1 用語の意義

本事務運営指針において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) 租税条約 我が国が締結した、所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約並びに遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約をいう。

(2) 相手国等 租税条約の我が国以外の締約国又は締約者をいう。

(3) 相互協議 租税条約の規定に基づく、我が国の権限ある当局と相手国等の権限ある当局との協議をいう。

(4) 相互協議手続 相互協議を実施するために本事務運営指針に定められた一連の手続をいう。

(5) 租税条約等実施特例省令 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(昭和44年大蔵・自治省令第1号)をいう。

(6) 相続税条約実施特例省令 遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の実施に伴う相続税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(昭和44年大蔵省令第36号)をいう。

(7) 移転価格課税 我が国における租税特別措置法第66条の4第1項《国外関連者との取引に係る課税の特例》の規定に基づく課税又は相手国等におけるこれらに類する課税をいう。

(8) 移転価格事務運営要領 平成13年6月1日付査調7-1ほか3課共同「移転価格事務運営要領の制定について」(事務運営指針)において定める移転価格事務運営要領をいう。

(9) 恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領 平成28年6月28日付査調7-1ほか3課共同「恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領の制定について」(事務運営指針)において定める恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領をいう。

(10) 個人の恒久的施設帰属所得に係る各種所得に関する調査等に係る事務運営要領 平成29年3月31日付課個8-5ほか3課共同「個人の恒久的施設帰属所得に係る各種所得に関する調査等に係る事務運営要領の制定について」(事務運営指針)において定める個人の恒久的施設帰属所得に係る各種所得に関する調査等に係る事務運営要領をいう。

(11) 納税の猶予 租税特別措置法第40条の3の4《内部取引に係る課税の特例に係る納税の猶予》(同法第41条の19の5第13項《国外所得金額の計算の特例》において準用する場合を含む。)及び第66条の4の2《国外関連者との取引に係る課税の特例に係る納税の猶予》(同法第66条の4の3第14項《外国法人の内部取引に係る課税の特例》及び第67条の18第13項《国外所得金額の計算の特例》において準用する場合を含む。)に規定する納税の猶予をいう。

(12) 納税の猶予等の取扱要領 平成27年3月2日付徴徴5-10ほか1課共同「納税の猶予等の取扱要領の制定について」(事務運営指針)において定める納税の猶予等の取扱要領をいう。

(13) 事前確認 移転価格事務運営要領1-1(40)、恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領1-1(19)若しくは個人の恒久的施設帰属所得に係る各種所得に関する調査等に係る事務運営要領1-1(16)に定める事前確認又は相手国等におけるこれらに類するものをいう。

(14) 確定申告書 所得税法第2条第1項第37号《定義》及び法人税法第2条第31号《定義》に規定する確定申告書、地方法人税法第2条第1項第16号《定義》に規定する地方法人税確定申告書、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下「復興財源確保法」という。)第6条第8号《定義》に規定する復興特別所得税申告書及び復興財源確保法第40条第14号《定義》に規定する復興特別法人税申告書、相続税法第1条の2第2号及び第3号《定義》に規定する申告書並びにこれらに添付することとされている書類をいう。

(15) 居住者 所得税法第2条第1項第3号に規定する居住者をいう。

(16) 非居住者 所得税法第2条第1項第5号に規定する非居住者をいう。

(17) 内国法人 法人税法第2条第3号に規定する内国法人(同条第8号に規定する人格のない社団等を含む。)をいう。

(18) 外国法人 法人税法第2条第4号に規定する外国法人(同条第8号に規定する人格のない社団等を含む。)をいう。

(19) 申立者 我が国において相互協議の申立てを行った個人又は法人(法人税法第2条第8号に規定する人格のない社団等を含む。以下同じ。)をいう。

(20) 国外関連者 租税特別措置法第66条の4第1項に規定する国外関連者又は相手国等の移転価格課税に関する法令上これらに類する者をいう。

(21) 庁相互協議室 国税庁長官官房国際業務課相互協議室をいう。

(22) 庁徴収課 国税庁徴収部徴収課をいう。

(23) 庁主管課 国税庁課税部課税総括課、個人課税課、資産課税課若しくは法人課税課、国税庁徴収部管理運営課又は国税庁調査査察部調査課をいう。

(24) 局特別整理部門 国税局徴収部特別整理総括第一課(名古屋国税局にあっては特別整理総括課、札幌国税局、仙台国税局、広島国税局、高松国税局、福岡国税局及び熊本国税局にあっては特別整理第一部門、金沢国税局にあっては特別整理部門)又は沖縄国税事務所特別整理部門をいう。

