第3節 配当及び充当の手続

(債権現在額申立書の徴取)

125 換価代金等の配当に当たっての「債権現在額申立書」の徴取は、次による(徴収法第130条第1項、徴収令第48条第1項)。

(1) 債権現在額申立書を提出すべき者
 「債権現在額申立書」を提出すべき者は、次の債権を有する者である。

イ 交付要求をした国税、地方税又は公課(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、差押えに係る国税、地方税及び公課を含む)

ロ 換価財産上の抵当権等、先取特権、留置権又は担保のための仮登記に係る権利の被担保債権

ハ 差押え時に財産を占有していた第三者の損害賠償請求権又は前払借賃に係る債権(徴収法第59条第1項後段、第3項、第4項、第71条第4項)

(2) 債権現在額申立書の提出期限
 「債権現在額申立書」の提出期限は、売却決定の日の前日まで(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての日まで)である(徴収法第130条第1項、徴収令第48条第2項)。

(注)

1 次順位買受申込者に対し売却決定をした場合における「売却決定の日」は、徴収法第113条第2項各号《次順位買受申込者に対する売却決定》に掲げる日であることに留意する(徴基通第130条関係2なお書)。

2 「債権現在額申立書」の提出期限である売却決定の「前日」については、その日が休日等に当たっても延期されないことに留意する(通則法第10条第2項、通則令第2条第1項第6号、第7号、徴基通第130条関係2)。

(3) 債権現在額申立書に記載する債権の範囲等
 「債権現在額申立書」に記載すべき債権額は、次のとおりである。
 この場合におけるその債権の債権額とは、その債権の元本、利息、損害金、費用その他附帯の債権額の総額をいうことに留意する(徴基通第130条関係3)。

イ 配当を受けるべき債権が国税、地方税又は公課の場合には、交付要求を受けた税務署長又は換価執行決定をした税務署長が換価代金等を受領した日現在における債権額

ロ 配当を受けるべき債権がイ以外の債権の場合には、換価代金等の交付期日現在における債権額
 なお、「債権現在額申立書」には、債権額のほか、弁済期限その他その債権の内容を記載させるとともに、これらの事項を証明する書類を添付させる。ただし、その添付をすることができないときは、その書類を呈示させるとともに、その写しを提出させる(徴収法第130条第1項、徴収令第48条第1項)。また、抵当権等、先取特権及び留置権で優先権の証明を必要とするものについては、できる限り「債権現在額申立書」の提出に併せてその証明をさせるものとする。

(注) 徴収法第115条第2項《買受代金の納付の期限等》又は徴収法131条《配当計算書》の規定により、上記イにおける買受代金を受領した日若しくはロにおける買受代金の交付期日が公売公告及び公売通知に記載した日と異なることとなったときは、それぞれ当該日現在での債権額を適宜確認の上、配当を行うことに留意する。

(質権等の存否等の確認)

126 配当時における質権等の存否及び優先劣後の確認は、次による。

(1) 登記制度のある質権等
 登記制度のある質権等の存否及び優先劣後の確認は、その登記事項を調査してこれを確認すること(民法第177条、電話加入権質に関する臨時特例法第5条、自動車抵当法第5条、建設機械抵当法第7条、特許法第98条等)。この場合における不動産登記簿等の公簿上のこれらの権利が実在するかどうかについての確認は、「債権現在額申立書」の審査によるほか、必要に応じて契約書等により、その存否及び優先劣後についての調査を行うこと。
 なお、「債権現在額申立書」が提出されない場合においても、国税に優先するものについては、登記事項を調査して確認するほか、必要に応じて契約書等により、その存否及び優先劣後についての調査を行うこと。

(注)

1 根抵当権は一定の範囲に属する不特定の債権を担保するものであり、例えば、「AのBに対する一切の債権を担保する」というようないわゆる包括根抵当権は認められていないこと(民法第398条の2、第398条の3第2項)。

2 仮登記担保契約で消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく仮登記(根担保目的の仮登記)は、滞納処分手続においては、その効力を有しないことに留意する(徴収法第23条第4項)。

(2) 登記制度のない質権等
 登記することができない質権等で知れているものの存否及び優先劣後の確認については、次によること。

イ 「債権現在額申立書」が売却決定の日の前日までに提出された場合の確認
 質権者等から売却決定の日の前日(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての日)までに税務署長に対して「債権現在額申立書」が提出された場合には、当該「債権現在額申立書」の添付書類の内容について適宜の調査を行い、その存否を確認すること(徴収法第130条第1項、第2項前段、徴収令第48条)。
 なお、質権者等が売却決定の日の前日(金銭による取立ての方法により換価する場合には、「配当計算書」の作成の日の前日)までに優先質権等の証明手続をした場合には、税務署長に提出された質権等の設定又は成立の事実を証する書面若しくはその事実を証するに足りる事項を記載した書面等についても、その内容について適宜の調査を行い、その存否及び優先の事実を確認すること(徴収法第15条第2項、第17条第2項、第19条第2項、第20条第2項、第21条第2項、徴収令第4条)。

