この章は、随意契約により売却することができる場合等を例示的に掲げたほか、その売却手続を定めたものである。

第1節 随意契約による売却

(随意契約による売却ができる場合)

88 次に掲げる場合には、公売に代えて、差押財産等を随意契約により売却することができる(徴収法第109条第1項、徴基通第109条関係1から5まで)。
 なお、(5)から(7)に掲げる事由により公売が成立しなかった場合においても、直ちに随意契約により売却することなく、原則として再公売を行うこととし、再公売に付してもなお売却できなかったときに限り随意契約の方法による売却の要否について検討すること。

  • (1) あへん等法令の規定により公売財産を買い受けることができる者が1人であるとき。
  • (2) 物価統制令の規定に基づいて、公売財産の最高価額が定められている場合等において、その価額により売却するとき。

    (注) 最高価額が定められている財産を、その価額未満の価額で売却するときは、上記に該当しないことに留意する。

  • (3) 次に掲げる場合等、公売に付することが公益上適当でないと認められるとき。
    • イ 麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法、覚せい剤取締法、火薬類取締法、銃砲刀剣類所持等取締法等の法令の規定により譲渡の相手方が制限されている場合において、その法令の規定により、譲受けが認められている者に対してその財産を売却しようとする場合
    • ロ 差し押さえた土地(特定参加差押不動産を含む。)その他の権利について、土地収用法、都市計画法等の規定に基づいて土地その他の権利を収用することができる権利を有する者から、その土地その他の権利を買い受けたい旨の申出があった場合
    • ハ 公売財産が私有道路、公園、排水溝、下水処理槽等(以下「私有道路等」という。)で、現に付近住民が独占的に使用しており、かつ、付近住民の日常生活に必要欠くべからざるものである場合において、地方公共団体又は付近住民(その組合的団体を含む。)から、その買受けの申出があった場合

      (注) 次のいずれかに該当する場合には、その私有道路等の差押解除をして差し支えないが、税務署長が差押解除を行う場合には、あらかじめ国税局徴収課と協議すること。

      1 付近住民が宅地購入の際、私有道路等も含めて購入したことが契約書等により確認ができるもの。

      2 土地登記簿上は滞納者名義であるが、実質上は地方公共団体等に帰属しているもの。

      3 換価に付しても地方公共団体又は付近住民から買受人を求めることが困難なもの。

  • (4) 株式、社債、生糸、天然ゴム、金等金融商品取引所又は商品取引所における相場のある財産をその日の相場で売却するとき。
     なお、上場された株式等の取引を電子的に行う制度(以下「株式等振替制度」という。)の下における振替株式等については、原則として、振替機関又は口座管理機関(以下「振替機関等」という。)を通じて随意契約により売却(以下「委託売却」という。)することに留意する(92参照)。

    (注)

    1 商品先物取引法施行規則第48条《相場、取引高等の報告》に規定する相場表に公表されている商品については、原則として、随意契約による売却の方法によらず、公売により売却する。

    2 金融商品取引所とは、内閣総理大臣の免許を受けて金融商品市場を開設する金融商品会員制法人又は株式会社をいう。

    3 商品取引所とは、会員商品取引所及び株式会社商品取引所をいう。

    4 振替株式等とは、社債、株式等の振替に関する法律(以下「振替法」という。)第2条第12号から第21号に規定する株式、新株予約権等のうち、振替業を営む振替機関がその業務規定の定めにより取り扱うこととしているものをいう。

    5 振替機関とは、株式等振替制度において、振替業を営む者として内閣総理大臣及び法務大臣の指定を受けた株式会社をいい(振替法第2条第2項)、口座管理機関とは、株式等振替制度に基づいて振替株式等の振替を行うための口座を開設する証券会社等をいう(同条第4項)。

  • (5) 公売に付しても入札等がないとき。
  • (6) 入札等の価額が見積価額に達しないとき。
  • (7) 徴収法第115条第4項《買受代金の納付の期限等》の規定により売却決定を取り消したとき。

(公益上適当でない場合の上申)

89 税務署長が、公売に付することが公益上適当でないと認めて随意契約により売却しようとするときは、あらかじめ国税局長に上申し、その指示を受けること。この場合における上申については、32(公売実施の上申)の定めるところによる。

(随意契約による売却手続)

90 随意契約により売却する場合の手続については、91及び92に該当するものを除き、公売する場合の手続に準じ、次により処理する(徴基通第109条関係6から14まで)。

