第2節 公売公告

 この節は、公売公告すべき事項及び公告期間を定めるほか、公売公告が広く買受希望者の公売参加を誘引する目的をもつ趣旨にかんがみ、公告の方法及び場所について留意すべき点を例示的に定めたものである。

(公告の決議)

33 公売公告の決議は、公売の実施決議と同時に「公売実施等決議書」により行うことに留意する(29参照)。

(公告すべき事項)

34 「公売公告」(様式308020-034)には、次の事項を記載し、これを公告しなければならない。

  • (1) 公売財産の名称、数量、性質及び所在(徴収法第95条第1項第1号)
     公売財産の名称、数量、性質及び所在については、公売財産を特定する上において必要な事項につき、おおむね、次に掲げる例示に従って記載すること。この場合において、不動産につき、登記簿上の表示が現況と相違している場合には、当該登記簿上の表示のほか、現況を併記すること(19、徴基通第95条関係7参照)。
    • イ 建物の場合
      • (イ) 建物の所在する都道府県、市、区、郡、町、村、字及び土地の地番
      • (ロ) 家屋番号
      • (ハ) 建物の種類、構造及び床面積
      • (ニ) 建物の名称があるときは、その名称
      • (ホ) 附属建物があるときは、その所在する都道府県、市、区、郡、町、村、字及び土地の地番並びに種類、構造及び床面積
        (例示)
        所在 何県何市何町何丁目何番地
        家屋番号 何番
        種類 居宅
        構造 木造瓦葺二階建
        床面積 登記簿上 1階 79.34平方メートル
          2階 59.50平方メートル
        現況 1階 約85.95平方メートル
          2階 約85.95平方メートル
    • ロ 土地の場合
      • (イ) 土地の所在する都道府県、市、区、郡、町、村及び字
      • (ロ) 地番
      • (ハ) 地目
      • (ニ) 地積
        (例示)
         所在 何県何市何町何丁目
         地番 何番
         地目 宅地
         地積 271.07平方メートル
    • ハ 機械その他の動産の場合
      • (イ) 財産名
      • (ロ) 銘柄(種類)
      • (ハ) 形式、規格及び寸法
      • (ニ) 数量
        (例示)
         万能フライス盤
         何何会社製 2ML 1台
         作業面積 1,350×310(m/m)
         主軸回転数 33―2,000(r・p・m)
         主電動機 5.5(KW)
      • (注)

         1 公売財産が工場である場合には、その建物の種類、利用価値等が端的に推測できるように、例えば「鋳物工場」、「織物工場」等とその工場の業種を付記すること。

         2 複数の財産(滞納者を異にするものを含む。)を一括換価する場合の「公売公告」には、一括換価する全ての財産を記載すること。

         3 工場抵当物件を一括換価する場合の「公売公告」には、不動産の一筆ごとの記載とともに、動産である附属物件についても工場抵当法第3条《抵当権の目的物の目録》の目録程度の明細を記載すること。

  • (2) 公売の方法(徴収法第95条第1項第2号)
     公売の方法については、入札の方法(期日入札の方法によるか期間入札の方法によるかの別、及び最高価申込者を決定するに際して複数落札入札制(徴収法第105条)を採る場合には、その旨)若しくは競り売りの方法(期日競り売りの方法によるか期間競り売りの方法によるかの別)について記載すること。
     なお、期日入札又は期日競り売りの方法による場合には、単に「入札」又は「競り売り」と記載することとして差し支えない(徴収法第94条第2項、徴基通第95条関係8)。
  • (3) 公売の日時及び場所(徴収法第95条第1項第3号)
     公売の日時については、期日入札及び期間入札による場合は入札期間を、期日競り売りによる場合は買受申込みをすることができる始期を、期間競り売りによる場合は競り売り期間を記載すること(徴基通第95条関係9)。
     公売の場所については、期日入札又は期間入札による場合は入札書の提出を行う場所(電子情報処理組織を使用する方法により入札がされる場合は、インターネット上のサイト)を、期日競り売り又は期間競り売りによる場合は競り売りを行う場所(インターネットを利用する方法により買受申込みを行わせる場合には、インターネット上のサイト)を記載すること(徴基通第95条関係10)。

