納税の猶予の猶予期間中は、その納税の猶予に係る国税につき、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる処分をすることができない。ただし、猶予期間中であっても交付要求(参加差押えを除く。)を行い、交付を受けた配当金等をその猶予に係る国税に充てることができる(通則法第48条第1項、通基通第37条関係3、第48条関係1、第48条関係3、徴基通第47条関係16)。
(1) 納税の猶予の許可が督促前の場合
督促及び滞納処分
(2) 納税の猶予の許可が督促後の場合
滞納処分
(3) 納税の猶予の許可が滞納処分後の場合
その滞納処分の続行及び新たな滞納処分
(注)
(1) 徴収法第50条第1項《第三者の権利の目的となっている財産の差押換え》若しくは同法第51条第2項《相続があった場合の差押え》の規定により差押換えの請求があった場合、又は同法第79条第2項第2号《差押えの解除の要件》の規定により滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合には、その請求等に係る財産につき、納税の猶予期間中であっても差押えをすることができる(徴収法第50条第2項、第5項、第51条第3項)。
(2) 納税の猶予に係る国税につき差し押さえた財産のうち、天然果実を生ずるものにつき果実を取得したとき、又は有価証券、債権若しくは第三債務者等のある無体財産権等につき第三債務者から給付を受けたときは、次により処理する(通則法第48条第3項、第4項、通基通第48条関係3)。
納税の猶予に係る国税につき、既に差し押さえた財産がある場合には、納税の猶予を受けた者の申請に基づき、その差押えを解除することができる(通則法第48条第2項)。
差押えを解除することができるのは、おおむね次に掲げる場合であって(通基通第48条関係2)、差押えの解除ができる範囲は、税務署長において相当と認める範囲とする。
(1) 担保の額と差押財産の見積価額の合計額が猶予に係る国税(その国税が完納されるまでの延滞税及び担保又は差押財産の処分に要する費用を含む。以下12において同じ。)の額を著しく超過することとなった場合
(2) 差押えを継続することにより、納税者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合
(3) 納税の猶予に係る国税の額に相当する担保の提供を受けた場合
(4) 納付委託を受けた証券の取立てが最近において特に確実であって、不渡りとなるおそれがないため、納税の猶予に係る国税の徴収が確実であると認められる場合
納税者から納税の猶予申請書が提出された場合には、その申請書に係る国税の納付義務の承認があったと認められ、その提出の時から、その国税の徴収権の消滅時効が新たに進行する(通則法第72条第3項、民法第152条第1項、通基通第72条関係6)。
また、納税の猶予をした場合における国税の徴収権の時効は、その猶予に係る部分の国税(その国税に併せて納付すべき延滞税及び利子税を含む。)については、その猶予がされている期間内は進行しない(通則法第73条第4項、通基通第73条関係1)。
納税の猶予をした場合における延滞税の免除については、下記71から78まで《延滞税の免除》に定めるところによる。
還付金等(通則法第56条第1項《還付》に規定する還付金等をいう。以下同じ。)及び還付加算金がある場合には、通則法第57条《充当》その他各税法の規定により、猶予期間中であっても、その猶予に係る国税に充当しなければならない。ただし、同法第46条第1項並びに第2項第1号及び第5号(第1号に類するもの)の規定による納税の猶予をしている場合には、その猶予期間中は充当することができず、納税者に還付する(通則令第23条第1項ただし書、災免事務取扱要領第3章第2節第1款11(1)参照)。