ロ 「債権現在額申立書」が売却決定の日の前日までに提出されない場合の確認
 登記することができない質権等の被担保債権で知れているものを有する者が、売却決定の日の前日(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての日)までに「債権現在額申立書」を税務署長に提出しない場合の質権等の存否及び優先劣後の関係については、適宜の調査を行い、これを確認すること(徴収法第130条第2項後段)。この場合において、当該質権等の被担保債権のうち知れていないものを有する者が、徴収法第130条第1項に規定する期限の経過後売却決定の時(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての時)までに「債権現在額申立書」を提出したときにおけるその債権の存否等の確認は、その提出した「債権現在額申立書」の審査により確認すること(徴収法第130条第2項)。
 なお、売却決定の時(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての時)後「配当計算書」の謄本の発送時までに質権等を有する者を知り得たときは、適宜の調査を行い、その存否等を確認するものとすること。

(注) 質権等の被担保債権のうち知れていないものを有する者が、売却決定の時まで(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての時まで)に「債権現在額申立書」を提出せず、かつ、「配当計算書」の謄本の発送時までに知り得なかったときは、その者は配当を受けることができないことに留意する(徴基通第130条関係6参照)。

(3) 損害賠償請求権等に係る債権等
  徴収法第59条第1項後段、第3項又は第4項《引渡命令を受けた第三者等の権利の保護》(これらの規定を同法第71条第4項《自動車等についての準用規定》において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権又は前払借賃に係る債権の存否の確認は、税務署長に提出された賃貸借契約を解除した旨の通知、配当を請求した前払借賃についての証拠書類及び「債権現在額申立書」を調査して確認すること。

(債権現在額の確認の方法)

127 「債権現在額申立書」に記載すべき債権額は、125の(3)(債権現在額申立書に記載する債権の範囲等)に掲げる債権の額であるが、その確認の方法は、次による。
 なお、債権現在額を確認するために必要があるときは、その必要と認められる範囲内において債権者及び滞納者に質問又は検査をすることができる(徴収法第141条)。

(1) 債権現在額申立書が提出された場合
 「債権現在額申立書」が提出されたときは、これを審査してその債権額を確認すること。ただし、125(債権現在額申立書の徴取)の(1)のロ又はハに掲げる債権で国税に優先するものがあるときは、債権の内容及び現在額を証する書面等により、これを確認するものとすること(徴基通第130条関係4)。
 なお、換価財産に係る質権等の被担保債権のうち、登記することができない質権等の被担保債権で知れていないものを有する者が徴収法第130条第1項に規定する期限の経過後売却決定の時(金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての時)までに「債権現在額申立書」を提出したときにおけるその債権の額の確認は、その提出した「債権現在額申立書」によることとして差し支えない。

(2) 債権現在額申立書が提出されない場合
 次に掲げる債権を有する者が「債権現在額申立書」を提出しないときは、その債権の現在額について適宜の調査を行い、これを確認すること。ただし、次のイに掲げる債権のうち、国税に優先しないものについては、その登記事項によりこれを確認しても差し支えない(徴基通第130条関係5)。
 なお、担保のための仮登記に係る権利のうち国税に優先しないものについて、当該権利が同一債権を担保するため質権等と併用されているときは、その質権等について形式的に審査し、また、質権等と併用されていないときは契約書の記載等により、それぞれ確認して差し支えない。

イ 登記がされた質権等の被担保債権

(注) 担保のための仮登記の権利者が「債権現在額申立書」を提出しない場合には、民事執行においては配当から除外されることとなっている(仮登記担保契約に関する法律第17条第2項参照)が、滞納処分により公売する場合においては、調査を行って確認する必要があることに留意すること

ロ 登記することができない質権等の被担保債権で「配当計算書」の謄本の発送時までに知れているもの

ハ 差押え時に財産を占有していた第三者の損害賠償請求権又は前払借賃に係る債権で「配当計算書」の謄本の発送時までに知れているもの

(配当すべき国税等の範囲)

128 差押えに係る国税(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、特定参加差押えに係る国税)又は交付要求を受けた国税、地方税及び公課(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、差押えに係る国税、地方税及び公課を含む。)に配当すべき債権額の範囲は、本税、利子税又は加算税のほか、これらに係る滞納処分費及び税務署長が換価代金等を受領した日までの延滞税の合計額である(徴基通第130条関係3参照)。

(配当すべき私債権の範囲)

