申告納税制度が適正に機能するためには、納税者が、自発的に正確な申告をするとともに、高い納税意識を持ち、期限内に納付することが必要である。したがって、国税を滞納している納税者に対しては、厳正かつ的確にその処理に当たることが、高い納税意識の確保につながり、また、期限内に納付を行っている納税者との間の公平性の確保の観点からも要請されるところである。

しかしながら、納税者によっては、その財産につき災害を受けたことにより国税を一時に納付することができない場合、又は財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続若しくは生活の維持を困難にするおそれがある場合がある。

そのため、納税の猶予及び換価の猶予の制度は、このような事由がある納税者について、法令等に基づく一定の要件の下、強制的な徴収手続を緩和し、その個々の実情に即した適切な措置を講ずることにより、納税者との信頼関係を醸成し、税務行政の適正かつ円滑な運営を図ることを目的とするものである。

このような趣旨を踏まえ、納税の猶予等の処理に当たっては、次の事項に留意する。

1 納税者の個々の実情に即した処理

滞納整理に当たっては、画一的な取扱いをすることなく、納税者の個別的、具体的な実情に即して適切に対応する必要がある。

そのため、納税者から納税の猶予又は換価の猶予の申請がされた場合は、その申請の内容について、必要な調査を的確に行い、法令等に基づき適切に処理するものとする。

また、納税者から、滞納となっている国税を直ちに納付することが困難である旨の申出があった場合には、納税者の視点に立って、その申出の内容を十分に聴取し、納税についての誠実な意思を有していると認められる場合などについては、換価の猶予等の活用を図るよう配意する。

2 法令等の規定に基づく適正な処理

納税の猶予等の適用に当たっては、事実関係を正確に把握した上で、法令等に基づき適正な処理に努めるものとする。

納税の猶予等は、納税者に期限の利益を与えるものであるから、その適用に当たっては、期限内に納付を行った納税者との間に公平を欠くことがないよう、また、安易に猶予処理することによって、納税意識を希薄にする等の弊害が生じることがないよう、法令等の定める要件を満たしているかどうかを十分に調査する。

3 迅速な処理

納税者から納税の猶予若しくは換価の猶予の申請又は納付困難を理由として分割納付の申出があった場合には、速やかに所要の調査及び確認を行い、早期に処理するよう配意する。

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