第5節 公売保証金

 この節は、公売保証金の提供の基準、返還及び国庫帰属の手続等について定めたものである。

(公売保証金の提供)

49 公売保証金の提供については、次による。

  • (1) 公売保証金の提供の要否
     入札又は競り売りの方法により公売する場合には、入札者等(公売財産の入札又は競り売りに係る買受けの申込みをしようとする者をいう。以下同じ。)に公売保証金を提供させる(徴収法第100条第1項本文)。ただし、次に掲げる場合には、その提供をさせないこととして差し支えない(徴収法第100条第1項ただし書、徴収令第42条の2)。
    • イ 売却区分ごとの見積価額が50万円以下の場合
    • ロ 買受代金を売却決定の日に納付させる場合
  • (2) 公売保証金の提供方法
     公売保証金は、以下に掲げるいずれかの方法により入札者等に提供させなければならない(徴収法第100条第1項)。
    • イ 現金(国税の納付に使用することができる小切手のうち銀行(銀行法に基づく銀行のほか、信用金庫を含む。以下同じ。)の振出しに係るもの及びその支払保証のあるものを含む。以下同じ。)で納付する方法(徴収法第100条第1項第1号、徴基通第100条関係1から4参照)
       なお、公売保証金を現金で納付するときは、税務署等において納付するのが原則であるが、期間入札又は期間競り売りの方法により公売する場合には、銀行振込み(主任歳入歳出外現金出納官吏の普通預金口座への振込みをいう。以下同じ。)の方法により納付することとして差し支えない。この場合の納付確認は、提出された「公売保証金振込通知書兼払渡請求書」(様式308020-051)及び主任歳入歳出外現金出納官吏の普通預金口座への入金確認により行う。

      (注)

      1 公売保証金の納付に使用することができる小切手は、証券ヲ以テスル歳入納付ニ関スル法律に基づき租税及び歳入の納付に使用することができる小切手のうち、銀行が振り出した小切手でその銀行にあてたもの(いわゆる預金小切手)又は小切手法第53条《支払保証の方式》の規定により支払人である銀行が支払保証をしたものである(徴収法第100条第1項、徴基通第100条関係1から4)。

      2 呈示期間の満了(小切手法第29条)までに5日以上の期間のない小切手は、受領を拒否することができることに留意する(徴基通第100条関係1)。

      3 租税及び歳入納付に使用することができる小切手については、300万円未満のもの又は国税収納官吏に納付するもの等特定のものは、支払保証を必要としないが、公売保証金として納付する小切手については、銀行の振り出したものを除き、全て銀行の支払保証を必要とすることに留意する。

    • ロ 入札者等と保証銀行等(銀行その他税務署長が相当と認める者をいう。以下同じ。)との間において、期限を定めず当該入札者等に係る公売保証金の額に相当する現金を税務署長の催告により当該保証銀行等が納付する旨の契約が締結されたことを証する書面(以下「納付保証委託契約証明書」という。)を税務署長に提出する方法(徴収法第100条第1項第2号、徴収規則第1条の3、徴基通第100条関係5から7参照)

(公売保証金の金額)

50 公売保証金は、公売財産の売却区分ごとの見積価額の100分の10以上の額とする(徴収法第100条第1項本文)。
 なお、滞納者を異にする複数の財産を一括換価する場合には、原則として、あらかじめ各財産の見積価額に基づく各財産に係る公売保証金の額(全ての財産を一体とした公売保証金の額の内訳)を定めるものとする。

(注) 各財産に係る公売保証金の額をあらかじめ定めなかった場合は、買受代金への充当処理において、全ての財産を一体とした公売保証金の額を各財産の見積価額によりあん分して公売に係る国税に充てる必要があることに留意する。

(公売保証金の提供時期)

51 公売保証金は、入札等に先立って、入札者等から提供させる(徴収法第100条第1項本文参照)。ただし、入札時刻の終わる直前において一時に多数の入札者が参集した場合等で上記により難いときには、入札者等に、公売保証金を封筒に入れ封をして、署名の上これを提出させ、入札等後開札又は競り売りの終了までの間において公売保証金の領収手続を行う取扱いとして差し支えない。

(公売保証金の提供と入札等)

