1 自動車等

自動車、ボイラー等その性能について検査制度が採られているもの(道路運送車輌法第58条、労働安全衛生法第47条等)については、原則として取引事例比較法により評価する。
 なお、これらのものは、消耗程度が同程度であっても、自動車検査証等性能検査に合格したことを証するものの有効残存期間の長短によって、その価格に開差が生ずるため、これらの事情について精通者の意見を聴取して評価する。

2 船舶等

船舶、航空機等の評価は、原則として原価法による。この場合の減価償却は、定率法によるものとする。

(注) 船舶については、社団法人日本海事検定協会等が鑑定業務を行っている。

3 特許権

特許権の評価は、原則として収益還元法による。この場合においては、特許権者以外の者が特許を実施をする権利(通常実施権)の許諾による契約の有無や質権設定の有無等、特許権の価格形成要因を調査するとともに、特許権の需要及び持続性等について精通者の意見を聴取して評価する。
 なお、実用新案権、意匠権及び商標権の評価についても、上記の評価方法に準じて行う。

4 ゴルフ会員権

ゴルフ会員権(取引相場のあるものに限る。)の評価は、原則として取引事例比較法による。ただし、これにより評価を行うことが困難な場合には、ゴルフ会員権取引業者における指標価格や精通者意見による相場価格等を比較考量し決定するものとして差し支えないが、その場合、可能な限り複数の相場を比較検討するとともに、売買動向を適切に反映させることに留意する。
 なお、未納年会費は、滞納者の負担として預託金から差し引かれる場合と、買受人に引受債務として引き継がれる場合があるなど、各ゴルフ場の会則等により取扱いが異なるため、最新の会則等を入手の上、これに応じた取扱いをするよう留意する。

5 リゾート会員権

リゾート会員権(取引相場のあるものに限る。)は、1施設の優先的利用権、2保証金の返還請求権及び3不動産の共有持分から構成されており(施設相互利用権及び保証金返還請求権のみで構成されているものもあることに留意する。)、その評価は、原則として取引事例比較法による。ただし、これにより評価を行うことが困難な場合には、リゾート会員権取引業者の相場情報による価格や精通者意見による相場価格等を比較考量し決定するものとして差し支えないが、その場合、複数の相場を比較検討することに留意する。
 なお、未納管理費等がある場合において、管理規約等により当該債務が買受人に承継されるときは、当該未納管理費相当額を公売特殊性減価後に控除する。

6 電話加入権

電話加入権の評価は、昭和54年10月30日付徴徴2−21「電話加入権等に対する滞納処分手続について」(法令解釈通達)の別冊第6の1(電話加入権の見積価額の評定)に定めるところによる。

7 債権

貸付金等の債権の評価は、一定利率の下で複利計算して一定期間後に一定額を受け取るために現在要する額を算出する方法により行うものとする。
 なお、債権の評価に当たっては、その債権に担保が付されていることの有無及び第三債権者の資力状況によって、その価値に開差が生ずることに留意する。
 試算価格=貸付金等の債権額×(1+還元率)^−履行期限

(注) 還元率は、評価を行う債権の契約上の利率とすることを原則とするが、その利率の妥当性の判断は、法定利率を参考とする。

8 取引相場のない株式

取引相場のない株式については、次に掲げる区分に応じて得た額を基準価額とするほか、精通者の意見を参考として評価する(所得税基本通達第23条から第35条まで(各種所得)共通関係9、第59条関係6参照)。

(1) 売買実例のあるもの

最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額

(2) 売買実例のないものでその株式の発行法人と事業の種類、規模、収益の状況が類似する他の法人の株式の価額があるもの

当該類似法人の株式の価額

(3) 上記に該当しないもの

財産評価基本通達の定めにより評価した額

9 その他の財産

第3章から第6章までにおいて評価方法を規定していない財産については、鑑定人による評価又は精通者の意見を参考として、第2章に定める評価方法又は財産評価基本通達の定めにより評価するものとする。

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