129 質権等の被担保債権等のうち配当の対象とすべき債権の範囲は、換価代金等の交付期日現在の債権現在額であるが、その具体的な範囲は、次による。

(1) 質権の被担保債権の範囲

イ 質権の被担保債権の範囲は、設定行為に別段の定めのない限り、元本のほか、利息、違約金、質権実行の費用、質物保存の費用及び債務の不履行又は質物が契約の内容に適合しないことによって生じた損害賠償金の一切に及ぶこと(民法第346条、徴基通第15条関係21)。

ロ 不動産質権の被担保債権については、利息に関し、設定行為に別段の定めがあり、かつ、登記があるときは債権額に含まれることを除き、抵当権と同様であること(民法第359条、第361条、第375条、第358条、不動産登記法第83条、第95条)。

ハ 転質権の設定があった場合における被担保債権額の範囲は、転質権の目的となった原質権の被担保債権額を超えることができないこと(徴基通第129条関係10)。

(2) 抵当権の被担保債権の範囲

イ 抵当権の被担保債権は、元本のほか満期後特別の登記がない限り、利息その他の定期金の最後の2か年分又は債務不履行によって生じた損害の賠償金の最後の2か年分(利息と通算して2か年分を超えない範囲)についてもその被担保債権に含まれること(民法第375条、徴基通第16条関係7参照)。

(注) 利息については、原則として、利率及び支払時期の登記がある場合に限り、他の債権者に優先して弁済を受けられることに留意する((7)のロ参照、不動産登記法第88条、徴基通第16条関係7の(1)のイ)。

ロ 利息その他の定期金を請求できる場合には、その満期となった最後の2か年分に限られるが、それ以前の利息その他の定期金についても、満期後特別の登記をしたときは、その利息その他の定期金も加算されること(民法第375条第1項、徴基通第16条関係7の(1)のただし書)。

(注) 遅延利息については、法定利率により計算された額の範囲内ではその登記を要しないで抵当権の効力が及び、他の債権者に優先して弁済を受けられるが、期限後利率を高める特約及び違約金については、その登記がある場合に限り、他の債権者に優先して弁済を受けられることに留意する(徴基通第16条関係7の(1)のロ)。

ハ 債務の不履行により生じた遅延利息及び遅延利息以外の損害の賠償(違約金)を請求することができる場合には、最後の2か年分に限られるが、利息その他の定期金と通算して2か年分を超えることはできないこと(民法第375条第2項)。

ニ 賃貸料、小作料等の定期金を請求できる場合には、その登記のあるときに限り、イの本文に準じて取り扱うこと。

(3) 根抵当権の被担保債権の範囲
 根抵当権により担保される債権額の範囲は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行により生じた損害の賠償金を合わせてその極度額の範囲に限られること(民法第398条の3第1項、徴基通第16条関係8)。
  なお、極度額を超える債権がある場合において、換価代金等を配当して残余が生じ、かつ、後順位債権者がいないとしても、その極度額を超える部分については配当しないことに留意する(徴基通第16条関係8)。

(4) 抵当権の譲渡等があった場合の被担保債権の範囲
 抵当権の譲渡等があった場合においては、被担保債権の範囲は、その譲渡等の目的となった抵当権の被担保債権を超えることはできないこと。
 なお、抵当権の譲渡等を受けた者がその譲渡等を第三者に対抗するためには、その旨の付記登記がされていることが必要であるから、付記登記のない場合には、これらの処分はなかったものとして配当すること(124の(3)、徴基通第129条関係12)。

(5) 転抵当があった場合の被担保債権の範囲
 転抵当権の設定があった場合には、その転抵当権の目的となった原抵当権の被担保債権を超えた分の転抵当権の被担保債権は優先弁済を受けることはできないこと(124の(1)、徴基通第129条関係10参照)。

(6) 担保のための仮登記に係る権利の被担保債権の範囲
 担保のための仮登記の被担保債権には、抵当権の場合と同様元本のほか、利息その他の定期金の最後の2か年分又は債務の不履行によって生じた損害賠償金の最後2か年分(利息その他定期金と通算して2か年分を超えない範囲)も含まれること(仮登記担保契約に関する法律第13条第2項、第3項、徴基通第23条関係6の(1))。

(7) 利息等の範囲
 利息、違約金、損害賠償金等(以下「利息等」という。)の範囲については、次により計算すること。

イ 利息等の計算期間の終期は、換価代金等の交付期日とすること(徴基通第130条関係3、民事執行規則第60条等参照)。

ロ 利息等は、約定利率によって計算すること。ただし、その利息等が利息制限法の制限を超過するときは、同法に規定する最高額にとどめること(利息制限法第1条、第4条、第7条、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律第26条)。
 なお、抵当権等によって担保される債権が利息を生ずべき債権で、利息等につき別段の約定がないものであるときは、法定利率によって計算すること(民法第404条)。