    (注) 期間入札による場合は、「公売開始の日時」欄及び「公売締切りの日時」欄に年月日のみを記載し、時間の記載は行わないこと。

  • (4) 売却決定の日時及び場所(徴収法第95条第1項第4号)
     売却決定の日時については、売却決定(次順位買受申込者に対する売却決定(徴収法第113条第2項)を含む。)をすることができる始期を(徴基通第95条関係11)、また、売却決定の場所については、原則として公売の場所を記載すること。なお、インターネットを利用する方法による場合における売却決定の場所は、税務署等となることに留意する。
  • (5) 公売保証金の金額(徴収法第95条第1項第5号)
     公売保証金を提供させるときは、50(公売保証金の金額)により定めた金額を記載すること。
  • (6) 買受代金の納付の期限(徴収法第95条第1項第6号)
     買受代金の納付の期限は、54(買受代金の納付の期限)又は55(納付の期限の延長)により税務署長が定めた期限を記載すること(徴基通第95条関係12)。

    (注)

    1 次順位買受申込者に係る買受代金の納付の期限は、徴収法第113条第2項に定める売却決定の日から起算して7日を経過した日となることに留意すること(徴収法第115条第1項)。

    2 徴収法第115条第2項《買受代金の納付の期限の延長》の規定による期限の延長は公売公告に記載しなければできないことに留意する(徴基通第95条関係12の(注)2)。

  • (7) 買受人の一定の資格その他の要件(徴収法第95条第1項第7号)
     公売財産の買受人について一定の資格その他の要件を必要とするとき(141、148、149)は、その旨を記載すること(徴基通第95条関係13、14)。
  • (8) 配当を受ける権利の内容の申出(徴収法第95条第1項第8号)
     公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権若しくは担保のための仮登記に係る権利を有する者、交付要求をした者又は徴収法第59条第1項後段、第3項若しくは第4項《損害賠償請求権等への配当》(これらの規定を同法第71条4項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権若しくは前払借賃に係る債権を有する者は、売却決定の日の前日までにその内容を申し出るべき旨を記載すること(徴基通第95条関係15、16、徴収法第129条第1項)。
  • (9) その他(徴収法第95条第1項第9号)
     (1)から(8)までに掲げる事項のほか、公売に関し重要と認められる事項として、おおむね次の事項等を記載すること(徴基通第95条関係17参照)。
    • イ 公売財産の状況を示すために税務署長が必要と認める図面、地図、写真等の情報
    • ロ イに掲げる情報の全部又は一部を別に閲覧に供する場合は、その旨及び閲覧場所
    • ハ 買受人が公売財産の所有権を取得する時期が、徴収法第116条《買受代金の納付の効果》に規定するものと異なる場合は、その事項(農地法第3条第6項、第5条第3項、鉱業法第60条、特許法第98条第1項、実用新案法第26条、意匠法第36条等)
    • ニ 公売財産の所有権の移転につき農地法その他法令の規定により関係官庁又は特定の者の許可、承認等を必要とする場合は、農業委員会、都道府県知事若しくは農林水産大臣の指定する市町村の長から交付を受けた買受適格証明書等の提出(電子情報処理組織を使用する方法による場合は、送信)又は提示が必要である旨(98の(1)、141の(2)のロ、149の(3)、(4)、152の(2)、農地法第3条第1項、第5条第1項、銃砲刀剣類所持等取締法第4条第1項、漁業法第79条第1項、電気通信事業法附則第9条第1項(旧公衆電気通信法第38条第1項)等)
    • ホ 買受人に対抗することができる公売財産上の負担がある場合は、その負担(97、153、徴収法第124条第2項、区分所有法第8条等)
    • ヘ 公売財産の権利の移転につき登記を要するものについては、買受代金を納付するほか、一定の期間内に登録免許税額に相当する印紙若しくは現金の「領収証書」を提出すべき旨(101の(3)、108の(2)、登録免許税法第23条)また、自ら権利移転の手続を行う必要がある場合はその旨(104の(3)の(注)、105、108の(1)、110の(2))
    • ト 土地又は建物等(土地の上にある建物又は立木(立木ニ関スル法律第1条の規定により所有権保存の登記をしているものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)の公売によって、その土地又は建物等につき法定地上権(徴収法第127条第1項、民法第388条、立木ニ関スル法律第5条等)又は法定賃借権(徴収法第127条第2項)が成立する場合は、その旨