  • (1) 事前準備
     第2章《換価の事前準備》に定めるところに準じて、随意契約により売却すべき財産の選定を適正に行うこと。
  • (2) 売却の決議
     随意契約により売却するときは、第3章第1節《公売実施内容の決定》に定めるところに準じて売却の決議をすること。この場合における売却の決議は、「公売実施等決議書兼換価事績整理簿」を適宜補正して使用することとし、随意契約により売却する事由を「摘要」欄に詳細に記載すること。
  • (3) 売却の通知
     随意契約により売却する場合には、随意契約により売却をする日の7日前までに、滞納者及び利害関係人のうち知れている者に対し、47(公売の通知)に準じて「随意契約による売却通知書」を発すること。この場合の通知書は、「広告によって行う随意契約による売却通知書」を適宜補正して使用すること(徴収法第109条第4項、徴基通第109条関係6)。
     ただし、その随意契約による売却が、直前の公売期日又は直前の随意契約による売却の期日から10日以内に行われるときは、その通知を要しない(徴基通第109条関係7)。

    (注)

    1 上記の売却の「随意契約による売却通知書」は、売却をする日の前日を第1日として7日目に当たる日の前日以前に発しなければならないことに留意する。
     なお、上記の「7日目に当たる日の前日」が休日等に当たるときは、これらの日の前日にすること。

    2 売却の通知を要しない場合における「10日以内」の期間の計算については、通則法第10条第1項《期間の計算》の規定の適用があることに留意する。

    3 随意契約により売却する場合においては、その旨の公告をする必要がないことに留意する。

  • (4) 売却の場所
     随意契約による売却の場所は、25(公売の場所の選定)に準ずるものとすること。
  • (5) 債権現在額申立書の提出の催告
     (3)の通知をするときは、換価財産の売却代金から配当を受けることができる者のうち知れている者に対し、その配当を受けることができる国税、地方税その他の債権につき「債権現在額申立書」をその財産の売却決定をする日の前日までに提出すべき旨の催告を併せてすること(徴収法第109条第4項、第96条第2項)。
  • (6) 見積価額の決定
     随意契約により売却する財産については、最高価額が定められている財産をその価額で売却するとき及び取引所の相場がある財産をその日の相場で売却する場合を除き、その財産の見積価額を決定すること(徴収法第109条第2項前段、徴基通第109条関係9)。この場合において当該財産が、次のイからハまでに掲げる事由の一に該当するときは、その見積価額は、その売却の直前の公売における見積価額と同額以上とすること(徴収法第109条第2項後段、徴基通第109条関係10)。
     なお、見積価額の決定を要しない場合においても売却価額の算定根拠を明らかにしておくこと。
    • イ 公売に付しても入札等がないとき。
    • ロ 入札等の価額が見積価額に達しないとき。
    • ハ 公売財産の買受人が買受代金をその納付の期限までに納付しないため売却決定を取り消したとき。
  • (7) 見積価額の公告
     随意契約により売却する場合には、見積価額は、公告する必要がないこと(徴基通第109条関係11)。
     ただし、差押財産が動産であり、上記(6)のイからハに掲げる事由に該当するときは、その売却価額(見積価額以上の額で、売却しようとする価額)をあらかじめ公告し、その価額で売却することとして差し支えない(徴収法第109条第3項、徴基通第109条関係13)。この場合の見積価額の公告は、43(見積価額公告の方法、場所等)に定めるところに準ずること。
  • (8) 買受価額見積書の徴取
     随意契約により売却する場合において、次に掲げる場合を除き買受希望者が2人以上あるときは、売却の公正を図るためなるべくこれらの者から「買受価額見積書」を徴すること。この場合の「買受価額見積書」は入札書(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合を除く。)を適宜補正して使用すること。
     なお、売却すべき財産の性質等により買受人に資格制限があるときは、その資格を有することを証する書面等を提示させること(徴収法第95条第1項第7号参照)。
    • イ 法令の規定により、公売財産を買い受けることができる者が1人であるとき。
    • ロ その財産の最高価額が定められている場合において、その価額により売却するとき。
    • ハ 取引所の相場がある財産をその日の相場で売却するとき。
  • (9) 買受人となるべき者の決定の通知等
     随意契約による売却について、買受人となるべき者を定めた場合において、当該財産が不動産等であるときは、67(入札の終了の通知及び公告)に定めるところに準じて「随意契約による買受申込者の決定通知書」を発するとともに、「随意契約による買受申込者の決定等の公告」により公告をすること(徴収法第109条第4項、徴基通第109条関係14)。