(注)

1 利息制限法に規定する利息の最高限は、次のとおりである(利息制限法第1条)。

元本が10万円未満の場合 年2割
元本が10万円以上100万円未満の場合 年1割8分
元本が100万円以上の場合 年1割5分

2 金銭消費貸借(準消費貸借を含む。)による債権を担保する抵当権の設定の登記を申請する場合には、上記の制限利率を超える利率を登記することはできないことに留意する(昭和29.6.2付民事甲第1144号民事局長通達、昭和29.7.13付民事甲第1459号民事局長通達参照)。

ハ 損害賠償金の額について約定がなく、利息の約定がある場合の損害賠償金は、次によって計算すること。

(イ) 約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率によって算定すること(民法第419条第1項ただし書)。
 なお、約定利率が利息制限法第1条の制限を超えるときの損害賠償金は、同項の利率によって算定すること(昭和43.7.17最判、昭和48.10.11最判参照)。

(ロ) 約定利率が法定利率を超えないときは、法定利率によって算定すること(民法第419条第1項本文)。

ニ 利息の元本への組入れ(民法第405条)の特約が登記された場合は、この特約の登記のみでは遅延利息の元本に組み入れられた数額が不明であるので、登記された元本を基準としてその被担保債権の範囲(民法第375条第1項)を計算するものとすること(大正2.6.21大判参照)。

(8) 損害賠償等の範囲
 徴収法第59条第1項後段、第3項若しくは第4項《引渡命令を受けた第三者等の権利の保護》又はこれらの規定を準用する徴収法第71条第4項の規定の適用を受ける損害賠償金又は前払借賃についての範囲は、次によること。

イ 損害賠償の範囲は、原則として民法第415条《債務不履行》及び第416条《損害賠償の範囲》その他の規定によるものであって、債務の不履行によって被ったいわゆる積極的損害のほか、不履行のなかった場合の得べかりし利益の喪失たるいわゆる消極的損害も含むこと(徴基通第59条関係8)。

ロ 前払借賃の範囲は、徴収法第58条第3項《第三者が占有する動産等の差押手続》の規定による差押えの日後の期間に係るもの(差押えの日後の期間分の前払借賃の金額が、借賃の3か月分相当額を超えるときは、その3か月分の金額)であること(徴収法第59条第3項、徴基通第59条関係17、18)。
 なお、この場合の前払借賃とは、賃貸借契約に基づいて支払われる賃借料をいい、その名称のいかんを問わない(徴基通第59条関係17なお書)。

(注) 差押えの日後の期間分の前払借賃について1月未満に係るものがある場合には、日割りにより計算することに留意する(徴基通第59条関係18の(1))。

(配当計算書の作成等)

130 換価代金等を配当しようとするときは、「配当計算書」(様式308030-001〜004)を作成し、換価財産の買受代金の納付の日から3日以内に、次に掲げる者に交付するため、「配当計算書謄本」を発送すること(徴収法第131条、徴収令第49条)。この場合の「配当計算書謄本」には、必ず換価代金等の交付期日を付記して告知すること(徴収法第132条第1項)。
 なお、換価代金等の配当を受ける権利を有する者が多い場合等で必要があるときは、「配当計算書附属書類」(様式308030-005)を作成すること。

(1) 「債権現在額申立書」を提出した者

(2) 126(質権等の存否等の確認)の(2)により金額を確認した債権を有する者

(3) 滞納者(譲渡担保権者及び換価財産が担保物処分に係るものである場合における差押え時の担保財産の所有者を含む。)

(注)

1 「配当計算書」の謄本は、上記各号の者に対する配当金額がない場合であっても、発送することに留意する(徴基通第131条関係3)。ただし、この場合において、所在不明等により「配当計算書」の謄本が返送されたときは、公示送達は行わないものとする。
 この場合において、所在不明等により「配当計算書」の謄本が返送された場合においても、公示送達は行わないものとする。

2 「配当計算書」の謄本には、上記1の場合においても換価代金等の交付期日を必ず記載することに留意する。

3 譲渡担保権者又は換価財産が担保物処分に係るものであるときにおける差押え時の担保財産の所有者に「配当計算書謄本」を発送した場合においては、本来の納税者に対しては、配当された金銭を国税に充てた旨を「充当通知書」により通知するものとする(徴基通第131条関係6)。

(一括換価した場合の配当計算書の作成等)

130-2 複数の差押財産等を一括換価した場合の「配当計算書」の作成に当たっては、130(配当計算書の作成等)に定めるところによるほか、次に掲げる事項に留意する。

(1) 「配当計算書」には、一括換価した全ての財産を記載する。
 なお、滞納者を異にする複数の財産を一括換価した場合には、「滞納者」欄に記載された滞納者の権利の対象となる財産を特定して明示すること。

