第7節 期日入札の方法による公売手続

 この節は、期日入札の方法による公売の場合における入札から売却決定に至るまでの手続を定めたものである。

(期日入札の方法による公売)

60 期日入札(以下この節において「入札」という。)の方法により公売する場合には、入札者に各自封(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書が送信された時から開札の時までの間、何人も閲覧することができないこととする措置)をした入札書で買受価額を申し出させ、見積価額以上でかつ最高の価額の入札者を最高価申込者としてその公売財産の売却決定を行い、その者を買受人として定める(徴収法第101条第1項、第104条、第111条、第113条、徴収規則第1条の4、徴基通第94条関係2、3、第101条関係2参照)。

(入札書の提出)

61 入札の方法により公売する場合には、次により入札書の提出をさせる。

  • (1) 入札者に対し、公売公告により公告した売却区分ごとに、その住所又は居所、氏名又は名称、公売財産の名称、入札価額その他必要な事項の記載(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をした「入札書」(様式308020-041)を作成させること(徴収法第101条第1項、徴基通第101条関係1)。
     なお、売却区分ごとに入札書を作成すべきこと及び入札書に記載又は入力をすべき内容については、これをあらかじめ注意書等により入札者に周知しておくこと。

    (注) 公売財産の売却決定は、入札書に「入札価額」として記載(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)がされた金額をもって行うので、買受けを希望する価額を「入札価額」として記載(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をさせる(34の(9)のタ参照)。

  • (2) 入札者に対し、上記(1)により作成した入札書につき、次のいずれかの方法により、公売公告に記載した入札期間内に提出(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、送信)をさせること(徴収法第101条第1項、第95条第1項第3号、徴基通第101条関係2、3)。

    イ 書面による方法
     入札者は、入札書に封をして、換価事務担当者に直接手交する方法により提出をするものとする。ただし、入札者が施錠してある入札箱に入札書を投入する場合は、その入札書の封かんを省略しても差し支えないものとする。

    ロ 電子情報処理組織を使用する方法
     入札者は、入札書が送信された時から開札の時までの間、何人も閲覧することができないこととする措置をして、送信をするものとする。

  • (3) 入札者が提出(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合には、送信)をした入札書は、引換え、変更又は取消しをさせてはならないこと(徴収法第101条第2項、徴基通第101条関係5から7まで参照)。この場合においては、その旨及び複数入札の方法による場合を除き、同一人が2以上の入札書の提出をしてはならない旨を、あらかじめ注意書等により入札者に周知しておくこと。

    (注) 入札者が、一つの公売財産について複数の入札書の提出を場合には、複数入札の方法による場合を除き、いずれの入札書も無効なものとすることに留意する(徴基通第101条関係4)。

  • (4) 公売財産を共有する目的で複数の入札者が一つの公売財産について共同で入札する場合(以下「共同入札」という。)は、その旨の明記(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をした「入札書」(様式308020-042)を作成させ、各人の持分につき付記(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をさせるものとする。この場合において、共同入札をする入札者(以下「共同入札者」という。)が、その中から代表者(以下「共同入札代表者」という。)を指名して、実際に入札手続をさせるときは、「共同入札代表者の届出書」(様式308020-043)等の共同入札者が入札手続等を行う者として共同入札代表者を定めた旨の書面(電子情報処理組織を使用する方法により送信がされる場合は、当該事項に係る情報)を入札に先立って提出(電子情報処理組織を使用する方法による場合には、送信。以下この章において同じ。)をさせること。
     なお、共同入札者に対する公売保証金又は買受代金の「領収証書」の宛名については、共同入札者に支障がないときに限り、共同入札代表者として差し支えない。
  • (5) 法人が入札する場合には、実際に入札手続をする者の役職及び氏名を入札書に記載(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をさせること。この場合において、その役職名では代表権限を有するか否か不明の場合には、入札に先立って代表権限を有することを証する書面(例えば商業登記簿に係る登記事項証明書等。電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、当該書面の写し。)の提出をさせるなどにより確認すること。
  • (6) 代理人が入札する場合には、入札に先立って代理権限を証する「委任状」(様式308020-045)(電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、当該委任状に相当する委任の情報。以下この節において同じ。)の提出をさせるとともに、入札書に、入札者の住所又は居所、氏名(法人にあっては名称)のほか、代理人の住所又は居所、氏名(法人にあっては名称)及び代理人である旨の記載(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をさせた上で、入札書の提出をさせること。したがって、法人の従業員等代表権限を有しない者が法人名で入札する場合には、入札に先立って、代表権限を有する者による委任状の提出をさせるとともに、上記(5)に準じて入札書の提出をさせること。
  • (7) 公売財産が法令の規定により譲渡制限を受けている場合等公売財産の買受人について一定の資格その他の要件を必要とする財産について入札するときは、入札に先立って、その財産の買受人となることができる資格を有することを証する書面(電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、当該書面の写し)等の提出又は提示をさせること(34の(7)、141の(2)、149参照)。
  • (8) 入札書の提出を締め切る場合には、公売の場所(インターネット上のサイトを除く。)において、所定の時刻が到来した旨を当該場所にいる入札に参加した者に告げて締め切ること。

