1 小売業者及び販売管理者に対する指導等

 酒類業調整官等は、販売場において、酒類の適正な販売管理体制の構築が図られるよう、小売業者及び販売管理者に対し、以下により指導等を行う。

  • (1) 小売業者に対する指導等
    • イ 新規免許付与等の際における指導等
      • (イ) 全ての小売業者に対する指導
         「酒類販売業免許通知書」及び「酒類販売業免許の条件緩和通知書」については、原則として、署幹部から当該免許の申請者又は条件緩和の申出者若しくは販売管理者への選任予定者等(以下「申請者等」という。)に対し交付することとするほか、当該交付に際して、酒類指導官は、次の事項に関する説明を集合指導(複数の申請者等を集めて説明することをいう。) 又は個別指導により実施し、酒類業調整官はこれを支援する。
         なお、説明に際しては、別紙1「免許を受けた酒類小売業者の皆様へ」を参考として作成した説明文書を交付するほか、「お酒の適正な販売管理に向けて」(国税庁作成のパンフレット)等を活用するなど、効果的な実施に努める。
        • A 酒税法(昭和28年法律第6号)及び組合法に定める記帳義務、申告義務、報告義務の履行
        • B 販売管理者の選任・届出
        • C 販売管理者に対する販売管理研修の定期受講
        • D 標識の掲示
        • E 二十歳未満の者の表示基準の遵守
        • F 20歳未満の者の飲酒防止等
          • (a) 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年法律第20号)の遵守
          • (b) チラシ等への20歳未満の者の飲酒防止の注意文の掲載
          • (c) 20歳未満の者の飲酒防止ポスターの掲示
          • (d) 酒類自動販売機による販売の自粛
          • (e) 20歳未満の者の飲酒防止等に資する様々な取組の奨励(レジ袋の透明化、レジ袋への20歳未満の者の飲酒防止・飲酒運転防止のための啓発表示等)
        • G 酒類の公正な取引
          • (a) 「酒類の公正な取引に関する基準」(平成29年3月31日国税庁告示第2号)、「酒類に関する公正な取引のための指針」(平成18年8月31日)、「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(平成21年12月18日公正取引委員会)及び「酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」(平成21年12月18日公正取引委員会)の周知及び遵守
          • (b) 不適切な廉売を連想させるチラシ及び酒類の目玉商品的な取扱いの自粛など節度ある販売
        • H 酒類容器等のリサイクル
      • (ロ) 小売業者の販売形態及び販売場の立地等に応じた指導等
         一般的な販売場に比べ20歳未満の者の飲酒防止及び飲酒運転防止について格別の注意を行う必要があると認められる販売場に係る新規免許付与又は条件緩和等(以下「免許付与等」という。)の際には、当該販売場の立地、販売形態等の特殊性に鑑み、上記(イ)による指導に加え、年齢確認の徹底、20歳未満の者の飲酒防止及び飲酒運転防止のための店内放送の実施等のほか、次の事項に関する指導を実施する。
         なお、当該指導に際しては、20歳未満の者の飲酒防止及び飲酒運転防止の法令の遵守に係る宣言文等の店頭・店内掲示を指導するなど、効果的と考えられる様々な取組の実施について、集合指導又は個別指導により奨励する。
        • A コンビニエンス・ストア
          • (a) 防犯カメラの酒類売場への設置の検討
          • (b) 夜間に20歳未満の者の入店が多い販売場における20歳未満の者の飲酒防止のための効果的な対策の検討及び実施
          • (c) 過度な広告の自粛の検討
        • B スーパーマーケット
          • (a) 防犯カメラの酒類売場への設置の検討
          • (b) 不適切な廉売を行わないこと等公正な取引の徹底
          • (c) チラシ等への「20歳未満の者には酒類を販売しない。年齢確認を実施している。」旨の掲載
        • C 宅配店
          • (a) 受注時及び配達時の年齢確認の徹底
          • (b) チラシ等への「20歳未満の者には酒類を販売しない。年齢確認を実施している。」旨の掲載
          • (c) 20歳未満の者の飲酒防止のためのマニュアル等の作成
        • D ガソリンスタンド(ドライブインを含む。)
          • (a) 運転免許証等による年齢確認の徹底
          • (b) 飲酒運転防止のポスター等の掲示
          • (c) 飲酒運転防止のための啓発
        • E 量販店(ホームセンター、ドラッグストア、家電量販店等を含む。)
          • (a) 不適切な廉売を行わないこと等公正な取引の徹底
          • (b) チラシ等への「20歳未満の者には酒類を販売しない。年齢確認を実施している。」旨の掲載
        • F その他副業として酒類を販売する業態
          • (a) 運転免許証・会員証等による年齢確認の徹底
          • (b) 不適切な廉売を行わないこと等公正な取引の徹底
        • G 文教施設に近接する販売場等
           学生証等による年齢確認の徹底
        • H 医療施設に近接する販売場等
           患者と思われる者に対する啓発及び必要に応じた病院等への通報
          • (注)1 「一般的な販売場に比べ20歳未満の者の飲酒防止及び飲酒運転防止について格別の注意を行う必要があると認められる販売場」とは、酒類を電話等により受注し、配達する方式を主とする販売場(宅配店)、酒類以外の物品の販売若しくはサービスの提供等が多く、20歳未満の者の入店若しくは利用が多い販売場、車両を運転する者が利用する頻度の高い販売場、医療・文教施設に近接する販売場等をいう。