      (注) 滞納者の所有に属する土地又は建物等に抵当権の設定があり、その後滞納処分による差押え及び換価をした場合において、民法第388条《法定地上権》、立木ニ関スル法律第5条《法定地上権》、工場抵当法第16条第1項《民法第388条の準用》等の規定の類推適用(昭和37.9.4最判)によって法定地上権が成立するときは、徴収法第127条の法定地上権は成立しない。例えば、土地と建物とが抵当権設定当時同一人に属していた建物を差し押さえ、公売に付した場合において、公売に付す時に既に当該土地が譲渡されて、それぞれの所有者を異にしているときにおいては、民法上の法定地上権が成立するから、徴収法第127条の法定地上権は成立しないことに留意する(徴基通第127条関係1の(1)の(注))。

    • チ 一括換価の方法により公売する場合は、次の事項
    • (イ)徴収法第89条第3項の規定により一括換価の方法によって公売を行う旨
    • (ロ)「公売公告兼見積価額公告」(様式308020-035)により見積価額を公告する場合(43の(2)参照)において、全ての財産を一体とした見積価額と各財産の見積価額を求めたときは、それらの見積価額
    • リ 公売保証金の提供について方法を定めて行う場合は、その提供方法
    • ヌ 入札の方法により公売する場合は、次の事項
    • (イ) 入札に先立って公売保証金の提供又は必要書類の提出について期限を定めて行うこととするときにおける提供又は提出の期限
    • (ロ) 入札書の提出方法
       なお、不動産を公売する場合は、暴力団員等に該当しない旨の陳述書(電子情報処理組織を使用する方法により送信がされる場合は、当該陳述書に相当する陳述の情報。以下「陳述書」という。)及び指定許認可等を受けていることを証する書面の写しの提出(電子情報処理組織を使用する方法による場合は、送信)の方法を併せて記載すること。 (注) 「指定許認可等」とは、行政手続法第2条第3号《定義》に規定する許認可等であって、当該許認可等を受けようとする者(その者が法人の場合には、その役員)が暴力団員等に該当しないことが同条第1号に規定する法令において当該許認可等の要件とされているもののうち、国税庁長官が指定するものをいう(徴収規則第1条の5第3項、令和2年国税庁告示第19号参照)。
    • (ハ) 開札の日時及び場所
    • ル 期間入札の方法により公売する場合は、次の事項
    • (イ) 最高価申込者の決定の日時及び場所
    • (ロ) 開札の結果、最高価申込者となるべき者が2人以上ある場合にこれらの者に更に入札(以下「追加入札」という。)をさせるときにおける追加入札の方法(期日入札の方法によるか期間入札の方法によるかの別)、入札期間及び場所、開札の日時及び場所、最高価申込者の決定の日時及び場所、売却決定の日時及び場所並びに買受代金の納付の期限
    • ヲ 入札の方法により不動産等(不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶、債権又は電話加入権以外の無体財産権等をいう。以下同じ。)を公売する場合における次順位による買受けの申込みは、開札の場所において、最高価申込者の決定後直ちに行う旨
    • ワ 複数落札入札制(64参照)により公売する場合において、同一人が2以上の入札書の提出をすることができる方法(以下「複数入札」という。)により入札を行わせる場合は、次の事項
    • (イ) 同一人が2以上の入札書の提出をしても差し支えない旨
    • (ロ) 同一人に対して複数の売却決定をした場合において、買受代金の一部をその納付の期限までに納付しないときは、納付されていない買受代金に係る売却決定を取り消す旨
    • カ 競り売りの方法により公売する場合は、次の事項
    • (イ) 競り売りに先立って公売保証金の提供について期限を定めて行うこととするときにおける提供の期限
    • (ロ) 競り売りへの参加申込みの受付を行うこととするときにおける受付期間
    • ヨ 期間競り売りの方法により公売する場合は、最高価申込者の決定の日時及び場所
    • タ 公売財産の売却決定は最高価申込者に係る入札価額又は買受申込価額をもって行う旨
    • レ 特定参加差押不動産を公売する場合は、次の事項
      • (イ) 換価執行決定に基づく公売である旨
      • (ロ) 差押財産と特定参加差押不動産を一括換価する場合は、該当する不動産について、特定参加差押不動産である旨

(公売財産に関する注意書等)