52 公売に当たり公売保証金の提供を公売参加の条件とする場合においては、入札者等は、公売保証金を提供した後でなければ、入札等をすることができない(徴収法第100条第2項)。

(公売保証金の領収等に関する処理)

53 公売保証金の領収等に関する処理は、管理運営事務提要の定めるところにより処理する。この場合においては、特に次の事項に留意する。

  • (1) 納付
     公売保証金の額に相当する現金を納付させるとき(期間入札又は期間競り売りの方法により公売を行う場合には、公売保証金を銀行振込みの方法により納付させる場合を含む。以下同じ。)は、「保管金提出書兼受入書」を作成すること(管理運営事務提要(様式編)様式115-851の調理要領参照)。
     なお、「保管金提出書兼受入書」の調理については、次に留意する。
    • イ 「保管金提出書兼受入書」は、「歳入歳出外現金領収証書」と複写で作成すること。

      (注) 「保管金提出書」は買受希望者が作成するものであるが、実務上歳入歳出外現金受入れの際に同時に作成することとしたものである。

    • ロ 公売保証金の内訳は、「保管金提出書兼受入書」の「売却代金等の明細」欄に記載すること。この場合において、売却区分等が多いため「売却代金等の明細」欄に記載しきれないときは、「明細は別紙のとおり」と記載して「保管金提出書兼受入書」の規格により「明細書」を作成すること(管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第2の1の(2)のイの(ロ))。

      (注) 公売保証金として小切手による納付があったときは、その種類、記号番号、振出人、支払人、支払場所、支払期日等その証券を明示するための表示を「保管金提出書兼受入書」の「備考」欄に記載すること。

  • (2) 領収
     公売保証金を受け入れる場合には、歳入歳出外現金出納官吏は、次の事項を確認してこれを領収し、「歳入歳出外現金領収証書」をその公売保証金を納付した者に交付すること(管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第2の1の(1)から(3)まで)。
     なお、期間入札又は期間競り売りの方法により公売を行う場合において、公売保証金を銀行振込みの方法により納付させたときは、「歳入歳出外現金領収証書」をその公売保証金を納付した者に郵送する。
    • イ 当該歳入歳出外現金が公売保証金として受け入れることができるものであるか。
    • ロ 公売保証金として小切手による納付があった場合には、その小切手が領収できるものであるか(49の(2)のイの(注)、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第1の1の(2)のロ)。
  • (3) 払込み
     公売保証金として受け入れた現金は、主任歳入歳出外現金出納官吏に払い込まなければならない。ただし、その公売保証金を受入れの当日においてその公売保証金を納付した者に払い渡すときは、上記の払込みを要しないこと(管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第2の1の(8)のロ)。
  • (4) 保管
     歳入歳出外現金出納官吏の領収した公売保証金は、次によりこれを保管すること。
    • イ 主任歳入歳出外現金出納官吏が領収した現金又は分任歳入歳出外現金出納官吏から払込みを受けた現金は、出納官吏事務規程、保管金取扱規程及び保管金払込事務等取扱規程により、保管金取扱店又は預金取扱店に払込みをすること(出納官吏事務規程第3条ただし書、第61条、保管金払込事務等取扱規程第3条、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第1の2の(1)、(2)のイ)。
       なお、期間入札又は期間競り売りの方法により公売を行う場合には、主任歳入歳出外現金出納官吏の普通預金口座に振り込まれた現金又は分任歳入歳出外現金出納官吏から払込みを受けた現金を、保管金取扱規程及び保管金払込事務等取扱規程に従い保管金取扱店に払込みすること(管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第1の2の(1))。