          • (注)2 チェーン展開を行っている者に対しては、直営店への社内教育の機会及びフランチャイズ店への説明時等において20歳未満の者の飲酒防止対策等について指導を行うよう依頼する。
    • ロ 既存の小売業者に対する指導
       酒類業調整官等は、酒類小売業界の環境変化等に鑑み、イ(ロ)の販売形態等に属する既存の小売業者に対して、販売管理研修や公正取引委員会、警察署等の関係行政機関等との連携による説明会等の機会を捉えて、その販売形態等の特殊性に配意した指導を実施する。
    • ハ 販売管理者の選任についての指導
       酒類業調整官等は、販売管理者について、過去3年以内に販売管理研修を受講しており、かつ、販売場における酒類の販売業務について責任をもって管理できる立場にある者(店長、酒類売場の責任者等)を選任し、選任後2週間以内に、「酒類販売管理者選任(解任)届出書」(組合規則別紙様式第11の9、以下「選任届出書」という。)及び酒類販売管理研修受講証(組合規則別紙様式第11の6、以下「受講証」という。)の写しを販売場の所在地を所轄する税務署へ提出するよう指導する。
       また、販売管理者を解任し新たな販売管理者を選任することとなった場合も、過去3年以内に販売管理研修を受講した者から選任し、選任後速やかに、選任届出書及び受講証の写しを提出するよう併せて指導する。
       なお、一の販売場において選任される販売管理者は、1名であることに留意する。
      • (注)1 販売管理者の急な退職等により、小売業者の酒類業務に従事する者のうちに過去3年以内に販売管理研修を受講した者が欠けるに至った状態を把握した場合には、第4の1により、速やかに、研修を受講させ販売管理者を選任するよう指導する。
      • (注)2 販売管理者については、小売業者又は販売場において酒類の販売業務に従事する使用人その他の従業者(以下「従業者等」という。)に対し、これらの者が酒類の販売業務に関する法令(組合規則第11条の9各号に規定する法令等をいう。以下同じ。)を遵守してその業務を実施するために必要な助言又は指導を行わせるものである。
      • (注)3 薬用酒(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定により厚生労働大臣の許可を受けた者が製造し又は輸入するアルコール含有医薬品である酒類をいう。)のみの販売場については、販売管理者を選任しなくても差し支えない。
    • ニ 販売管理者に代わる責任者の指名についての指導
       酒類業調整官等は、酒類の適正な販売管理の実効性を確保する観点から、以下の(イ)から(ト)に掲げるいずれかに該当する場合には、当該販売場において酒類の販売業務に従事する者の中から販売管理者に代わる者を責任者として必要な人数を指名し、配置させるよう指導する。
       なお、これらの責任者については、成年者を指名することが望ましく、特に夜間においては成年者を指名し、配置させるよう指導する。
      • (イ) 夜間において、酒類の販売を行う場合
      • (ロ) 販売管理者が常態として、その選任された販売場に長時間(2〜3時間以上)不在となることがある場合
      • (ハ) 酒類売場の面積が著しく大きい場合(100平方メートル以上の場合)
         この場合、100平方メートルを超えるごとに、1名以上の責任者を指名させる。
      • (ニ) 同一建物内において酒類売場を設置している階が複数ある場合
         この場合、販売管理者のいない各階ごとに、1名以上の責任者を指名させる。ただし、レジスター等により代金決済をする場所が各階になく1か所にしかない場合で、かつ、販売管理者のみで酒類の適正な販売管理が確保できると認められる場合は、販売管理者に代わる責任者を指名しなくても差し支えない。
      • (ホ) 同一の階にある複数の酒類売場が著しく離れている場合(20メートル以上離れている場合)
      • (ヘ) 複数の酒類売場が著しく離れていない場合であっても、同一の階において酒類売場の点在が著しい場合(3か所以上ある場合)
      • (ト) その他販売管理者のみでは酒類の適正な販売管理の確保が困難と認められる場合
    • ホ 販売管理者の氏名等を記載した標識の掲示についての指導
       酒類業調整官等は、販売場ごとに、販売場の見やすい場所に販売管理者の氏名や販売管理者が最後に販売管理研修を受講した事績等を記載した標識を掲示するよう指導する。
    • ヘ 酒類の適切な販売管理に関する周知
       酒類業調整官等は、小売業者に対し、別紙2「酒類の適切な販売管理について」を「酒類の販売数量等報告書」(様式番号CC1-5604)、「『二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準』の実施状況等報告書」(様式番号CC1-3007)に同封するなどの方法により送付し、酒類の適切な販売管理に関する周知を図る。
  • (2) 販売管理者に対する指導
     酒類業調整官等は、小売業者に対する助言及び従業者等に対する指導の徹底を図るほか、販売場における20歳未満の者の酒類の購入の防止等のための体制の整備について自ら積極的に取り組むよう指導する。
     なお、販売管理者が従業者等に対して行う具体的な指導内容を例示すると、次のとおりである。
    • 1 酒類と他の商品との明確な分離又は区分陳列
    • 2 「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の適正な表示
    • 3 酒類自動販売機の適切な管理及び二十歳未満の者の表示基準に基づく適正な表示
    • 4 ポスターの掲示、店内放送などによる20歳未満の者の飲酒防止及び適正飲酒等の注意喚起
    • 5 20歳未満と思われる者に対する年齢確認の実施
    • 6 酒類の特性、商品管理等の知識の普及
    • 7 その他酒類の販売業務に関する法令の知識の普及

2 酒類製造業者及び酒類卸売業者に対する指導

 酒類業調整官等は、酒類製造業者及び酒類卸売業者に対し、小売業者への営業活動等の際に、酒類の適正な販売管理の確保に関する取組の実施について積極的な働き掛けを行うよう指導する。