第9節 競り売りの方法による公売手続

 この節は、競り売り(期日競り売り又は期間競り売り)の方法による公売の場合における具体的な手続及び最高価申込者の決定について定めたものである。
 なお、競り売りの方法により公売する場合の手続等については、本節に定める事項を除き、入札の方法により公売する場合と同様である。

(競り売りの方法による場合)

78 次に掲げる場合には、競り売りの方法による公売を検討する。

  • (1) 公売財産が、美術品、骨とう品等でその買受けの競争が特に激しいと認められる場合
  • (2) 鮮魚、野菜等の生鮮食料品等で公売を迅速に行う必要があると認められる場合
  • (3) 上記のほか、他の買受申込者の買受申込価額を知り得る状況の下で買受申込者に順次競り上げさせる方法によることが適当と認められる場合

(競り売りの方法による公売)

79 競り売りの方法については、次による。

  • (1) 競り売り手続の実施主体
     競り売りの方法による場合の競りは、原則として換価事務担当者が行うこと。ただし、多量の公売財産を競り売りする場合その他必要があると認める場合には、競り売り人を選任して競りを取り扱わせて差し支えない(徴収法第103条第2項)。この場合においては、次のことに留意すること(徴基通第103条関係4)。
    • イ 競り売り人の選任に当たっては、その競り売りの目的となった財産の競り売りに、直接であると間接であるとを問わず、参加しないことを競り売り人に約させること。また、次に掲げる事項に該当する者の中から選任すること。
      • (イ) 競り売りの方法に豊富な経験を有する者であること。
      • (ロ) その地方及び同業者間に信望が厚い者であること。
      • (ハ) 買受申込人と連合その他の不正を行うおそれのない者であること。
    • ロ 競り売り人は、その競り売りについての執行補助者の地位にとどまるものであるから、換価事務担当者又はその他の徴収職員が必ず競り売りの場所に立ち会うこと。ただし、インターネットを利用する方法により買受申込みをさせる場合は、この限りでない。
    • ハ 最高価申込者の決定は、換価事務担当者又はその他の徴収職員が行わなければならないこと(徴収法第104条第1項)。
  • (2) 買受申込みの催告
     競り売りの実施に当たっては、公売をしようとする財産を指定して、買受申込みを催告し、その財産の見積価額を底値として順次買受申込価額を競り上げさせるよう促すこと(徴基通第103条関係2)。
  • (3) 買受申込みの方法
     買受申込みの方法には、口頭、番号札等により直接行う方法又はインターネットを利用する方法がある(徴基通第103条関係1)。
     ただし、期間競り売りによる場合には、インターネットを利用する方法により行うものとする。
  • (4) 買受申込価額の拘束
     買受申込者は、より高額の買受申込みがあるまで、その買受申込価額に拘束される(徴基通第103条関係3)。

(最高価申込者の決定)

80 最高価申込者の決定については、次による。

  • (1) 競り売りに係る買受申込価額が最高であるかどうかの決定は、79(競り売りの方法による公売)の(2)により順次買受申込価額を競り上げ、最後の最高価額を3回呼び上げて、それ以上の高価の買受申込みのない場合に行うこと。
     また、インターネットを利用する期間競り売りの方法により買受申込みをさせる場合は、呼び上げを行う必要はなく(徴基通第104条関係1)、競り売り期間(買受申込者が買受申込みをすることができる始期から終期までをいう。以下同じ。)の終了時点における最高価額で見積価額以上の買受申込価額を最高の価額とする。
  • (2) 最高価申込者の決定は、公売財産の売却区分ごとに行い、直ちにその者の氏名及び買受申込価額を口頭、掲示又はインターネットを利用する方法等により告知すること(徴収法第106条第1項、徴基通第104条関係1、第106条関係1)。

    (注) この場合においては、63(最高価申込者の決定)の(2)のロからニまでに該当するものでなければならないことに留意すること(徴基通第104条関係2)。

  • (3) 最高価の買受申込者が、最高価申込者の決定前にその買受けの申込みを取り消した場合には、直ちに次順位の買受申込者を最高価申込者として決定するのではなく、次順位の買受申込者の買受申込価額から、更に競りを行った後、(1)により最高価申込者の決定を行うものとして取り扱うこと。

    (注)

    1 上記の場合において、当該申込みを取り消した者が徴収法第108条第1項《公売実施の適正化のための措置》各号の一に該当する場合には、同条の規定が適用できるほか、同条による公売への参加制限をした場合においてその者の納付した公売保証金があるときは、その公売保証金は国庫に帰属することに留意する。

    2 インターネットを利用する期間競り売りの方法により買受申込みをさせる場合は、原則として、最高価の買受申込者はその買受けの申込みを取り消すことはできないことに留意する。

  • (4) 最高価申込者を決定するに当たり、最高価の買受申込者が2人以上あるとき(例えば、同価で同時発生のとき)は、更に競り売りに係る買受申込みをさせること。この場合の買受申込価額は、その基因となった買受申込価額以上でなければならないことに留意すること(徴基通第104条関係3)。

    (注) 上記により更に競り売りに係る買受けの申込みを促した場合において、その申込みをすべき者が申込みをしなかった場合又はその買受申込価額がその基因となった買受申込価額に満たない場合には、徴収法第108条の規定が適用される場合があることに留意する(徴基通第104条関係4)。

  • (5) (4)により更に競り売りに係る買受申込みをさせた結果、なおその買受申込価額が同額の場合は、くじにより当せんした者を最高価申込者として決定すること(徴収法第104条第2項、徴基通第104条関係5)。

(最高価申込者の決定の取消し)

81 最高価申込者の決定の取消しについては、68(最高価申込者等の決定の取消し)に準じて行う(徴収法第108条第2項、第5項、徴基通第104条関係6、第108条関係18、28)。

(売却決定)

82 売却決定については、69(売却決定)の(1)のイ及びハに準じて行う(徴収法第111条、第113条)。

(競落整理票の作成等)

83 換価事務担当者は、売却決定の都度「競落整理票」(様式308020-101)により公売財産の引渡しをすること。この場合の買受代金の納付については、第6節《買受代金の領収》に定めるところによる。

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