注) 上記イにより納付義務の承継処理を行うに当たっては、被相続人の死亡による退社の登記の有無を問わないことに留意する。

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