(2) 財産ごと(権利関係が同一の財産にあっては、その権利関係に係る複数の財産ごと)に「配当計算書附属書類」を作成し、「配当計算書謄本」に添付すること。この場合においては、滞納者又は権利者の権利の対象となっていない財産に係る「配当計算書附属書類」を併せて添付すること。

(注)

1 上記(2)の他の滞納者に係る「配当計算書附属書類」の添付は、一括換価した全ての財産の権利者に配当手続に関する不服申立ての機会を与える観点から行うものであることに留意する。

2 差押財産の評価において、全ての財産を一体とした基準価額のみを求めることとした場合(41−2の(1)なお書参照)の「配当計算書」には、売却代金の額に基づく配当金額のみを記載することとして差し支えない。

(換価代金等の交付期日)

131 換価代金等の交付期日は、「配当計算書」の謄本を交付のため発送した日から起算して7日を経過した日とする(徴収法第132条第2項本文)。ただし、差押えをした国税(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、特定参加差押えに係る国税)、交付要求に係る国税、地方税及び公課(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあっては、差押えに係る国税、地方税及び公課を含む。)を有する行政機関等並びに滞納者以外に配当手続に参加している者がない場合には、上記の期間を短縮することができる(徴収法第132条第2項ただし書)。期間を短縮する場合においても、納税者及び交付要求をしている行政機関等から「配当計算書」に関する異議(徴収法第133条第2項)の申出又は不服申立て(徴収法第171条第1項第4号)をすることができる期間はおくものとすること(徴基通第132条関係2)。

(注) 

1 上記の「配当計算書」に関する異議の申出等の期限は、その短縮した換価代金等の交付期日までとなることに留意する(徴収法第133条第2項本文、第171条第1項第4号参照)。

2 換価代金等の交付期日は、その日が休日等に当たっても延長されないことに留意する(徴基通第132条関係1)。

(換価代金等の交付)

132 換価代金等は、その交付期日において、「配当計算書」に従って交付する(徴収法第133条第1項)。この場合においては、配当を受けるべき者から「配当計算書」の謄本を提出させてその交付を請求させること。
 なお、その他の交付手続については、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第2の2の(2)《払渡手続》の定めるところによる。

(注) 払渡金額が5万円以上で、受取人が営利法人である場合など、営業に関するものであるときの「領収証書」(昭和52.4.7付間消1−36外3課共同「印紙税法基本通達の全部改正について」(法令解釈通達)の別表第1の第17号文書関係参照)には、所定の印紙をちょう付、消印させることに留意する。

(配当計算書に関する異議の申出があった場合の交付)

133 換価代金等の交付期日までに「配当計算書」に関する異議の申出があった場合における換価代金等の交付は、次に定めるところによる(徴収法第133条第2項)。

(注)

1 換価代金等の配当に関して異議を有する者が通則法の規定による再調査の請求又は処分庁を経由する審査請求と徴収法第133条第2項《配当計算書に関する異議》の規定による異議の申出とを併せてした場合において、上記本文による申出が認められなかったときは、通則法の規定による不服申立てのみが審理されることとなることに留意する(徴基通第133条関係3の本文)。

2 通則法の規定による再調査の請求又は処分庁を経由する審査請求だけがされた場合において、その請求の内容が徴収法第133条第2項の規定による異議に該当するときは、その部分については、この条の異議の申出が併せてされたものとして取り扱うことに留意する(徴基通第133条関係3のなお書)。

(1) 異議が、国税、地方税又は公課の配当金額に対するものである場合
 「配当計算書」に関する異議が、その「配当計算書」に記載された国税、地方税又は公課の配当金額に対するものである場合は、その行政機関等からの通知に従って「配当計算書」を更正し、又は直ちに換価代金等を交付すること(徴収法第133条第2項第1号)。

(2) 異議が、国税、地方税又は公課の配当金額を変更させないものである場合
 「配当計算書」に関する異議が、その「配当計算書」に記載された国税、地方税又は公課の配当金額を変更させないものである場合において次に掲げるときは、「配当計算書」を更正して換価代金等を交付すること(徴収法第133条第2項第2号)。

イ 異議を認めることにより配当金額に影響を受けることとなる債権者及び滞納者がその異議を正当と認めたとき

ロ 異議を認めることにより配当金額に影響を受けることとなる債権者及び滞納者が「配当計算書」に記載された金額以外の配当金額によることを合意したとき

(3) 異議が、国税、地方税又は公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合
 「配当計算書」に関する異議が、その「配当計算書」に記載された国税、地方税又は公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合においては、次によること(徴収法第133条第2項第3号)。