35 34に掲げる事項以外にも、公売財産の種類に応じて、例えば次に掲げる事項を注意書等に必要に応じて記載し、公売参加者に注意喚起すること。

  • (1) 建物を公売する場合において、その建物に納税者その他の者が居住しているときは、その旨
  • (2) 酒類製造施設を換価する場合において、公売により酒類製造施設の買受人となった場合であっても、当該施設を利用して酒類を製造しようとするときは、新たな酒類製造免許を必要とする旨(143の(3))
  • (3) 株式を公売する場合において、定款に譲渡制限の定めがあるときは、その旨(会社法第107条)
  • (4) 船舶又は航空機について滞納処分の差押え後に強制執行等が開始され、執行官が債務者(滞納者)又は第三者から「船舶国籍証書」その他登記される船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)又は「航空機登録証明書」その他航空機の運航のために必要な文書(以下「航空機登録証明書等」という。)を取り上げて執行裁判所に提出している場合は、次の事項(昭和56.2.7付徴徴4−2外1課共同「滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について」(法令解釈通達)(以下「滞調法逐条通達」という。)第19条関係4から6、第20条の2関係1)
    • イ 執行官が「船舶国籍証書等」又は「航空機登録証明書等」を債務者(滞納者)から取り上げているときは、買受人は執行裁判所に対し「売却決定通知書」を提示して、「船舶国籍証書等」又は「航空機登録証明書等」の引渡しを受けられる旨
    • ロ 執行官が「船舶国籍証書等」又は「航空機登録証明書等」を第三者から取り上げているときは、「買受人は執行裁判所に対してその第三者の「同意書」を提出するとともに「売却決定通知書」を呈示して「船舶国籍証書等」又は「航空機登録証明書等」の引渡しを受けられる旨及びその第三者の「同意書」が得られない場合には、「船舶国籍証書等」又は「航空機登録証明書等」の再発行が受けられる旨
  • (5) 電話加入権を公売する場合は、34の(9)のニ及びホのほか次の事項(152の(3))
    • イ 電話加入権の買受人は、加入電話加入者(滞納者)の権利移転のときまでの未払いの電話料金、延滞利息、解約金、割増金、工事代金等の支払義務を承継する旨
    • ロ 東日本電信電話株式会社又は西日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)の譲渡承認が得られない場合には売却決定を取り消す旨
  • (6) ゴルフ会員権及びリゾート会員権を公売する場合は、次の事項(154の(2))
    • イ 会員権の譲渡につきゴルフクラブ等の承認等が必要とされる場合にはその旨及び承認等が得られない場合には売却決定を取り消す旨
    • ロ 年会費等会員が負担すべき費用のうち未納となっている費用の支払義務は買受人が承継する旨
    • ハ 権利移転に伴う名義書換手続は買受人において行うべき旨及びこの場合の名義書換手数料は買受人の負担となる旨

(公告の時期等)

36 公売公告は、公売の日の前日を第1日として逆算して10日目に当たる日の前日以前にしなければならない(徴収法第95条第1項本文、徴基通第95条関係2)。ただし、公売財産が不相応の保存費を要するもの若しくは日時の経過によりその差押財産等の価額が著しく減少するおそれがあるもの又は再公売するものについては、上記の原則にかかわらず、妥当と認める範囲でその期間を短縮することができる(26の(1)のロ、徴収法第95条第1項ただし書、第107条第2項、徴基通第95条関係3)。
 なお、公売公告は、公告をした日から公売をする日(公売により売却する場合には最高価申込者の決定の日を、随意契約により売却する場合にはその売却する日(以下これらを「公売期日等」という。)をいう(徴基通第111条関係1)。)まで掲示するものとする(徴基通第95条関係6)。

(注)

1 公売公告の書類等が破損し、又は掲示板等から脱落した場合には、速やかに破損の箇所を補修し、又は再度掲示するものとするが、この場合においても、徴収法第95条第1項の10日の期間計算は、通常、当初の公告の場合の掲示日を基準として計算することに留意する(徴基通第95条関係6なお書)。

2 公売公告期間を短縮した場合においても、徴収法第99条第1項《見積価額の公告等》の規定により見積価額の公告をしなければならないときは、その見積価額の公告期間より短い公売公告期間とすることはできないことに留意する(26の(1)のロ、徴基通第95条関係3ただし書)。