    (注) 例えば、次のような明らかに利益相反行為と認められる場合には、いずれの入札も無効とすることに留意する。

    1 代理人、法人の代表権限のある者及び共同入札代表者(以下「代理人等」という。)が、入札者である個人、法人又は共同入札代表者を除く共同入札者(以下「入札委任者」という。)のために入札手続をする公売財産について、入札委任者のために行う入札とは別に、自己のために入札を行う場合

    2 代理人等が、一つの公売財産に対し複数の入札委任者から入札手続に係る委任を受けて入札を行う場合

    3 入札委任者が、代理人等に入札手続を委任した公売財産について、代理人等が行う入札とは別に、自己のために入札を行い又は他の代理人等に委任して入札若しくは共同入札を行わせる場合

(陳述書の提出)

61-2  不動産を公売する場合は、入札者に対し、入札までに「陳述書」(様式308020-045-1〜5)を売却区分ごとに提出をさせる(徴収法第99条の2、徴収規則第1条の2)。
 なお、売却区分ごとに陳述書の提出をすべきことについては、これをあらかじめ注意書き等により入札者に周知しておくこと。

(注) 開札までに陳述書の記載(電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、入力)の不備が補正されなかった場合や陳述書の提出がなかった場合は、原則として、入札は無効なものとすることに留意する。

  • (1) 陳述書にはおおむね次の事項の記載(電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、入力)をさせること(徴収規則第1条の2第1項、徴基通第99条の2関係2)。
    • イ 入札者の氏名又は名称及び住所又は居所
    • ロ 入札者が個人である場合は、生年月日及び性別
    • ハ 入札者が法人である場合は、その役員の氏名、住所又は居所、生年月日及び性別
    • ニ 自己の計算において入札をさせようとする者がある場合において、その者が個人のときは、その氏名、住所又は居所、生年月日及び性別
    • ホ 自己の計算において入札をさせようとする者がある場合において、その者が法人のときは、その名称及び所在地並びにその役員の氏名、住所又は居所、生年月日及び性別

      (注)

      1 上記の「役員」とは、法人の業務の執行又はその監査等に係る権限を有する者等をいい、「役員」が法人の場合は、当該法人の役員及び職務執行者がこれに該当する(徴基通第99条の2関係3)。
       具体的には次のとおりである。
      (1) 株式会社 取締役、監査役、会計参与及び執行役
      (2) 持分会社(合名会社、合資会社、合同会社) 社員
      (3) 特例有限会社 取締役、監査役
      (4) 特定非営利活動法人、一般社団法人、一般財団法人 理事、監事
      (5) その他の法人 上記役員に準じる者