    (注) 上記の場合の「随意契約による買受申込者の決定通知書」は「広告によって行う随意契約による買受申込者の決定通知書」を、「随意契約による買受申込者の決定等の公告」は「広告によって行う随意契約による買受申込者の決定等の公告」を適宜補正して使用すること。

  • (10) 買受人となるべき者の決定の取消し
     随意契約により売却する財産が不動産である場合において、買受人となるべき者として決定した者(その者が法人の場合は、その役員。以下91において同じ。)又は自己の計算において買受人となるべき者に買受けの申込みをさせた者(その者が法人の場合は、その役員。以下91において同じ。)が暴力団員等であるときは、買受人となるべき者の決定の取消しを行う。この場合、68(最高価申込者等の決定の取消し)に準じて、「随意契約の買受申込者の決定取消通知書」を発する。

    (注) 上記の場合の「随意契約の買受申込者の決定取消通知書」は、「不動産等の最高価申込者の決定取消通知書」を適宜補正して使用すること。

  • (11) 売却決定
     随意契約による売却決定は69(売却決定)に定めるところに準じ、「売却決定通知書」の交付は57(売却決定通知書の交付)に定めるところに準ずること。
  • (12) 見積価額の変更
    • イ 公売に付することが公益上適当でないと認めて当初から随意契約による売却に付したが売却できなかった財産について、再び公益上必要と認め、その理由により随意契約による売却に付するときは、見積価額の変更をして差し支えないこと。
    • ロ 随意契約の基礎となった直前の換価が公売であるときは、その公売における見積価額を下らない額を見積価額とすること。

      (注) 見積価額を引き下げる必要があると認められる場合であっても、随意契約による売却に先立って、まずはその見積価額を低く変更して再公売を行う必要があることに留意する。

  • (13) 公売保証金の不徴収
     差押財産等を随意契約の方法により売却する場合には、公売保証金を提供させることができないこと(徴基通第109条関係12)。
  • (14) その他の手続
     (1)から(13)までのほか、公売する場合の手続に準じて処理すること。

(広告によって行う随意契約による売却手続)

91 広告によって行う随意契約(以下「広告随契」という。)による売却とは、徴収法第109条第1項第3号に該当する場合の随意契約による売却の一方法として、直前の公売における見積価額以上の価額で一定の期間内に差押財産等を随意契約により売却する旨を広告し、最初に買受申込みをした者に売却する方法である(徴基通第109条関係1の(注))。
 広告随契による売却をする場合の手続については、90(随意契約による売却手続)に準じ、次により処理する。

(注) 広告随契による売却は、差押財産等を再公売に付しても売却できない場合に、それを補完する目的で行うものであることに留意する。

  • (1) 広告随契による売却をする財産
     広告随契による売却をする財産は、徴収法第109条第1項第3号に該当する場合の差押財産等とすること。
  • (2) 見積価額の決定
     広告随契により売却をする財産の見積価額の決定(徴収法第109条第2項前段)は、直前の公売における見積価額により行うこと。
     なお、見積価額の決定は、「見積価額評定調書」により行うこと。
  • (3) 売却する価額
     (2)の見積価額以上の価額により売却すること。
  • (4) 売却実施期間
     広告随契による売却を実施する期間(以下「売却実施期間」という。)は、おおむね2か月程度とすること。
  • (5) 売却の実施決議等
     広告随契による売却をする場合には、次の決議をすること。
     なお、この場合における各決議は、「公売実施等決議書」を適宜補正して使用することとし、広告随契による売却をする事由を「摘要」欄に詳細に記載すること。
    • イ 広告随契による売却の実施決議
    • ロ 見積価額の広告決議
    • ハ 広告随契による売却をする旨の広告決議
  • (6) 売却の通知
     (5)の決議をしたときは、売却実施期間の始期の7日前までに、滞納者及び利害関係人のうち知れている者に対し、90の(3)(売却の通知)に準じて「広告によって行う随意契約による売却通知書」(様式308020-088・089)を発すること(徴収法第109条第4項参照)。
     なお、この通知をする時点においては、売却決定をする日は未定であることから、この通知書に、「売却決定の日は未定のため、決まり次第あらためて通知する」旨を注記することとし、買受申込みがあったときは、この通知をした者に対して売却決定の日及び換価代金等の交付期日を通知すること。
  • (7) 債権現在額申立書の提出の催告
     (6)の通知をするときは、90の(5)に準じて「債権現在額申立書」の提出の催告を併せてすること(徴収法第109条第4項参照)。
  • (8) 広告随契による売却をする旨の広告
     「広告によって行う随意契約による売却をする旨の広告」(様式308020-090)は、(6)の通知書を発した後売却実施期間の始期までに、34(公告すべき事項)に準じて次の事項を税務署等の掲示場に掲示する。
     また、広告随契による売却を中止した場合には当該掲示された物件の記載事項を朱抹するとともに「売却中止」と朱書きし、売却実施期間が満了するまで又は物件が全て売却若しくは売却中止されるまでの間掲示すること。
    • イ 売却財産の名称、数量、性質及び所在
    • ロ 売却の方法
    • ハ 見積価額
    • ニ 売却実施期間及び場所
    • ホ 買受申込の方法
    • ヘ 最初に買受けを申し込んだ者が買受申込者となる旨
    • ト 売却決定の日時及び場所
    • チ 買受代金の納付の期限
    • リ 買受人の資格等
    • ヌ その他重要と認められる事項
  • (9) 売却の場所
     広告随契による売却の場所は、25(公売の場所の選定)に準ずるものとすること。
  • (10) 買受申込み
     広告随契の買受申込みは、「買受申込書」(様式308020-047・048)により行わせること。
     なお、売却すべき財産の性質等により買受人に資格制限があるときは、その資格を有することを証する書面等を提出させる(徴収法第95条第1項第7号参照)こと。