3 上記本文の「10日目に当たる日の前日」が休日等に当たるときは、これらの日の前日に公告することに留意する(徴基通第95条関係2)。

4 「公売公告」をする場合においては、「公売通知書」の送達に要するだけの期間を考慮して公告することが必要であることに留意する(47の(4)参照)。

5 農地等(農地法第2条第1項《定義》に規定する農地又は採草放牧地をいう。以下同じ。)を公売する場合の「公売公告」の期間については、「買受適格証明書」の交付を受けるために要する日数を考慮して決定することに留意する(141の(2)の(注)2参照)。

(公告の方法及び場所)

37 公売公告の方法及び場所等については、次に掲げるところによる。

  • (1) 税務署等の掲示場等に掲示する方法
     公売公告は、公売を行う税務署等の掲示場その他税務署等内の公衆の見やすい場所に掲示して行う(徴収法第95条第2項、徴基通第95条関係18)。
     また、公売公告を公売を行う税務署等の庁舎外にある掲示場に掲示して行う場合には、その公売公告の写しを作成の上、庁舎内の待合所内等に備え置く等買受希望者の閲覧に便利な措置を講ずること。
     さらに、例えば、公売公告に図面等を掲載するのではなく物件明細書(40参照)を作成して税務署等に備え置き、別途閲覧に供することとする場合は、公売公告に「図面等は物件明細書により閲覧できる」旨及びその閲覧場所を記載しておくこと(徴基通第95条関係17の(2)参照)。
     なお、庁舎外の掲示場に公売公告を掲示するのに十分な広さがないときは、税務署等の庁舎内の公衆の見やすい場所に掲示して行うが、この場合においては、庁舎外にある掲示場に公売公告の概要(公売の日時及び公売財産の種類、数量、所在)を掲げ、「公売公告は庁舎内に掲示してある」旨の案内を付記しておくこと。
  • (2) 税務署等の掲示場等に掲示する方法以外の方法
     買受希望者に公売財産に関する情報を提供するため、(1)に掲げる方法に併せて、イの方法により公告を行うものとする。また、必要に応じ、ロ又はハの方法による公告を加えて行うことを妨げない。
    • イ インターネットを利用する方法
      国税庁の公売情報ホームページ等、インターネット上に公売公告に記載されている内容を掲載する方法である(徴基通第95条関係21参照)。
       なお、税務署等の掲示場等に掲示する公売公告には、「公売公告の内容は国税庁の公売情報ホームページでも閲覧できる」等の案内を付記しておくこと。
    • ロ 税務署等以外の適当な場所に掲示する方法
       公売公告の写しを作成の上、公売財産の所在する市町村の役場の掲示場その他公売財産につき買受けを希望すると認められる者が集合する場所等公売することを公衆に知らせるのに適当と税務署長が認める場所に掲示する方法である(徴基通第95条関係20参照)。
    • ハ 新聞等刊行物を利用する方法
       官報、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙、業界新聞紙、地方公共団体の広報紙等に公告する方法である。この場合には、当該刊行物の紙面に公売公告の概要を掲げ、「その他の公告事項は税務署等の掲示場に掲示してある」旨の案内を付記することとして差し支えない(徴収法第95条第2項、徴基通第95条関係21参照)。
       なお、刊行物を利用する場合には、特に掲載する紙面の箇所(折り込み広告を含む。)に配意し、また、掲載をする日及びその期間については、その効果が期待されるように計画すること。
    • ハ インターネットを利用する方法
       国税庁のホームページ、民間事業者の運営するサイト等インターネット上に公売公告に記載されている内容を掲載する方法である(徴基通第95条関係21参照)。例えば、公売公告する事項のうち「公売財産の状況を示すために税務署長が必要と認める図面、地図、写真等の情報」(徴基通第95条関係17の(1))についてインターネットを利用する方法のみにより公告する場合は、税務署等の掲示場等に掲示する公売公告には「図面、地図、写真等はインターネット上にある国税庁の公売情報ホームページで閲覧できる」旨の案内を付記しておくこと。

(買受勧奨)

