課法2-7
課総5-2
査調4-4
査察1-5
平成16年3月26日
改正 平成23年6月30日
改正 平成28年12月12日
改正 令和4年6月30日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

標題のことについて、旧通則法(所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)による改正前の国税通則法をいう。以下同じ。)第65条及び第66条の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)

連結法人税(連結所得に対する法人税をいう。以下同じ。)の過少申告加算税及び無申告加算税の賦課等に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

第1 過少申告加算税の取扱い

(過少申告の場合における正当な理由があると認められる事実)

1 旧通則法第65条の規定の適用に当たり、例えば、納税者の責めに帰すべき事由のない次のような事実は、同条第4項第1号に規定する正当な理由があると認められる事実として取り扱う。

(1) 税法の解釈に関し、申告書提出後新たに法令解釈が明確化されたため、その法令解釈と連結法人の解釈とが異なることとなった場合において、その連結法人の解釈について相当の理由があると認められること。

(注) 税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たらない。

(2) 調査により引当金等の損金不算入額が連結法人の計算額より減少したことに伴い、その減少した金額を認容した場合に、翌連結事業年度においていわゆる洗替計算による引当金等の益金算入額が過少となるためこれを税務計算上否認(いわゆるかえり否認)したこと。

(修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合)

2 旧通則法第65条第1項又は第5項の規定を適用する場合において、その連結法人に対する臨場調査、その連結法人の取引先の反面調査又はその連結法人税の申告書若しくは連結法人の個別帰属額等の届出書の内容を検討した上での非違事項の指摘等により、当該連結法人が調査のあったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、これらの規定に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。

(注) 臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、原則として「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。

(調査通知に関する留意事項)

3 旧通則法第65条第5項に規定する調査通知(以下「調査通知」という。)を行う場合の同項の規定の適用については、次の点に留意する。

(1) 旧通則法第65条第5項の規定は、納税義務者(旧通則法第74条の9第5項に規定する場合に該当するときは、納税義務者又は同項に規定する税務代理人(当該税務代理人について同条第6項に規定する場合に該当するときは、同項に規定する代表する税務代理人)に対して調査通知を行った時点から、適用されない。

(注)

  1. 1 この場合の税務代理人とは、調査通知を行う前に提出された旧通則法規則(法人税法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年財務省令第56号)による改正前の国税通則法施行規則をいう。)第11条の3第1項に規定する税務代理権限証書(同項に規定する納税義務者への調査の通知は税務代理人に対してすれば足りる旨の記載があるものに限る。)に係る税務代理人(以下「同意のある税務代理人」という。)をいう。
  2. 2 同意のある税務代理人が数人ある場合には、いずれかの税務代理人(旧通則法第74条の9第6項に規定する代表する税務代理人を定めた場合は当該代表する税務代理人)に対して調査通知を行った時点から、旧通則法第65条第5項の規定は適用されない。

(2) 調査通知を行った場合において、調査通知後に修正申告書が提出されたときは、当該調査通知に係る調査について、実地の調査が行われたかどうかにかかわらず、旧通則法第65条第5項の規定の適用はない。

(3) 調査通知後の修正申告書の提出が、次に掲げる場合には、調査通知がある前に行われたものとして取り扱う。

1 当該調査通知に係る調査について、旧通則法第74条の11第1項の通知をした後又は同条第2項の調査結果の内容に基づき納税義務者から修正申告書が提出された後若しくは旧通則法第29条第1項に規定する更正若しくは旧通則法第32条第5項に規定する賦課決定をした後に修正申告書が提出された場合

2 納税義務者の事前の同意の上、同一連結事業年度の連結法人税の調査について、移転価格調査とそれ以外の部分の調査に区分する場合で、当該調査通知に係る調査の対象としなかった部分に係る修正申告書が提出された場合。
 ただし、当該修正申告書に当該調査通知に係る調査の対象としている部分が含まれる場合には、当該調査通知に係る調査の対象としている部分は、調査通知がある前に行われたものとして取り扱わない。

3 連結法人税の調査について、当該調査通知に係る調査の対象としなかった連結子法人に係る旧法人税法(所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)による改正前の法人税法をいう。)第81条の25((連結子法人の個別帰属額等の届出))の規定による個別帰属額の届出書に記載された内容に係る修正申告書が提出された場合。
 ただし、当該修正申告書に当該個別帰属額の届出書に記載された内容に係る部分以外の部分が含まれる場合には、当該個別帰属額の届出書に記載された内容に係る部分以外の部分は、調査通知がある前に行われたものとして取り扱わない。

4 事前確認(平成13年6月1日付査調7−1ほか3課共同「移転価格事務運営要領の制定について」(事務運営指針)又は平成28年6月28日付査調7−1ほか3課共同「恒久的施設帰属所得に係る所得に関する調査等に係る事務運営要領の制定について」(事務運営指針)に定める事前確認をいう。)の内容に適合させるための修正申告書が提出された場合。
 ただし、当該修正申告書に当該事前確認の内容に適合させるための部分以外の部分が含まれる場合には、当該事前確認の内容に適合させるための部分以外の部分は、調査通知がある前に行われたものとして取り扱わない。

5 当該修正申告書が、例えば、消費税及び地方消費税について更正の請求に基づく減額更正が行われたことに伴い提出された場合。
 ただし、当該修正申告書に当該減額更正に係る部分以外の部分が含まれる場合には、当該減額更正に係る部分以外の部分は、調査通知がある前に行われたものとして取り扱わない。