    (注) 買受申込みを行おうとする者に対しては、申込みに当たっての留意すべき事項(隣接地所有者との境界線の協議等)を十分に説明する。

  • (11) 買受人となるべき者の決定の通知等
    • イ 買受人となるべき者の決定は、最初の買受申込者に対して、申込後遅滞なく行うこと。
    • ロ 買受人となるべき者を定めた場合において、当該財産が不動産等であるときは、90の(9)(買受人となるべき者の決定の通知等)に定めるところに準じて滞納者及び利害関係人のうち知れている者に対して、「広告によって行う随意契約による買受申込者の決定通知書」(様式308020-076・077)を発するとともに、「広告によって行う随意契約による買受申込者の決定等の公告」(様式308020-074・075)により公告をすること(徴収法第109条第4項参照)。
       また、買受人となるべき者を定めた場合には、(8)の広告の当該記載事項を朱抹するとともに「買受申込者決定済」と朱書きし、売却実施期間が満了するまで又は物件が全て売却若しくは売却中止されるまでの間掲示すること。
  • (12) 買受人となるべき者の決定の取消し
     広告随契による売却をする財産が不動産である場合において、買受人となるべき者として決定した者又は自己の計算において買受人となるべき者に買受けの申込みをさせた者が暴力団員等であるときは、買受人となるべき者の決定の取消しを行う。この場合、68(最高価申込者等の決定の取消し)に準じて、「広告によって行う随意契約の買受申込者の決定取消通知書」を発する。

    (注) 上記の場合の「広告によって行う随意契約の買受申込者の決定取消通知書」は、「不動産等の最高価申込者の決定取消通知書」を適宜補正して使用すること。

  • (13) 売却決定
     広告随契による売却決定は、69(売却決定)に定めるところに準ずるとともに、「売却決定通知書」の交付は、57(売却決定通知書の交付)に定めるところに準じて行うこと。
     なお、上記(12)により買受人となるべき者の決定を取り消した場合又は徴収法第115条第4項《買受代金の納付の期限等》の規定により売却決定を取り消した場合において、当該売却実施期間中に当該財産を広告随契により売却するときは、あらためて(2)以下の手続を行うこと。
  • (14) 公売保証金の不徴収
     広告随契による売却をする場合には、公売保証金を提供させることができないこと(徴基通第109条関係12参照)。
  • (15) その他の手続
     (1)から(14)までのほか、90の(8)を除き随意契約による売却の場合の手続に準じて処理すること。

(振替株式等の委託売却の手続)

92 随意契約により売却する財産が振替株式等である場合には、次により行う。

  • (1) 振替株式等の換価方法
     振替株式等の換価については、委託売却(88の(4)参照)を原則とするが、公売により売却しても差し支えない(148参照)。
     なお、滞納者の振替株式等が、振替株式等の発行者が滞納者のために特定の振替機関等に開設した口座(以下「特別口座」という。)に記載又は記録されている場合は、振替機関等との事前協議((2)参照)により当該振替株式等を売却することができると認められる場合を除き、公売によるものとする。
  • (2) 振替機関等との事前協議
     委託売却を行う場合には、委託売却の実施を決議する前に、差押通知書を送付した振替機関等と、次のイからホに掲げる事項について協議する。
     なお、振替株式等が特別口座に記載又は記録されている場合の委託売却は、歳入歳出外現金出納官吏名義の口座を開設し、その口座に振り替える必要があることから、当該口座を開設した振替機関等と協議することに留意する。
    • イ 委託証券の銘柄及び数
    • ロ 委託売却実施期間