イ 次の各号の一に該当するときは、「配当計算書」を更正して換価代金等を交付すること

(イ) 異議を認めることにより配当金額に影響を受けることとなる行政機関等及び債権者並びに滞納者がその異議を正当と認めたとき。

(ロ) 異議を認めることにより配当金額に影響を受けることとなる行政機関等及び債権者並びに滞納者が、「配当計算書」に記載された金額以外の配当金額によることを合意したとき。

ロ イの(ロ)の合意がなかった場合で、税務署長がその異議について相当の理由があると認めたときは、その異議の内容をしんしゃくして配当金額を定め、「配当計算書」を更正して換価代金等を交付すること。

ハ イの(ロ)の合意がなかった場合で、税務署長がその異議について相当の理由がないと認めたときは、直ちに換価代金等のうち国税、地方税又は公課の配当金額を交付すること。

(注) 上記の場合における国税、地方税又は公課以外の異議に関係を有する者の債権で換価代金等を交付することができないものに対する金額は、徴収令第50条《異議に係る換価代金等の供託》の規定によって供託しなければならないことに留意する。

(4) 異議に係る換価代金等の供託等

イ 供託
 次の各号の一に該当する場合の換価代金等は、これを供託すること(徴収法第133条第3項、徴収令第50条)。この場合の供託手続については、138(供託)に定めるところによること。

(イ) (2)の場合において、異議を認めることにより配当金額に影響を受けることとなる債権者及び滞納者が、その異議を正当と認めないとき又はその他の方法による合意がないときの換価代金等

(ロ) (3)の場合において、異議を認めることにより配当金額に影響を受けることとなる行政機関等及び債権者並びに滞納者が、その異議を正当と認めないとき又はその他の方法による合意がないときで、税務署長がその異議につき相当の理由がないと認めた場合における国税、地方税又は公課以外の異議に関係を有する者に配当すべき換価代金等

ロ 供託した旨の通知
 イにより換価代金等を供託した場合には、「供託の通知書」(供託通達第16号様式)によりその旨を異議に関係を有する者に通知すること(徴収令第50条第1項)。ただし、異議に関係を有する者が被供託者であるときは、その通知は要しないこと。

ハ 供託後において、換価代金等の交付を受けるべき者及び金額が明らかになった場合の処理
 イにより換価代金等を供託した場合において、その後確定判決、異議に関係を有する者の全員の同意その他の理由により換価代金等の交付を受けるべき者及び金額が明らかになったときは、139(供託後の配当等の措置)により配当すること(徴収令第50条第2項)。

(5) 異議に係る記録等
 換価代金等の交付期日までに「配当計算書」に関する異議の申出があった場合には、適宜の様式により、その異議の内容及び処理てん末を記録しておくこと。
 なお、異議に係る徴収法第133条第2項第1号《換価代金等の交付》の規定による行政機関等からの通知又は同項第2号若しくは第3号の規定によるその異議に関係を有する者及び滞納者の合意等については、その旨を記載した書面の提出を求めるか、又はその旨を記載した記録に署名を求めるものとすること。この場合においては、必要に応じ本人確認書類又は委任状等の提出を求め、その者が異議に関して合意等をする権限を有する者であるかどうかを確認すること。

(6) 配当計算書更正通知書の送付
 (1)から(3)までにより「配当計算書」を更正して換価代金等を交付する場合においては、「配当計算書更正通知書」(様式308030-006から008)を作成し、滞納者及びその異議に関係を有する者に交付するものとすること(徴基通第133条関係5)。

(破産手続開始の決定があった場合等の換価代金等の交付)

134 換価代金等を交付すべき場合において、次に掲げる事情があるときは、それぞれに定めるところによる。

(1) 滞納者について破産手続開始の決定があった場合等
 次に掲げる場合には、滞納者に交付すべき金銭をそれぞれ次に掲げる者に交付すること(徴基通第129条関係7)。なお、滞納者以外の者に交付する場合においても同様である。

イ 滞納者につき破産手続開始の決定がされている場合には、破産管財人(破産法第78条第1項)

ロ 滞納者である株式会社につき更生手続開始の決定があった場合には、管財人(会社更生法第72条第1項)

ハ 滞納者につき民事再生手続開始の申立てがあった場合において民事再生法第79条第1項《保全管理命令》の規定による保全管理人による管理を命ずる処分があったとき又は滞納者につき民事再生手続が開始された場合において同法第64条第1項《管理命令》の規定による管財人による管理を命ずる処分があったときには、保全管理人又は管財人(同法第81条第1項、第66条)

ニ 滞納者を債務者とする外国倒産処理手続(外国倒産処理手続の承認援助に関する法律第2条第1項第1号《定義》に規定する外国倒産処理手続をいう。以下同じ。)の承認の申立てがされた場合において同法第51条《保全管理命令》の規定による保全管理人による管理を命ずる処分があったとき又は滞納者を債務者とする外国倒産処理手続の承認がされた場合において同法第32条第1項《管理命令》の規定による承認管財人による管理を命ずる処分があったときには、保全管理人又は承認管財人(同法第53条第1項、第34条)