      2 「自己の計算において入札をさせようとする者」とは、公売不動産を取得することによる経済的利益が実質的に帰属する者のことをいう(徴基通第99の2関係4)。
       例えば、当初から公売不動産を取得する目的で第三者に公売不動産を取得するための資金を提供し、当該第三者がその資金を提供した者のために入札をした場合におけるその資金を提供した者は、自己の計算において当該公売不動産の入札をさせようとする者に該当する。

    • ヘ 入札者(その者が法人である場合には、その役員)及び自己の計算において入札をさせようとする者(その者が法人である場合には、その役員)が暴力団員等に該当しないこと
    • ト 入札をしようとする財産の売却区分番号
  • (2) 入札者又は自己の計算において入札をさせようとする者が法人の場合は、法人の役員を証する書面(商業登記簿に係る登記事項証明書等。電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、当該書面の写し。)の提出をさせる。
  • (3) 入札者又は自己の計算において入札をさせようとする者が指定許認可等を受けて事業を行っている場合は、当該指定許認可等を受けていることを証する書面の写しの提出をさせる(34の(9)のヌの(ロ)、徴収規則第1条の2第2項、令和2年国税庁告示第19号)。
     指定許認可等を受けていることを証する書面とは、具体的には次のとおりである。
    • イ 宅地建物取引業法第3条第1項《免許》の免許 都道府県又は国土交通省(各整備局)が発行する当該免許に係る免許証等
    • ロ 債権管理回収業に関する特別措置法第3条《営業の許可》の許可 法務省が発行する当該許可に係る許可証等
  • (4) 提出を受けた陳述書は、開札までに記載(電子情報処理組織を使用する方法により提出がされる場合は、入力)をすべき事項や添付書類の不足など、不備がないことを確認する。

(開札の日時)

62  公売財産につき入札があった場合には、入札書の提出を締め切った後、公売公告をした開札の日時及び場所において、1人以上の入札者又はその代理人の面前で入札書の開封(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書が送信された時から開札までの間、何人も閲覧することができないこととする措置の解除)をしなければならない(徴収法第101条第3項、徴基通第101条関係8、9の(1))。
 ただし、入札者又はその代理人が開札の場所にいないとき又は立会いに応じないときは、その立会いがなくても開札して差し支えない。この場合における開札は、換価事務担当者だけで行うのではなく、税務署長又は税務署長の指名した者が立ち会わなければならない(徴収法第101条第3項ただし書、徴基通第101条関係9の(2))。

(最高価申込者の決定)

63  入札(複数落札入札の方法による場合の入札を除く。以下この項において同じ。)の方法により公売する場合には、次により最高価申込者を決定する。

  • (1) 最高価申込者の決定は、公売財産の売却区分ごとに行い、直ちにその者の氏名及び入札等の価額を、口頭、掲示又はインターネットを利用する方法等により告知すること(徴収法第104条第1項、第106条第1項、徴基通第104条関係1、第106条関係1)。
     なお、公売財産が不動産等であるときは、「不動産等の最高価申込者の決定等通知書」(様式308020-062・063)により滞納者及び徴収法第96条第1項各号《公売の通知》に掲げる者(以下「利害関係人」という。)のうち知れている者に通知するとともに、「不動産等の最高価申込者の決定等の公告」(様式308020-058・059)により公告することに留意する(67、徴収法第106条第2項参照)。
  • (2) 最高価申込者は、おおむね、次に掲げる要件に該当する者でなければならないこと(徴基通第104条関係2)。
    • イ 入札価額が見積価額以上で、かつ、最高価額であること。

      (注) 開札の結果、入札者が1名だけであったときにおいても、その入札価額が見積価額以上であれば、その者を最高価申込者として決定することができることに留意する(明治42.2.27大阪高決、大正9.11.4東京地決参照)。