      (注) 委託売却実施期間(振替機関等が委託株式等を金融商品取引所の開設する金融商品市場において売却に付す期間をいう。以下同じ。)は、原則として月曜日から金曜日までの5取引日とする。

    • ハ 売却価額

      (注) 売却価額については、成行注文(売却価額を指定せず、その時の相場で売却する注文をいう。)による。ただし、必要があると認めるときは、指値注文(売却価額を指定する注文をいう。)によって差し支えない。この場合の売却価額は、振替機関等の意見を踏まえた上で決定して差し支えない。

    • ニ 売却代金として支払を受ける金額、方法及び期限

      (注)

      1 振替機関等から支払を受ける売却代金の額は、金融商品市場における委託株式等の売却価額から、委託手数料(消費税及び地方消費税を含む。)を差し引いた額とする。

      2 売却代金は、歳入歳出外現金出納官吏の預金口座への振込により支払を受ける。

      3 売却代金は、金融商品市場において委託株式等の売買が成立した日から起算して3取引日以内に支払を受ける(徴収法第115条第2項参照)。

    • ホ その他
  • (3) 委託売却の決議及び売却の委託
     振替機関等との協議が調ったときは、協議結果に基づいて、「委託売却実施決議書兼換価事績整理簿」(様式308020-091)により委託売却の実施を決議するとともに、「差押振替株式の売却委託について」(様式308020-094)により、振替機関等に対して売却を委託する。
  • (4) 滞納者等に対する委託売却の通知
     委託売却の実施を決議したときは、委託売却実施期間の初日の7日前までに、滞納者及び利害関係人のうち知れている者に対し、随意契約による売却手続(90の(3)参照)に準じて「委託売却による売却通知書」(様式308020-092・093)により委託売却を行う旨を通知する(徴収法第109条第4項)。この場合、利害関係人に対して、売却決定の日の前日までに「債権現在額申立書」を提出するよう併せて催告する(徴収法第109条第4項)。
  • (5) 売却決定
     金融商品市場において委託株式等の売買が成立し、振替機関等から売却代金の支払を受けた場合には、「委託売却実施決議書兼換価事績整理簿」の売却実施(売却決定)欄に記載する(徴収法第111条)とともに、委託株式等の発行者及び振替機関等に対して「売却決定通知書」を交付する(徴収法第122条第1項)。
  • (6) 売却代金の受領
     振替機関等から売却代金の支払を受けたときは、振替機関等に歳入歳出外現金領収証書を交付する。

    (注) 買受人の口座の保有欄に買い受けた委託株式等の増加の記録を受けた時に、買受人は委託株式等の権利を取得することに留意する(振替法第140条、徴基通第116条関係2参照)。

  • (7) 国税の完納による売却決定の取消し
     振替株式等の委託売却においては、委託売却実施期間の初日以後になってから国税の完納の事実が証明されて売却決定を取り消すと委託売却の円滑な実施に支障が生じるおそれがあるため、委託売却を行う際には、滞納者に対し、国税を完納することができるのであれば委託売却実施期間の初日より前に納付するようあらかじめ十分に説明し、納付の意思を確認する。
     上記の確認を行ったにもかかわらず、委託売却実施期間の初日以後において委託株式等の売買が成立したことにより売却決定を行った後、税務署長が売却代金を受領するまでの間に国税の完納の事実が証明されたときは、その売却決定を取り消すこととなることに留意する(徴収法第117条)。
     なお、振替機関等との契約上、売却手続を停止することができない場合は、税務署長はそのまま売却代金を受領することとなり、その後に売却決定を取り消しても善意の買受人に対抗できないから(徴収法第112条第1項)、委託株式等は買受人が取得することとなる。このため、損害が生じた納税者等に対して損失額を賠償する責めを負う場合があることに留意する(徴収法第112条第2項)。
  • (8) 委託売却実施期間内に売却できなかった場合
     委託売却実施期間内に委託株式等の売買が成立しなかった場合には、引き続き当該振替機関等を通じて委託売却を行う場合を除き、振替機関等に委託売却を中止する旨を連絡する。この場合には、「委託売却実施決議書兼換価事績整理簿」の売却中止欄にその旨を記載する。
  • (9) 委託売却に係るその他の手続
     (1)から(8)までのほか、90に定める手続に準じて処理する。

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