ホ 滞納者が死亡し、相続人があることが明らかでない場合には、相続財産清算人(民法第953条)

ヘ 滞納者である株式会社につき、企業担保権の実行手続の開始決定があった場合には、管財人(企業担保法第32条第1項)

ト 滞調法の規定がある場合には、その執行官又は執行裁判所(滞調法第6条第1項、第17条等)

チ 滞納者が不在者(民法第25条参照)に該当する場合には、管理人(民法第25条、第28条)

(2) 換価財産が譲渡担保財産又は担保物処分に係るものである場合
 換価財産が譲渡担保財産又は担保物処分に係るものである場合には、配当した金銭の残余は、譲渡担保権者又は担保物処分のための差押えをした時の所有者に交付すること(徴基通第129条関係6の(1))。

(注) 譲渡担保財産の差押え後、債務の弁済等によりその財産が滞納者に復帰した場合において、その財産を換価したときは(徴基通第24条関係28参照)、配当した金銭の残余は滞納者に交付することに留意する。

(3) 換価財産について差押え後に権利の移転があった場合
 換価財産が差押え後に譲渡されている場合には、配当した金銭の残余は、差押えをした時の所有者である滞納者に交付すること(徴収法第129条第3項、徴基通第129条関係6の(2))。

(4) 換価財産について強制執行による差押え等がされている場合
 換価財産について、強制執行による差押え等がされている場合には、次に掲げるところによること(徴基通第129条関係9、滞調法逐条通達第17条関係1、第18条関係7、9)。

イ 換価財産について、滞納処分による差押え後に強制執行による差押え又は担保権の実行としての競売が開始されている場合には、滞納者に交付すべき残余金は、執行官又は執行裁判所に交付すること(滞調法第6条第1項、第11条の2、第17条、第19条、第20条、第20条の8第1項、第20条の10、第20条の11第1項、滞調令第12条の2、第12条の3第1項)。

ロ 換価財産について、仮差押えの執行がされている場合には、滞納者に交付すべき残余金は、執行官又は執行裁判所に交付すること(滞調法第11条第1項、第18条第2項、第19条、第20条の9第1項、第20条の11第1項、滞調令第12条の2、第12条の4)。

(5) 配当金交付請求権について差押え等があった場合
 換価代金等の配当を受けるべき債権者の配当金交付請求権(供託すべき事由(138の(1)参照)のない場合に限る。)の全部又は一部について、次に掲げる事由が生じた場合には、それぞれに定めるところによること。

イ 差押命令の送達を受けた場合において、他に競合する差押命令、仮差押命令、滞納処分による差押え又は配当要求(交付要求を含む。以下この項において同じ。)がないときは、差押債権者からの取立てに応じ、当該債権者に対して配当金を支払い(民事執行法第155条第1項参照)又は供託すること(民事執行法第156条第1項)。
 なお、差押命令が配当金額の一部に対するものである場合には、差押えに係る金額を除いた残余の金額は、配当を受けるべき債権者に交付するものとする。

(注)

1 差押えの競合の意義については、滞調法逐条通達第20条の3関係1参照。

2 差押債権者に支払う場合には、執行裁判所から差押債権者に交付された「送達通知書」(民事執行規則第134条)により、債務者(配当を受けるべき債権者)に差押命令が送達された日から1週間を経過したことを確認するものとする。

3 差押債権者に支払う金額は、債権及び執行の費用の額に相当する額の合計額である(民事執行法第155条第1項ただし書)。

ロ 差押命令の送達を受けた場合において、差押債権者からの取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに、他に競合する差押命令、仮差押命令、滞納処分による「債権差押通知書」の送達を受けたときはその配当金額の全額を、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは差押えに係る金額に相当する金額を供託すること(民事執行法第156第条第2項、滞調法第36条の6第1項)。

ハ 保全法の規定による仮差押命令の送達を受けた場合(仮差押命令が競合した場合を含む。)において、他に競合する差押命令の送達がないときは、供託することができる(保全法第50条第5項、民事執行法第156条第1項、滞調法第36条の12、第20条の6第1項)。
 なお、仮差押命令が配当金額の一部に対するものである場合には、仮差押えに係る金額を除いた残余の金額は、配当を受けるべき債権者に交付するものとする。

ニ 保全法の規定による仮差押命令の送達を受けた場合において、その後他に競合する差押命令の送達があったときは、その配当金額全額に相当する金銭を供託すること(保全法第50条第5項、民事執行法第156条第2項)。