    • ロ 公売保証金を提供させる場合においては、公売公告所定の公売保証金の全額を提供していること。
    • ハ 買受人の制限(徴収法第92条)、公売参加者の制限(徴収法第108条)等法令の規定により買受人とすることができない者ではないこと(94、95参照)。
    • ニ 公売財産の買受人について一定の資格その他の要件を必要とする場合は、これらの資格等を有すること(34の(7)、141、149、徴収法第95条第1項第7号参照)。
  • (3) 開札の結果、最高価額の入札者が2名以上あるときは、その同価の入札者に追加入札をさせて最高価申込者を決定することとし、追加入札をしてもなお入札価額が同じであるときは、くじにより最高価申込者を決定すること(徴収法第104条第2項、徴基通第104条関係3から5まで)。この場合の追加入札は1回にとどめるほか、次によるものとする。
    • イ 追加入札については、あらかじめ次の事項を注意書等に記載しておくほか、追加入札をすべき者に事前にこれを口頭により十分に周知した上で行うこと。
      • (イ) 追加入札の入札価額は、追加入札の基因となった入札価額以上としなければならないこと。
      • (ロ) 追加入札をすべき者が入札をしなかった場合又は追加入札の価額がその基因となった入札価額に満たない場合には、徴収法第108条《公売実施の適正化の措置》の規定が適用される場合があること(95の(1)のハ参照)。
    • ロ 追加入札をすべき者に対してイに掲げる事項について十分に周知したにもかかわらず追加入札をすべき者が入札をしなかった場合又は追加入札の基因となった入札価額に満たない価額で入札した場合には、次により最高価申込者の決定をすること。
      • (イ) 追加入札に参加した者全員が徴収法第108条第1項各号の一に該当する場合は、追加入札をすべき者の全員について入札がなかったものとし、次順位の入札者を最高価申込者として決定すること。この場合において、追加入札をすべき者の納付した公売保証金があるときは、これを国庫に帰属させること。
      • (ロ) 追加入札に参加した者のうち一部の者が徴収法第108条第1項各号の一に該当する場合には、その該当する者について入札がなかったものとし、該当しない者について、最高価申込者の決定をすること。この場合において、徴収法第108条第1項各号の一に該当する者の納付した公売保証金があるときは、これを国庫に帰属させること。
    • ハ 追加入札をすべき者全員が追加入札の入札をせず、かつ、これらの者につき徴収法第108条第1項各号の一に該当する事由がない場合には、その公売は中止するものとすること。
  • (4) 最高価申込者の決定の決議は、入札書の余白(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書を出力したものの余白)をもって行うこと。

(複数落札入札制及び最高価申込者の決定)

64  種類及び価額が同じ財産(例えば、同一銘柄、同一規格の商品又は同一銘柄の株券、社債券等の有価証券)を入札の方法により一時に多量に公売する場合においては、その財産の数量の範囲内において入札者の希望する数量及び単価を入札させ、見積価額以上の単価の入札者のうち、入札価額の高い入札者から順次その財産の数量に達するまでの入札者を最高価申込者とする方法(以下「複数落札入札制」という。)が一括又は個別に入札する方法に比して有利に売却することができると認められるときは、この方法による。この場合における公売手続については、通常の入札の方法に準じて行うほか、次に掲げるところによる(徴収法第105条、徴基通第105条関係1、2)。

