第11節 再公売の手続

 この節は、再公売ができる場合における公売公告期間、見積価額の変更等について定めたものである。

(再公売に付する場合)

86 次に該当する場合には、特別の事情がない限り、随意契約による売却又は国による買入れをすることなく、再公売に付する(徴収法第107条第1項、徴基通第107条関係1)。
 なお、差押財産等を3回公売に付しても入札等がなく、更に換価に付しても売却の見込みがないと認められるときは、その差押えの解除(特定参加差押不動産の再公売にあっては、換価執行決定の取消し)をすることができることに留意する(徴収法第79条第2項第3号、第89条の3第2項第3号、徴基通第79条関係11、13、第89条の3関係9参照)。

(注)

  1. 1 3回公売に付し、入札等がなかった場合であっても、差押財産等の種類、性質、見積価額の多寡等を考慮して直ちに差押えを解除することが適当でないと認められるときは、更に換価に付すことを検討するものとする。
     なお、差押財産等が農地等の場合には、農林水産大臣に対する買取りの申出(141の(6)参照)の可否についても併せて検討する。
  2. 2 公売の回数については、換価同意行政機関等が実施した公売の回数も含めることに留意する(徴基通79条関係10)。
  • (1) 公売に付しても入札者等がないとき。
  • (2) 入札等の価額のうち見積価額に達するものがないとき。
  • (3) 次順位買受申込者が定められていない場合において、徴収法第108条第2項又は第5項《公売実施の適正化のための措置》の規定により、入札等がなかったものとし、又は最高価申込者とする決定を取り消し若しくは最高価申込者とする決定の取消しにより売却決定を取り消したとき。
  • (4) 次順位買受申込者が定められていない場合において、徴収法第115条第4項《買受代金の納付の期限等》の規定により売却決定を取り消したとき。

    (注) 徴収法第114条《買受申込み等の取消し》の規定により、売却決定を取り消した場合において、その後不服申立てがあったときの処分の制限(通則法第105条第1項ただし書)、滞納処分の続行の停止(通則法第105条第2項)等が解除されたときは、再公売によらないで、新たな公売に付さなければならないことに留意する(徴基通第114条関係5)。

  • (5) 次順位買受申込者に対して売却決定をした場合において、徴収法第115条第4項《買受代金の納付の期限等》の規定により、売却決定を取り消したとき。

(再公売の手続)

87 再公売の実施に当たっては、特に次に留意する。

  • (1) 見積価額の変更等
    • イ 見積価額の変更
       見積価額の変更は、直前の見積価額の決定時点から公売財産の価格を形成する要因に変化があると認められる場合、新たな要因がじ後に判明した場合等、その直前の見積価額により公売することが適当でないと認められる場合に行うものとする(徴収法第107条第2項、徴基通第107条関係1-2本文)。
       見積価額の変更に当たっては、不動産の場合には近隣地域の地価の動向等を踏まえた時点修正を検討するとともに、見積価額の算定基礎に当該財産の市場性、公売の特殊性等が適切に反映されているかどうか検討した上で行うこと。
       なお、公売に付しても入札者等がない事実は、その公売財産の市場性が劣ることを示す合理的な理由の一つであることから、再公売を行う場合には、公売に付しても入札者等がなかったことによる市場性減価を直前の基準価額から適切に減価して見積価額を変更するものとする。この場合の市場性減価は、直前の基準価額のおおむね30%程度の範囲内とする(徴基通第107条関係1-2なお書)。
    • ロ 見積価額の変更の通知
       イにより直前の見積価額を変更した場合において、再公売についての公売公告と同時に見積価額を公告し、かつ、公売の通知をするときは、44(見積価額の通知)に準じて変更後の見積価額の通知を行うこと。
  • (2) 公売公告期間の短縮
     再公売を実施する場合において、税務署長が必要と認めるときは、公売公告の期間を適当な期間に短縮して差し支えないこと(徴収法第107条第2項)。この場合において、公売公告の期間の短縮ができる範囲は、次の(5)の見積価額の公告期限との関係で制限されることに留意すること(徴収法第107条第4項、徴基通第107条関係4参照)。
  • (3) 公売条件の変更
     再公売を実施する場合において、税務署長は、公売の場所、公売の方法(入札又は競り売り)、売却区分、公売保証金の額等直前の公売における公売の条件(上記(1)及び(2)を除く。)を適宜変更して差し支えないこと(徴収法第107条第2項、徴基通第107条関係2)。
  • (4) 公売通知の省略
     直前の公売期日から10日以内に再公売を実施するときは、「公売通知書」による通知をする必要はないこと(徴収法第107条第3項)。この場合においては、必要に応じ、買受けを勧奨する文書を発送すること。
     なお、随意契約による売却の方法により換価に付した後、当該財産を公売するときは、その公売期日が、直前の随意契約により売却をする日から10日以内であっても、「公売通知書」により通知するものとする。
  • (5) 見積価額の公告期限
     再公売を実施する場合において、公売財産が不動産、船舶又は航空機であるときは、その見積価額は再公売の日の前日までに公告すること(徴収法第107条第4項、徴基通第107条関係4)。
     なお、上記の財産以外の財産について再公売を実施する場合の見積価額の公告の期限は、42(見積価額公告の期限等)の(2)及び(3)によることに留意する。

    (注) 上記の場合における「公売の日の前日」は、休日等に当たっても延長されないことに留意する(徴基通第107条関係4)。

換価事務提要主要項目別へ戻る