      (注) 保管金取扱店から受領した領収証書は、歳入歳出外現金出納計算書の払出しの証拠書類となることに留意する。

    • ロ 領収の日の翌日若しくは払込みを受けた日の翌日から6日以内に国税若しくは歳入に充て又は債権者に払渡しをすることができるもので特に必要があると認められるものあるいはその保管してある現金が20万円を超えない範囲内のものについては、主任歳入歳出外現金出納官吏は、これを金庫に保管することができること(予算決算及び会計令第103条ただし書、出納官吏事務規程第3条、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第1の2(1)のイのただし書、(2)のロ)。
    • ハ 公売保証金として小切手による納付があった場合において、その小切手の保管中に呈示期間が満了に近くなったものについては、直ちに払渡しをする必要があるときを除き、その小切手を支払人に呈示して支払いを受け、現金として保管しておくこと。
  • (5) 買受代金への充当
     公売保証金の買受代金への充当については、次によること。
    • イ 現金で納付する方法により提供された公売保証金については、買受人の意思表示により、買受代金に充てることができる。したがって、この方法によるときは、その買受人に入札価額と公売保証金との差額を買受代金として納付させることとなる。この場合における買受代金の納付の効果は、買受代金のうち、買受代金に充てた公売保証金の額を控除した額の全額の納付があった時に生ずることに留意する(徴収法第100条第3項本文、徴基通第100条関係8)。
       なお、期間入札又は期間競り売りの方法により公売を行う場合で、公売保証金を要する物件について、公売保証金の買受代金への充当を希望する入札者等があるときは、事前に「公売保証金の充当申出書」(様式308020-052)を提出させること。
       (注) 納付保証委託契約証明書を提出する方法により提供された公売保証金については、買受代金に充てることができないことに留意する(徴基通第100条関係8なお書)。
    • ロ 徴収法第115条第4項《買受代金の納付の期限等》の規定により売却決定が取り消された場合において買受人が提供した公売保証金があるときは、これをその公売に係る国税に充てる。この場合において、滞納者を異にする複数の財産を一括換価した場合の公売保証金については、各財産に係る公売保証金の額をそれぞれの滞納者の公売に係る国税に充てることに留意する(50参照)。
       なお、国税への充当後、なお残余があるときは、その残余金を当該公売財産の差押え時における権利者であった滞納者に交付すること(徴収法第100条第3項ただし書、徴基通第100条関係12)。この場合において、納付保証委託契約証明書を提出する方法により公売保証金を提供しているときは、保証銀行等に当該公売保証金の額に相当する現金を納付させた上で、その公売に係る国税へ充当等の処理をすること(徴収法第100条第4項、徴基通第100条関係9参照)。
       おって、公売保証金をその公売に係る国税に充てたとき及びその残余金を滞納者に交付すべきときは、その旨を「充当通知書」(様式308030-010・011)により滞納者に通知するものとする(徴基通第100条関係13)。

      (注)

      1 上記の「滞納者」には、徴収法第24条《譲渡担保権者の物的納税責任》の規定により追及を受けた譲渡担保権者及び担保物処分の場合における当該担保物の差押え時の所有者が含まれることに留意する(徴基通第54条関係12、第100条関係12参照)。

      2 上記の「公売に係る国税」とは、公売保証金の提供を受けた公売処分の基礎となった国税(特定参加差押不動産を換価する場合にあっては、特定参加差押えに係る国税)をいい、交付要求に係る国税等(特定参加差押不動産を換価する場合にあっては、特定差押えに係る国税、地方税及び公課を含み、特定参加差押えに係る国税を除く。)へは充てることができない(徴基通第100条関係11)。

  • (6) 公売保証金の返還
     次に掲げる場合には、遅滞なく公売保証金をその提供した者に返還すること(徴収法第100条第6項)。
     なお、この場合において、公売を期間入札又は期間競り売りの方法により行った場合には、遅滞なく公売保証金振込通知書に記載された入札者等の預金口座に振込手続きを行うとともに、振込手続き終了後、公売保証金を返還した者に対し「国庫金振込通知書」を送付する(保管金払込事務等取扱規程第9条)。また、51(公売保証金の提供時期)のただし書の取扱いによった場合において、入札者等の提供した公売保証金の額が所定の金額に達していないものであるときにおいても、これを返還するものとして取り扱うこと。
     (注) 納付保証委託契約証明書を提出する方法により公売保証金を提供した入札者等に対しては、その証明書を返還しなければならないことに留意する(徴基通第100条関係14)。
    • イ 最高価申込者等を定めた場合において、他の入札者等の提供した公売保証金があるとき。
       なお、徴収法第105条第2項《複数落札入札制による最高価申込者の決定》の規定により入札がなかったものとされた場合において、入札がなかったものとされた者が提供した公売保証金があるときは、入札がなかったものとされた入札数量に相当するその公売保証金についても上記と同様に取り扱う(徴基通第100条関係15)。