  • (1) 入札は、公売財産の数量の範囲内において、入札者の希望する買受数量及び単価を入札書に記載(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入力)をして行わせる。
  • (2) 複数入札の方法により提出がされた入札書については、それぞれ入札者があるものとして取り扱うこと。
  • (3) 見積価額は、単価について定めなければならないこと。
  • (4) 最高価申込者の決定は、見積価額以上の価額の入札者のうち、入札価額の高額の入札者から順次にその財産の数量に達するまでの入札者を最高価申込者とすることにより行うこと。
  • (5) (4)により最高価申込者を決定する場合において、同価の入札者が2人以上あったときは、入札数量の多い者を先順位の入札者とし、また、入札数量が同量であったときは、くじにより先順位の入札者を定めること。
  • (6) (4)により最高価申込者を決定する場合において、最後の順位の最高価申込者の入札数量が他の最高価申込者の数量と合計してその公売財産の数量を超えるときは、その超える数量については入札がなかったものとし、残余の数量についてだけ入札があったものとすること。
  • (7) 最高価申込者に対して売却決定をした場合において、買受人のうちに買受代金をその納付の期限までに納付しない者があるときは、開札に引き続き売却決定を行い、かつ、直ちに買受代金を納付させるときに限り、その者に売却決定をした数量の範囲内で、(6)により入札がなかったものとされた入札数量について入札があったものとすること。この場合において、買受代金を納付しない買受人に(6)により入札がなかったものとされた入札数量があるときは、その入札数量は除かれること。
  • (8) 同一人に対して複数の売却決定をした場合において、一部の買受代金は納付したものの、全ての買受代金をその納付の期限までに納付しないときは、当該買受人に対してされた買受代金に不足する入札に係る売却決定を取り消すこと(徴収法第115条第4項)。
  • (9) (7)により最高価申込者を決定した場合において、なお公売財産に残余を生ずるときは、(5)により最高価申込者とならなかった者を最高価申込者とすること。
  • (10) (9)により最高価申込者を決定する場合において、(5)により最高価申込者とならなかった者が2人以上あるときは、(5)に準じてその順位を決定すること。
  • (11) (10)により最高価申込者を決定する場合において、最後の順位の最高価申込者の入札数量が他の最高価の申込者の数量と合わせて公売財産の数量を超えるときは、(6)に準ずること。

    (注)

    1 (1)から(11)までにより最高価申込者を決定する場合においても、63(最高価申込者の決定)の(2)のロ及びニの条件に適合した者でなければならないことに留意する。

    2 (5)から(11)までに掲げる場合において、入札数量の一部についてだけ入札があったものとみなされた者は、数量の不足を理由としてその買受けの申込みを取り消すことはできないことに留意する(徴基通第105条関係3)。

  • (12) 最高価申込者の決定に当たっては、最高価申込者の順位、入札数量等を記載した「複数落札入札調書」(様式308020-102)を作成すること。

(次順位買受申込者の決定)

65 次順位買受申込者の決定に当たっては、次に留意すること。

  • (1) 次順位買受申込者制度が適用される場合
     次順位買受申込者制度は、次の要件の全てを満たす場合に適用される(徴収法第104条の2第1項)。
    • イ 入札の方法による不動産等の公売であること。
    • ロ 公売保証金の提供を要することとして行う公売であること。

      (注) 公売保証金の提供を要しないこととして公売する場合(徴収法第100条第1項ただし書)には、最高の価額の入札者が2人以上あり、くじで最高価申込者を定めた場合に限り次順位買受申込者制度が適用されることに留意する(徴基通第104条の2関係1)。

  • (2) 次順位による買受けの申込み
    • イ 最高価申込者の決定をした場合には、換価事務担当者は、最高入札価額に次ぐ高い価額による入札者に対し、次順位による買受申込みの催告をすること(徴基通第104条の2関係2)。
    • ロ 次順位による買受申込みは、イの催告を行った後、直ちに行わせること(徴収法第104条の2第2項)。
       なお、この申込みは、次順位による買受申込みをする旨につき、①開封をした入札書(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合を除く。)の余白に、記載させる、②電子情報処理組織を使用する方法により送信させる等、その意思を明らかにさせる方法により行わせること(徴基通第104条の2関係3)。
  • (3) 次順位買受申込者の決定
    • イ 次順位買受申込者の決定は、次に掲げる全ての条件に該当する場合のみ行うこと(徴収法第104条の2第1項、徴基通第104条の2関係4)。
      • (イ) 入札価額が最高価申込者の入札価額に次ぐ高い価額(見積価額以上で、かつ、最高入札価額から公売保証金の額を控除した金額以上であるものに限る。)であること。

        (注) 最高の価額の入札者が2人以上あり、くじで最高価申込者を定めた場合(徴収法第104条第2項)には、当該最高価申込者以外の最高価額の入札者が、最高価入札価額に次ぐ高い価額による入札者となることに留意する(徴収法第104条の2第1項)。