ホ 転付命令の送達があった場合には、転付命令が送達される時までにその他の差押命令、仮差押命令、滞納処分による「債権差押通知書」又は配当要求があった旨を記載した文書の送達がないこと(民事執行法第159条第3項、滞調法第36条の5)及び転付命令の確定(民事執行法第159条第5項)を確認した上で、転付命令を得た債権者に交付すること(民事執行法第160条参照)。

(注) 転付命令の確定は、その発令裁判所が証明する転付命令の「確定証明書」により確認するものとする。

ヘ 滞納処分による「債権差押通知書」の送達を受けた場合において、他に競合する差押命令の送達がないときは、差押えをした行政機関等に交付すること(徴収法第62条、第67条第1項)。
 なお、滞納処分による差押えが配当金額の一部に対するものである場合において、当初の滞納処分による差押えがされていない部分についてロと同様の事情にあるときは、当初の滞納処分による差押えに係る金額を除いた残余の金額を供託することに留意する(民事執行法第156条第2項、滞調法第36条の6第1項かっこ書)。

(注) 滞納処分による差押えが競合した場合には、先順位の差押えに係る行政機関等に交付するものとする(徴基通第62条関係7の(2)参照)。

ト 滞納処分による「債権差押通知書」の送達を受けた場合において、その後他に競合する差押命令又は仮差押命令の送達があったときは、差押えに係る金額を行政機関等に交付し又は配当金額全額若しくは行政機関等に交付した後の金額を供託すること(滞調法第20条の6第1項、第20条の9第1項)。

チ 配当を受けるべき債権者から確定日付のある証書をもって債権譲渡の通知があったときは、その債権の譲受人に交付すること(民法第467条参照)。また、法人がする債権譲渡において、債権譲渡登記があった場合の登記事項証明書の交付を受けたときも同様とすること(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律第4条参照)。

(6) 残余金について差押え等があった場合
 滞納者、譲渡担保権者又は担保物処分のための差押えをした時の所有者に交付すべき残余金について、差押命令、仮差押命令、滞納処分による差押え、配当要求又は債権譲渡があった場合には、(5)に定めるところに準ずること。

(充当の手続)

135 換価代金等(差し押さえた金銭及び交付要求を受けた金銭を含む。以下この章において同じ。)を滞納処分費及び滞納国税に充てる場合には、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第2の2の(1)《充当手続》に定めるところにより、充当の決議及び処理をする。
 なお、滞納処分費(徴収法第10条により他の国税、地方税その他の債権に優先する直接の滞納処分費を除く。)については、その徴収の基因となった国税に先立って配当し、又は充当することに留意する(徴収法第137条、徴基通第137条関係1)。
 また、差し押さえた金銭及び交付要求により交付を受けた金銭を充当した場合には、「充当通知書」により滞納者に通知する(徴基通第129条関係4)。

(滞納税目間の充当の順序等)

136 換価代金等を滞納国税に充てる場合において、滞納国税が複数の税目又は納期限にわたるときにおける充当の順序は、次によるものとする。

(1) 充当の対象となる国税
 差押財産等の換価代金等の配当又は強制換価手続に対する交付要求により配当を受けた場合の受入金等は、徴収の基因となった国税(附帯税及び滞納処分費を含む。以下、(1)及び(2)において同じ。)に充当する。
 なお、「徴収の基因となった国税」とは、配当を受ける根拠となる差押え又は交付要求に係る国税であって、その配当が他の債権に優先して受けたものであるときは、その優先する国税をいう。

(2) 徴収の基因となった国税が複数ある場合の充当順序
 徴収の基因となった国税が複数ある場合は、次のイからハの順に充当の順序を決定する。

イ 本税の優先充当
 滞納処分費に充当した後の受入金等の額が、本税及び附帯税の合計額に不足する場合は、本税から充当する(徴収法第129条第6項)。

ロ 複数の本税間の順序
 上記イにおいて、複数の本税がある場合は、次の順に充当する。

(イ) 滞納者が物的担保を提供している本税と、物的担保を提供していない本税がある場合は、物的担保を提供している国税から順に充当する(民法第488条第4項第2号)。
 なお、納税保証は、物的担保に該当しないことに留意する。

(ロ) 上記(イ)において、滞納者が物的担保を提供している本税が複数ある場合、又は物的担保を提供していない本税が複数ある場合は、納期限の古いものから順に充当する(民法第488条第4項第3号)。

ハ 複数の附帯税間の順序
 本税に充当した後、複数の附帯税がある場合は、上記ロと同様に充当する。
 なお、納期限が同一の附帯税が複数ある場合は、延滞税、利子税、加算税の順に充当する(管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款《歳入歳出外現金の領収》参照)。

(延滞税の計算の終期)

137 換価代金等を滞納国税に充当する場合の延滞税の計算の終期は、その売却代金を受領した日とする(徴基通第129条関係5)。

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