38 公売公告に加え、必要に応じ、買受けを希望する可能性の高い者に「公売のお知らせ」(様式308020-027)を送付して買受勧奨を行うなど、買受希望者を積極的に募ること。
 買受勧奨を行う相手としては、例えば、不動産を公売する場合は宅地建物取引業者(宅地建物取引業法第2条第3号)、近隣農家、農業協同組合、森林組合、差押債権者に対抗できない債権者、賃借権者などが、動産を公売する場合は古物商(古物営業法第2条第3項)などが考えられる。また、酒類製造設備、工場財団等を公売する場合は、滞納者の同業者等に買受勧奨を行うことも考えられる。
 なお、買受勧奨に当たっては、公売の日時、買受代金の納付の期限、見積価額など必要と認める公売条件を併せて通知すること。

(公売公告の内容に変更等があった場合の処理)

39 公売公告をした事項について変更又は延期等の事由が生じた場合には、原則として当該公売を中止し、「公売公告」を取り消すこと。ただし、次に掲げる場合はこの限りでない。

  • (注) 公売を中止した場合には、その「公売公告」に記載されている該当部分を朱抹するとともに「公売中止」と朱書し、予定した公売期日等までの間掲示しておくこと。また、税務署等以外の場所に掲示した「公売公告」についても、できるだけ同様の手当てをするほか、公売の通知をした者及び買受勧奨をした者にもできるだけ公売を中止した旨の連絡をするよう努めるものとする。
  • (1) 当該公売を中止しなくても買受人及び買受価額の公正な決定に影響がないと考えられる軽微な変更等を行う場合(例えば、同一建物内で公売会場となる会議室を変更する場合等)は、必要な措置をとった上で公売手続を続行することとして差し支えない。
  • (2) 公売手続の途中で通則法第105条第1項ただし書の規定による換価の制限(以下「換価制限」という。)に該当し、その後に換価制限が解除された次に掲げる場合は、当該公売を中止しなくても買受人及び買受価額の公正な決定に影響がないと考えられるので、160(不服申立てがあった場合の換価の制限に関する処理)の(2)のハ又は(3)のロに定めるところにより公売手続を続行することとして差し支えない。また、161から163(不服申立てがあった場合の換価処分の続行停止に関する処理等)において、これに準じて処理することとされている場合も同様とすること。
    • イ 公売公告後売却決定前に換価制限に該当することとなったために最高価申込者の決定までにとどめて売却決定を行わなかった場合において、売却決定の日時以後に換価制限の解除(換価制限がなくなったことをいう。以下同じ。)があったとき。
    • ロ 売却決定後買受代金の納付の期限前に換価制限に該当することとなったために買受代金を領収しなかった場合において、買受代金の納付の期限以後に換価制限の解除があったとき。
  • (3) 徴収法第106条の2《調査の嘱託》の規定による調査嘱託(67−2参照)の回答が売却決定期日以後となったために売却決定を行わなかった場合において、売却決定期日以後にその回答があったときは、当該公売を中止しなくても買受人及び買受価額の公正な決定に影響がないと考えられるので、公売手続を続行することとして差し支えない。
     なお、売却決定期日の変更に伴う処理は、160(不服申立てがあった場合の換価の制限に関する処理)の(2)に準じて行う。
     おって、変更後の売却決定期日は回答書の受領日となるため(徴収規則第1条の7)、変更後の売却決定期日における債権現在額の確認等に要する時間を考慮した上で、回答書の受領日を決定することに留意する。

(物件明細書の備置き)

40 不動産を公売する場合には、できる限り、次に掲げる事項を記載した「物件明細書」を作成し、閲覧に供するため税務署等に備え置くこと。また、不動産以外の財産を公売する場合においても、その財産の態様に即して、必要に応じて、不動産に準じた「物件明細書」の作成等をするものとする。

  • (1) 土地及び建物に共通する事項
    • イ 公売公告番号及び売却区分番号
    • ロ 不動産の表示
    • ハ 不動産の所在する場所の周辺の概要及び図面
       (注) 必要に応じその不動産の写真を添付すること。
  • (2) 土地についての事項
    • イ 土地の形状を示す図面
    • ロ 占有者の表示及び占有の状況(占有者が滞納者以外の者であるときは、その者の占有の開始時期、権原の有無及びその内容)
    • ハ 土地に建物が存するときは、その建物の種類、構造、床面積の概略及び所有者の表示
    • ニ 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限の有無及びその内容
  • (3) 建物についての事項
    • イ 建物の図面
    • ロ 占有者の表示及び占有の状況
    • ハ 敷地の所有者(敷地の所有者が滞納者以外の者であるときは、敷地の占有権原の有無及びその内容)

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