      • (ロ) 公売保証金を提供させる場合においては、所定の公売保証金を提供していること。
      • (ハ) 徴収法第92条《買受人の制限》、第108条《公売実施の適正化のための措置》等法令の規定により買受人等としてはならない者でないこと。
      • (ニ) 徴収法第95条第1項第7号《公売公告》の一定の資格その他の要件を必要とする場合は、これらの資格等を有すること。
    • ロ 最高入札価額に次ぐ高い価額による入札者で上記イの条件を満たす者が2人以上あり、これらの者から次順位による買受けの申込みがある場合は、くじにより当せんした者を次順位買受申込者として決定すること(徴収法第104条の2第3項)。この場合におけるくじは、これらの者が直接くじを引くことができる方法により行うものとするが、この方法によることができないときは、それ以外の方法によるくじで定めるものとする(徴基通第104条の2関係5)。
    • ハ 次順位買受申込者の決定の決議は、入札の終了の告知をした後に、最高価申込者の決定の決議に併せて、最高価申込者の決定(63の(1)参照)に準じて、「不動産等の次順位買受申込者の決定等の公告」(様式308020-067・068)により行うこと。
    • ニ 次順位買受申込者の決定の決議は、入札書の余白(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書を出力したものの余白)をもって行うこと。

(入札の終了の告知等)

66 入札の終了の告知等は、次により行う。

  • (1) 最高価申込者等の告知
     最高価申込者等を決定したときは、直ちにその者の氏名及び価額(複数落札入札制による場合には、数量及び単価)を、口頭、掲示又はインターネットを利用する方法等により告げた後、入札の終了の告知をする(徴収法第106条第1項、徴基通第106条関係1)。
  • (2) 入札の終了の告知
     入札の終了の告知は、口頭、掲示又はインターネットを利用する方法等により行う(徴基通第106条関係2)。

(入札の終了の通知及び公告)

67 入札の終了の通知及び公告は、次により行う。

  • (1) 入札の終了を告知した場合において、公売財産が不動産等であるときは、税務署長は、遅滞なく、最高価申込者等の氏名又は名称、その価額(複数落札入札制による場合には、数量及び単価)並びに売却決定をする日時及び場所を「不動産等の最高価申込者の決定等通知書」及び「不動産等の次順位買受申込者の決定等通知書」(様式308020-069・070)により次に掲げる者に通知するとともに、これらの事項を「不動産等の最高価申込者の決定等の公告」及び「不動産等の次順位買受申込者の決定等の公告」により公告する。この場合の公告の期間は、売却決定期日までとする(徴収法第106条第2項、第3項、徴基通第106条関係3、5)。
  •  イ 滞納者
  •  ロ 利害関係人のうち知れている者

(注)

1 (1)及び(2)については、47(公売の通知)の(1)において公売公告をした旨を通知する者と同様であること(47の(1)の(注)1から3参照)。

2 期日入札の方法により公売を行った場合の最高価申込者に対しては、必要に応じ「不動産等の最高価申込者の決定等通知書」を交付することとして差し支えない。

  • (2) 複数の不動産等を一括換価した場合の(1)の通知書の作成及び公告に当たっては、次に掲げる事項に留意する。
  •  イ 一括換価の方法により公売した旨を記載すること。
  •  ロ 「公売財産の表示」欄には、一括換価した全ての不動産等を記載すること。
     なお、滞納者を異にする複数の不動産等を一括換価した場合の同通知書には、「公売財産の所有者」欄に記載された滞納者の権利の対象となる不動産等を特定して明示すること。
  •  ハ 滞納者を異にする複数の不動産等を一括換価した場合には、最高価申込価額又は次順位買受申込価額及び各不動産等に対応する価額を記載すること。この場合の各不動産等に対応する価額は、最高価申込価額又は次順位買受申込価額を各不動産等の見積価額に応じてあん分して得た額とすること。

(注) あん分計算に当たっての端数処理等については、一括換価する場合の見積価額の決定等(41−2の(1)の(注)2参照)に準じて行う。

(暴力団員等に該当するか否かについての調査の嘱託)

