納付能力調査は、原則として、納税者からその納付すべき国税につき通常の納税の猶予、一定期間後に税額が確定した場合の納税の猶予若しくは換価の猶予の申請があった場合又は職権による換価の猶予をしようとする場合において、その者の現在及び将来における納税の能力又は猶予後における資金繰りの状況等を調査し、猶予する金額、猶予期間中における分割納付金額若しくは猶予期間の算出又は猶予の継続の適否等を判定するために行うものである。

この章は、上記の納付能力調査に関する通則及び調査の方法等を定めたものである。

第1節 通則

60 調査の区分

納付能力調査は、その目的によって現在納付能力調査、見込納付能力調査及び事後調査に区分する。

61 調査日

調査日とは、ある一定時点において納税者の納付能力を判定した日をいい、通常の納税の猶予、一定期間後に税額が確定した場合の納税の猶予又は換価の猶予の申請においては、その申請に係る猶予期間の始期の前日、職権による換価の猶予においては、署内資料の確認、納税者に対する聞き取り、納税者の帳簿書類等の検査又は提示若しくは提出の要求により調査を行った日とする。

なお、調査日現在における状況の調査が困難であるときは、調査を行った日の状況から、適宜その調査日現在の状況を推定するものとする。

62 調査に当たっての留意事項

(1) 調査方法

納付能力調査は、署内資料(申告書、収支内訳書、青色申告決算書、貸借対照表、損益計算書、課税調査関係の資料等)に基づき、申請書及び添付書類(財産収支状況書、財産目録、収支の明細書をいう。以下この章において同じ。)の内容が妥当であるかどうかの検討を行うほか、納税者に対する聞き取り、納税者の帳簿書類等の検査又は提示若しくは提出の要求をすることにより行う。

また、納付すべき税額がおおむね500万円以下であって、署内資料の内容からみて納税者から提出された添付書類の内容が妥当と認められ、かつ、1年以内に完納となることが見込まれるときは、納税者に対する聞き取りや帳簿書類等の検査は省略することとして差し支えない。

なお、納税者の自宅等に臨場の上、納付能力調査を行う必要があると見込まれる場合には、納税者に対して、事前に調査に必要な帳簿書類等の準備を依頼することとし、同時に署内資料等の参考となる事項を記録しておくことに留意する。

(注) 納付能力調査に当たっては、必要に応じて、課税のための調査ではなく、猶予する金額等を確認するための調査であることを納税者に説明する。

(2) 調査事績の記録

署内資料に基づき添付書類の内容が妥当であるかどうかの検討を行うに当たっては、「猶予調査確認表」(様式307010-001)を活用して検討の事績を記録する。

なお、納税者に対する聞き取り等の調査を行った事績は的確に記録する。

また、現在納付能力調査については下記66《現在納付能力調査表を作成する場合》、見込納付能力調査については下記68《見込納付能力調査表を作成する場合》にそれぞれ定めるところにより、調査表を作成してその調査の事績を記録する。

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