第2 無申告加算税の取扱い

(期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる事実)

1 旧通則法第66条の規定を適用する場合において、災害、交通・通信の途絶その他期限内に申告書を提出しなかったことについて真にやむを得ない事由があると認められたときは、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があるものとして取り扱う。

(期限後申告書等の提出が決定又は更正があるべきことを予知してされたと認められる場合)

2 第1の2の取扱いは、旧通則法第66条第1項、第6項又は第7項の規定を適用する場合において、期限後申告書又は修正申告書の提出が決定又は更正があるべきことを予知してされたものである場合の判定について準用する。

(調査通知に関する留意事項)

3 第1の3の取扱いは、調査通知を行う場合の旧通則法第66条第6項の規定の適用について準用する。

(無申告加算税を課す場合の留意事項)

4 旧通則法第66条の規定による無申告加算税を課す場合には、次のことに留意する。

(1) 申告書が期限後に提出され、その期限後に提出されたことについて旧通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められた場合又は同条第7項の規定の適用があった場合において、当該申告について、更に修正申告書の提出があり、又は更正があったときは、当該修正申告又は更正により納付することとなる税額については無申告加算税を課さないで旧通則法第65条の規定による過少申告加算税を課す。

(2) 旧通則法第66条第5項において準用する旧通則法第65条第4項第1号に定める正当な理由があると認められる事実は、第1の1に定めるような事実とする。

(3) 旧通則法第119条第4項の規定により無申告加算税又は重加算税の全額が切り捨てられた場合には、旧通則法第66条第4項に規定する「無申告加算税(……)又は重加算税(……)を課されたことがあるとき」に該当しない。

(4) 旧通則法第66条第4項の規定の適用上、連結法人の行為に基因する同項に規定する無申告加算税等(以下(4)において「無申告加算税等」という。)は、連結親法人が課されたことがあるものとして取り扱う。
 また、連結親法人の連結納税を適用する前の各事業年度の法人税について無申告加算税等を課された場合であっても、無申告加算税等が課されたことがあるものとして取り扱う。

(注) 連結法人(連結親法人を除く。)の連結納税を適用する前の各事業年度の法人税について無申告加算税等を課されていたとしても、当該連結親法人について無申告加算税等を課されたことがあるときには該当しない。

第3 過少申告加算税額等の計算

(累積増差税額等に含まれない税額)

1 旧通則法第65条第3項第1号に規定する累積増差税額には、同条第5項の規定の適用がある修正申告書の提出により納付すべき税額は含まれないものとし、旧通則法第66条第3項に規定する累積納付税額には、同条第6項の規定の適用がある期限後申告書又は修正申告書の提出により納付すべき税額は含まれないものとする。

(注) 旧通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書又は旧通則法第66条第6項の規定の適用がある期限後申告書若しくは修正申告書において、第1の3(3)の取扱いによって、調査通知がある前に行われたものとして取り扱われないものが含まれる場合は、これに対応する納付すべき税額は、それぞれ旧通則法第65条第3項第1号に規定する累積増差税額又は旧通則法第66条第3項に規定する累積納付税額に含まれることに留意する。

(過少申告加算税又は無申告加算税の計算の基礎となる税額の計算方法)

2 過少申告加算税又は無申告加算税の計算の基礎となる税額を計算する場合において、旧通則法第65条第4項第1号(旧通則法第66条第5項において準用する場合を含む。)の規定により控除すべきものとして旧通則法令(法人税法施行令等の一部を改正する政令(令和2年政令第207号)による改正前の国税通則法施行令をいう。)第27条第1項第1号に規定する正当な理由があると認められる事実(以下「正当事実」という。)のみに基づいて更正、決定、修正申告又は期限後申告(以下「更正等」という。)があったものとした場合の税額の基礎となる連結所得金額は、その更正等があった後の連結所得金額から正当事実に基づかない部分の連結所得金額(以下「過少対象連結所得」という。)を控除して計算する。

(過少対象連結所得の計算)

3 過少対象連結所得は、正当事実以外の事実に基づく益金の額及び損金の額を基礎として計算する。

(修正申告書又は期限後申告書の提出が調査通知後に行われた場合の留意事項)

4 第1の3(3)2から5までのただし書の取扱い(第2の3において準用する場合を含む。)を行う場合において、過少申告加算税又は無申告加算税の計算の基礎となる税額を計算するときは、次の点に留意する。

(1) 旧通則法第65条第1項に規定する過少申告加算税の計算の基礎となる税額を計算する場合には、過少対象連結所得から第1の3(3)2から5までのただし書の調査通知がある前に行われたものとして取り扱う部分の連結所得金額を控除して計算する。

(2) 旧通則法第66条第1項に規定する無申告加算税の計算の基礎となる税額を計算する場合には、過少対象連結所得から第1の3(3)2から5までのただし書の調査通知がある前に行われたものとして取り扱う部分の連結所得金額を控除して計算する。

(注) 第2の3により準用される第1の3(3)2から5までのただし書の調査通知がある前に行われたものとして取り扱う部分には旧通則法第66条第6項の規定が適用される。

(重加算税について少額不徴収に該当する場合の過少対象連結所得金額の計算)

5 旧通則法第119条第4項の規定により重加算税を課さない場合には、その課さない部分に対応する連結所得金額は、過少対象連結所得に含まれないのであるから留意する。