67-2  暴力団員等に該当するか否かについての調査の嘱託は次による。

  • (1) 調査の嘱託をしなければならない者(徴基通第106条の2関係2)
    • イ 公売不動産の最高価申込者等(その者が法人である場合には、その役員)
    • ロ 自己の計算において最高価申込者等に公売不動産の入札をさせた者があると認められる場合は、当該公売不動産の入札をさせた者(その者が法人である場合には、その役員)
  • (2) 調査の嘱託を要しない者
     公売不動産の最高価申込者等又は自己の計算において最高価申込者等に公売不動産の入札をさせた者が指定許認可等を受けて事業を行っている者である場合において、これらの者から61−2(陳述書の提出)の(3)に掲げる書面の写しの提出があるときは、調査の嘱託を要しない(徴収法第106条の2第1項ただし書、第2項ただし書、徴収規則第1条の5、令和2年国税庁告示第19号、徴基通第106条の2関係3、4)。

    (注) 上記の者が、指定許認可等を受けて事業を行っている者であっても、61−2の(3)に掲げる書面の写しの提出がない場合は、調査の嘱託を行う必要があることに留意する。

  • (3) 調査の嘱託の手続
     公売不動産の最高価申込者等の決定後、「嘱託書」(様式308020-077-1)、「嘱託書別紙(調査対象者一覧表)」(様式308020-077-2)を売却区分ごとに作成する。また、「調査対象者一覧表(全件)」(様式308020-077-3)を作成の上、原則として、情報記録媒体(CD−R又はDVD−R)に格納し、当該情報記録媒体、紙媒体の上記「嘱託書」及び「嘱託書別紙(調査対象者一覧表)」により、調査対象者が暴力団員等に該当するか否かについて、必要な調査を公売を実施した税務署等の所在地を管轄する警察当局に嘱託する(徴収法第106条の2)。
     なお、情報記録媒体については、平成20年国税庁訓令6号「国税庁における情報システムに係る情報セキュリティの確保のための実施規則」及び平成20.6.23官参4−11「国税情報システムに係るセキュリティの確保のための実施細則」(事務運営指針)に基づき適切に管理する。

    (注)

    1 嘱託書に記載する回答期限は、原則として、最高価申込者等の決定の日の翌日(休日等に当たる場合は、これらの日の翌日)から起算して14日を経過した日を設定するものとする。
     なお、回答期限までに回答がなく、売却決定期日までに調査の結果が明らかとならない場合の処理については、39の(3)(公売公告の内容に変更等があった場合の処理)によること。

    2 警察当局への調査の嘱託及び回答書の受領に当たっては、原則として、使送により行うものとする。ただし、税務署において公売した場合において、嘱託先である警察当局が遠方である等の理由により使送が困難なときは、郵送によることとして差し支えない。この場合、簡易書留郵便によることとし、返信用封筒も簡易書留郵便とする。
     なお、調査の嘱託に当たっては、事前に嘱託先となる警察当局に対し、調査の嘱託日、方法(使送、郵送)、回答期限(郵送の場合は送達に要する日数を勘案した期限)などを連絡し、必要に応じて協議等を行う。

  • (4) 暴力団員等の判定の時期
     暴力団員等に該当するか否かの判定は、上記(1)の「調査の嘱託をしなければならない者」につき「公売不動産の入札等がされた時」又は「徴収法第113 条第1項《不動産等の売却決定》に規定する売却決定期日」の現況による(徴基通第108条関係27)。
  • (5) 罰則の適用
     上記(3)の調査の嘱託を行った者のうちに暴力団員等であることが判明した場合にあっては、警察当局と連携を図りつつ、徴収法第189条《虚偽の陳述の罪》の適用を検討すること。この場合においては、国税局長の指示を受けて告発の手続をすること。

(最高価申込者等の決定の取消し)

