(別添)

恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領

(定義)

1-1 この事務運営指針において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

  • (1) 法 法人税法をいう。
  • (2) 措置法 租税特別措置法をいう。
  • (3) 令和2年改正法 所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)をいう。
  • (4) 旧法 令和2年改正法第3条(法人税法の一部改正)の規定による改正前の法をいう。
  • (5) 旧措置法 令和2年改正法第16 条(租税特別措置法の一部改正)の規定による改正前の措置法をいう。
  • (6) 基本通達 法人税基本通達をいう。
  • (7) 手続通達 国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達をいう。
  • (8) 移転価格事務運営指針 平成13年6月1日付査調7-1ほか3課共同「移転価格事務運営要領の制定について」(事務運営指針)をいう。
  • (9) 調査 手続通達1-1(「調査」の意義)に定める調査をいう。
  • (10) 行政指導 手続通達1-2(「調査」に該当しない行為)に定める調査に該当しない行為をいう。
  • (11) 恒久的施設帰属所得 法第138条第1項第1号(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(同条第3項の規定により同号に掲げる所得とされるものを除く。)をいう。
  • (12) 恒久的施設帰属資本相当額 法施行令第188条第2項(恒久的施設に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入)に規定する恒久的施設帰属資本相当額をいう。
  • (13) 国外事業所等 法第69条第4項第1号(外国税額の控除)に規定する国外事業所等をいう。
  • (14) 国外事業所等帰属所得 法第69条第4項第1号に掲げる国外源泉所得をいう。
  • (15) 国外事業所等帰属資本相当額 法施行令第141条の4第1項(国外事業所等に帰せられるべき資本に対応する負債の利子)に規定する国外事業所等に帰せられるべき資本の額をいう。
  • (16) 機能 基本通達20-2-2(恒久的施設帰属所得の認識)に定める機能をいう。
  • (17) リスク 基本通達20-2-1(恒久的施設帰属所得の認識に当たり勘案されるその他の状況)に定めるリスクをいう。
  • (18) 無形資産 措置法第66条の4の3第5項第2号(外国法人の内部取引に係る課税の特例)に規定する無形資産のうち重要な価値のあるものをいう。
  • (19) 事前確認 税務署長又は国税局長が、法第138条第1項第1号に規定する内部取引に係る措置法第66条の4の3第1項に規定する独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容並びに恒久的施設帰属資本相当額の計算における法施行令第188条第2項第2号イ(1)若しくはロ(1)に規定する比較対象法人、又は法第69条第4項第1号に規定する内部取引に係る措置法第67条の18第1項(国外所得金額の計算の特例)に規定する独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容並びに国外事業所等帰属資本相当額の計算における法施行令第141条の4第3項第2号イ(1)若しくはロ(1)に規定する比較対象法人について確認を行うことをいう。
  • (20) 事前確認審査 局担当課(必要に応じて庁担当課を含む。)が行う事前確認の申出に係る審査をいう。
  • (21) 事前相談 事前確認を受けようとする法人が、事前確認の申出前に、事前確認を受けようとする内容について局担当課(必要に応じて庁担当課及び庁相互協議室を含む。)と行う相談(代理人を通じた匿名の相談を含む。)をいう。
  • (22) 相互協議 法第2条第12号の19ただし書(定義)に規定する条約の規定に基づく我が国の権限ある当局と外国の権限ある当局との協議をいう。
  • (23) 庁相互協議室 国税庁長官官房国際業務課相互協議室をいう。
  • (24) 庁担当課 国税庁課税部法人課税課又は国税庁調査査察部調査課をいう。
  • (25) 局担当課 国税局課税第二部(金沢、高松及び熊本国税局にあっては、課税部)法人課税課及び沖縄国税事務所法人課税課(以下「局法人課税課」という。)又は東京及び大阪国税局調査第一部事前確認審査課、名古屋国税局調査部国際調査課、関東信越国税局調査査察部国際調査課、札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡及び熊本国税局調査査察部調査管理課並びに沖縄国税事務所調査課(以下「局調査課」という。)をいう。
  • (26) 連結法人 旧法第2条第12 号の7の2(定義)に規定する連結法人をいう。
  • (27) 連結親法人 旧法第2条第12 号の6の7に規定する連結親法人をいう。
  • (28) 連結子法人 旧法第2条第12 号の7に規定する連結子法人をいう。

(基本方針)

1-2 外国法人の各事業年度の恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査又は事前確認審査及び内国法人の各事業年度の国外事業所等帰属所得に係る所得に関する調査又は事前確認審査に係る事務については、次に掲げる基本方針に従って運営する。

  • (1) 恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算方法及び国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算方法が独立企業原則に基づいていることに配意し、恒久的施設帰属所得の認識又は国外事業所等帰属所得の認識が機能及び事実の適切な分析に基づくものであるか、また、措置法第66条の4の3第1項(外国法人の内部取引に係る課税の特例)に規定する内部取引の対価の額とした額又は措置法第67条の18第1項(国外所得金額の計算の特例)に規定する内部取引の対価の額とした額が非関連者間取引(外国法人若しくは内国法人が非関連者(措置法第66条の4第1項(国外関連者との取引に係る課税の特例)に規定する特殊の関係にない者をいう。以下同じ。)との間で行う取引(同条第5項の適用がある取引を除く。)又は外国法人若しくは内国法人の非関連者が当該非関連者の他の非関連者との間で行う取引をいう。)において通常付された価格となっているかどうかを十分に検討する。
  • (2) (1)の検討に当たっては、法人の営む事業の内容、当該事業に従事する者の活動状況、当該事業に係る市場の状況及び業界情報等の幅広い事実の把握に努め、必要に応じ移転価格事務運営指針を参考にし、適切な執行に努める。
  • (3) 事前確認については、法人の予測可能性を確保し、適正かつ円滑な執行を図るため、我が国の課税権の確保に十分配意しつつ、事案の複雑性や困難性に応じたメリハリのある事前確認審査を的確かつ迅速に行う。また、事前確認に係る手続の利便性の向上及び迅速化を図るため、事前相談に的確に対応する。
  • (4) 恒久的施設帰属所得に係る所得及び国外事業所等帰属所得に係る所得に関する課税により生じた国際的な二重課税の解決には、各国税務当局による共通の認識が重要であることから、必要に応じOECDモデル租税条約のコメンタリー及びOECD移転価格ガイドラインを参考にし、適切な執行に努める。

(別添)