      (注) 次順位買受申込者が提供した公売保証金は、最高価申込者の提供した公売保証金と同様に保管することに留意すること。

    • ロ 入札等の価額の全部が見積価額に達しないことその他の理由により最高価申込者を定めることができなかった場合(例えば、換価制限に関する規定(徴収法第90条第3項、通則法第105条第1項ただし書等)に該当して公売を取りやめた場合、災害その他やむを得ない事情により公売財産の入札者等の全員について入札等がなかった場合等)において、入札者等の提供した公売保証金があるとき(徴基通第100条関係16)。
    • ハ 徴収法第114条《買受申込み等の取消し》の規定により最高価申込者等又は買受人がその入札等又は買受けを取り消した場合において、その者の提供した公売保証金があるとき。
    • ニ 最高価申込者が買受代金を納付した場合において、現金で納付する方法により提供した公売保証金で買受代金に充てなかったもの又は納付保証委託契約証明書を提出する方法により提供した公売保証金があるとき(徴基通第100条関係17)。
    • ホ 最高価申込者が買受代金を納付した場合において、次順位買受申込者が提供した公売保証金があるとき。
    • ヘ 徴収法第108条第5項《公売実施の適正化のための措置》の規定により最高価申込者等の決定が取り消された場合において、最高価申込者等の提供した公売保証金があるとき(徴基通第108条関係28)。
    • ト 徴収法第117条《国税等の完納による売却決定の取消し》の規定により売却決定が取り消された場合又は換価財産(換価に付した財産をいう。以下同じ。)に係る国税が完納されたことにより最高価申込者等の決定が取り消された場合において、買受人又は最高価申込者等の提供した公売保証金があるとき(徴基通第100条関係18)。
    • チ 再度入札(徴収法第102条)又は再度競り売り(徴収法第103条第3項)を行った場合において、その再度入札又は再度競り売りに参加しなかった者の提供した公売保証金があるとき(徴基通第102条関係2のなお書、第103条関係6のなお書)。
  • (7) 公売保証金の国庫帰属
     徴収法第108条第2項《公売実施の適正化のための措置》の規定により、入札等をなかったものとし、又は最高価申込者等の決定を取り消した場合において、その処分を受けた者の提供した公売保証金があるときは、その公売保証金は国庫に帰属させること(徴収法第108条第3項)。この場合において、納付保証委託契約証明書を提出する方法により公売保証金を提供しているときは、保証銀行等に当該公売保証金の額に相当する現金を納付させた上で、当該現金を国庫に帰属させること(徴収法第100条第5項、徴基通第100条関係9参照)。したがって、(5)又は(6)による措置はとらないことに留意する(徴基通第108条関係20から24)。

    (注) 現金で納付する方法により提供した公売保証金について、徴収法第100条第3項又は第6項《公売保証金》の規定により公売保証金が既に買受代金納付としての効果を生じているとき(徴基通第100条関係8参照)、買受人へ交付されているとき等は、国庫に帰属すべき公売保証金はないことに留意する(徴基通第108条関係21)。
     なお、公売保証金を国庫に帰属させる場合の手続は次によること。

    • イ 公売保証金は、その都度保管金国庫帰属の決議をし、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第6の2《保管金政府所得の報告》の定めるところにより、「保管金政府所得調書」を国税局長に送付すること。
       なお、公売保証金の国庫帰属の決議をしたときは、その旨を公売保証金を提供した者に対して、「入札等をなかったものとした旨の通知書」(様式308020-054)又は「売却決定取消通知書」(様式308020-081〜083)に付記して通知すること。
    • ロ 国庫に帰属された公売保証金について「納入告知書」の送付を受けたときは、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款第6の3《歳入納付の処理》の定めるところにより歳入に納付する処理をすること。
  • (8) その他
     (1)から(7)までによるほか、公売保証金の受入れ、保管及び払渡しに伴う処理手続については、管理運営事務提要(事務手続編)第4編第5章第5節第2款の定めるところによる。

換価事務提要主要項目別へ戻る