68 不動産等の最高価申込者等の決定後、売却決定前に公売の基礎となった国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあっては、特定参加差押え(特定参加差押えが2以上あるときは、そのうち最も先にされた特定参加差押えに限る。)に係る国税又は特定差押えに係る国税、地方税若しくは公課)の完納等による消滅の事実を確認したときは、徴収法第117条《国税等の完納による売却決定の取消し》の規定に準じ、最高価申込者等の決定の取消しを行うこと(徴基通第104条関係6、第117条関係3参照)。この場合においては、最高価申込者、滞納者及び利害関係人に対し、その最高価申込者の決定を取り消した旨を「不動産等の最高価申込者の決定取消通知書」(様式308020-064〜066)により通知し、また、併せて次順位買受申込者の決定を取り消したときは、これに準じて「不動産等の次順位買受申込者の決定取消通知書」(様式308020-071〜073)により通知することに留意する。
  なお、徴収法第108条第2項又は第5項《公売実施の適正化のための措置》の規定により、最高価申込者等の取消しを行うときも同様に取り扱う(96の(5)のロ、徴基通第108条関係18、28)。

(注)

  1. 1 2以上の参加差押えに基づき換価執行決定をした場合において、そのうち最も先にされた参加差押えに係る国税が完納等により消滅し、その参加差押えを解除したとしても、換価執行決定は取り消す必要がないことに留意する(徴基通第89条の3関係1)。
  2. 2 上記の国税が、最高価申込者等の決定前に完納等により消滅した場合は、換価手続を中止する必要がないことに留意する。

(売却決定)

69 売却決定は、次により行う。

  • (1) 最高価申込者に対する売却決定
    • イ 売却決定は、最高価申込者の入札価額により、公売公告をした売却決定の日時(54のなお書)において最高価申込者の面前で口頭により行うこと。ただし、最高価申込者又はその代理人が売却決定をする場所に居合わせない場合においても売却決定をして差し支えない。

      (注) 「売却決定通知書」は、売却決定の際に買受人に交付するものではないことに留意する(57参照)。

    • ロ 売却決定の決議は、入札書の余白(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書を出力したものの余白)をもって行うこと。
    • ハ 売却決定は、事前に必要な決裁を了した上で行うこと。ただし、動産、有価証券又は電話加入権を借上倉庫、合同公売場、市町村役場等25(公売の場所の選定)の(1)のロからニまでに掲げる場所で公売する場合において上記により難いときは、あらかじめ決裁権者の承認を得た上で現地において売却決定を行っても差し支えない。
       なお、この場合においては、速やかに事後的に決裁を受けておくこと。
  • (2) 次順位買受申込者に対する売却決定
    • イ 次順位買受申込者を定めている場合において、次に掲げる処分又は行為があったときは、それぞれに掲げる日に、次順位買受申込者に対して売却決定を行うこと(徴収法第113条第2項)。
      • (イ) 徴収法第108条第2項又は第5項《公売実施の適正化のための措置》の規定により最高価申込者の決定の取消しをしたとき  当該最高価申込者の決定の基因となった公売公告に記載されている売却決定期日
      • (ロ) 最高価申込者が徴収法第114条《買受申込み等の取消し》の規定により入札の取消しをしたとき  当該入札に係る公売公告に記載されている売却決定期日
      • (ハ) 最高価申込者である買受人が徴収法第114条の規定により買受けの取消しをしたとき  当該取消しをした日
      • (ニ) 徴収法第115条第4項《買受代金の納付の期限等》の規定により最高価申込者である買受人に係る売却決定の取消しをしたとき  当該取消しをした日

        (注) 次順位買受申込者が定められている場合において、買受人が買受代金をその納付の期限までに納付しないときは、速やかに売却決定の取消しをすることに留意する。

    • ロ 売却決定の決議は、入札書の余白(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、入札書を出力したものの余白)をもって行うこと。
    • ハ 次順位買受申込者に対し売却決定をした場合には、当該申込者に対し、その旨及び買受代金の納付の期限等を、「次順位買受申込者への売却決定通知書」(様式308020-084・085)により、また、滞納者及び利害関係人に対しては「次順位買受申込者に対して売却決定をした旨の通知書」(様式308020-086・087)により通知すること。

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