(25) 局関係課 国税局課税第一部(金沢国税局、高松国税局及び熊本国税局にあっては課税部)課税総括課、個人課税課若しくは資産課税課、国税局課税第二部(金沢国税局、高松国税局及び熊本国税局にあっては課税部)法人課税課、国税局徴収部管理運営課若しくは徴収課、国税局調査査察部(東京国税局及び大阪国税局にあっては調査第一部、名古屋国税局にあっては調査部)調査管理課又は沖縄国税事務所課税総括課、個人課税課、資産課税課、法人課税課、徴収課若しくは調査課をいう。

(26) 管理運営担当部門 税務署において管理運営事務を所掌している部門(管理運営部門又は管理運営・徴収部門が設置されていない税務署においては総務課)をいう。

(27) 徴収担当部門 税務署において徴収事務を所掌している部門(徴収部門又は管理運営・徴収部門が設置されていない税務署においては総務課)をいう。

(28) 個人担当部門 税務署において、所得税(源泉所得税の調査事務を含む。)、復興特別所得税及び個人課税事業者の資産の譲渡等に係る消費税事務を所掌している部門をいう。

(29) 法人担当部門 税務署において、法人税、地方法人税、復興特別法人税、源泉所得税、復興特別所得税、法人の資産の譲渡等に係る消費税、酒税及び間接諸税事務を所掌している部門をいう。

(30) 徴収猶予(地方税) 個人又は法人について、次に掲げる規定に規定する徴収猶予をいう。

イ 個人については、地方税法第44条の2《租税条約に基づく申立てが行われた場合における個人の道府県民税の徴収猶予》、第72条の57の2《租税条約に基づく申立てが行われた場合における個人の事業税の徴収猶予》及び第321条の7の13《租税条約に基づく申立てが行われた場合における個人の市町村民税の徴収猶予》の規定

ロ 法人については、地方税法第55条の2《租税条約に基づく申立てが行われた場合における法人の道府県民税の徴収猶予》、第72条の39の2《租税条約に基づく申立てが行われた場合における法人の事業税の徴収猶予》及び第321条の11の2《租税条約に基づく申立てが行われた場合における法人の市町村民税の徴収猶予》の規定

(31) 徴収猶予(地方税)に係る都道府県等への通知 個人又は法人について、次に掲げる規定に規定する通知をいう。

イ 個人については、地方税法第72条の57の3《個人の事業税の徴収猶予に係る国税庁長官の通知》及び第321条の7の14《個人の市町村民税の徴収猶予に係る国税庁長官の通知》の規定

ロ 法人については、地方税法第55条の3《法人の道府県民税の徴収猶予に係る国税庁長官の通知》及び第72条の39の3《法人の事業税の徴収猶予に係る国税庁長官の通知》の規定

(32) 都道府県税務課 都道府県において都民税又は道府県民税及び事業税に関する事務をつかさどる課室等をいう。

(33) 市区町村税務課 市区町村において特別区民税又は市町村民税に関する事務をつかさどる課室等をいう。

(34) 事業年度 法人税法第13条《事業年度の意義》に規定する事業年度(同法第14条《みなし事業年度》の規定により事業年度とみなされる期間を含む。)、地方法人税法第7条《課税事業年度》に規定する課税事業年度又は地方税法第72条の13第1項《事業年度》に規定する事業年度をいう。

(35) 仲裁手続に係る実施取決め 我が国の権限ある当局が、租税条約の規定に基づき相手国等の権限ある当局との合意により定めた仲裁手続の実施方法に係る取決めをいう。

2 相互協議の実施

(1) 庁相互協議室は、個別事案に係る相互協議を行う。
 なお、納税の猶予の事務は、局特別整理部門が行う。

(注) 租税条約の一般的解釈に係る相互協議は、財務省主税局が行うものであることに留意する。

(2) 庁相互協議室は、租税条約の規定に適合しない課税の排除を目的として、事案の適切かつ迅速な解決に努める。

(3) 庁相互協議室は、相互協議の実施に当たり、必要に応じ、庁主管課その他の関係部局と意見交換を行う。

(注) 相互協議又は相互協議の合意の内容が地方公共団体の課する租税に係るものであるときは、租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和44年法律第46号)第8条第1項《租税条約に基づく協議等で地方税に係るものに関する手続》の規定に従い、あらかじめ総務省との協議が必要であることに留意する。