課法2-6
課総5-1
査調4-3
査察1-4
平成16年3月26日
改正 平成23年6月30日
改正 平成27年2月13日
改正 平成28年12月12日
改正 令和4年6月30日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

標題のことについて、旧通則法(所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)による改正前の国税通則法をいう。以下同じ。)第68条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)

連結法人税(連結所得に対する法人税をいう。以下同じ。)の重加算税の賦課等に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

第1 賦課基準

(隠蔽又は仮装に該当する場合)

1 旧通則法第68条第1項又は第2項に規定する「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」とは、連結法人に、例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう。

(1) いわゆる二重帳簿を作成していること。

(2) 次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)があること。

1 帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿していること

2 帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っていること

3 帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は棚卸資産の除外をしていること

(3) 特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。

(4) 簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。

(5) 簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出していること。

(6) 連結親法人が同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。

(使途不明金及び使途秘匿金の取扱い)

2 連結法人の使途不明の支出金に係る否認金につき、次のいずれかの事実がある場合には、当該事実は、不正事実に該当することに留意する。
 なお、当該事実により使途秘匿金課税を行う場合の当該使途秘匿金に係る税額に対しても重加算税を課すことに留意する。

(1) 帳簿書類の破棄、隠匿、改ざん等があること。

(2) 取引の慣行、取引の形態等から勘案して通常その支出金の属する勘定科目として計上すべき勘定科目に計上されていないこと。

(帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない場合)

3 次に掲げる場合で、連結法人の当該行為が相手方との通謀又は証ひょう書類等の破棄、隠匿若しくは改ざんによるもの等でないときは、帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない。

(1) 売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、翌事業年度。(2)において同じ。)の収益に計上されていることが確認されたとき。

(2) 経費(原価に算入される費用を含む。)の繰上計上をしている場合において、その経費がその翌連結事業年度に支出されたことが確認されたとき。

(3) 棚卸資産の評価換えにより過少評価をしている場合。

(4) 確定した決算の基礎となった帳簿に、交際費等又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の費用科目に計上している場合。

(不正に繰戻し還付を受けた場合の取扱い)

4 連結親法人が旧法人税法(所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)による改正前の法人税法をいう。以下同じ。)第81条の31の規定により連結欠損金額につき繰戻し還付を受けた場合において、当該連結欠損金額の計算の基礎となった事実のうちに不正事実に該当するものがあるときは、重加算税を課すことになる。

(隠蔽仮装に基づく連結欠損金額の繰越しに係る重加算税の課税年度)

5 前連結事業年度以前の連結事業年度において、不正事実に基づき連結欠損金額を過大に申告し、その過大な連結欠損金額を基礎として連結欠損金額の繰越控除をしていた場合において、その繰越控除額を否認したときは、その繰越控除をした連結事業年度について重加算税を課すことになる。
 なお、連結欠損金額の生じた連結事業年度は正しい申告であったが、繰越連結欠損金額を控除した連結事業年度に不正事実に基づく過少な申告があり、その後の連結事業年度に繰り越す連結欠損金額が過大となっている場合に、当該その後の連結事業年度において過大な繰越連結欠損金額を基礎として繰越控除をしているときも同様とする。

(注) 繰越控除をした連結欠損金額のうちに旧法人税法第81条の9第2項の規定により連結欠損金額とみなされた欠損金額又は連結欠損金個別帰属額がある場合において、その連結欠損金額とみなされた金額が不正事実に基づき過大に繰り越されているときについては、本文の取扱いを準用する。

(隠蔽仮装に基づく合併前事業年度等の欠損金相当額の損金算入に係る重加算税の課税年度)

6 旧法人税法第81条の9第4項の規定を適用するに当たり、同項に規定する他の連結法人が合併の日の前日又は残余財産の確定の日の属する事業年度において欠損金額を不正事実に基づき過大に申告し、その過大な欠損金額を同項に規定する連結法人が合併の日の属する連結事業年度又は残余財産の確定の日の翌日の属する連結事業年度の損金の額に算入していた場合において、その損金算入額を否認したときは、その損金算入をした連結事業年度(連結所得金額が生じるものに限る。)について重加算税を課すことになる。
 なお、その損金算入額を否認してもその損金算入をした連結事業年度では連結所得金額が生じなかったため、その後の連結事業年度に繰り越す連結欠損金額が過大となっている場合には、その過大な繰越連結欠損金額を基礎として繰越控除をしている連結事業年度について重加算税を課すことになる。

第2 重加算税の取扱い

(旧通則法第68条第4項の規定の適用に当たっての留意事項)

旧通則法第68条第4項の規定の適用に当たっては、次の点に留意する。

(1) 旧通則法第119条第4項の規定により無申告加算税又は重加算税の全額が切り捨てられた場合には、旧通則法第68条第4項に規定する「無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるとき」に該当しない。

(2) 旧通則法第68条第4項の規定の適用上、連結法人の行為に基因する同項に規定する無申告加算税等(以下(2)において「無申告加算税等」という。)は、連結親法人が課されたことがあるものとして取り扱う。
 また、連結親法人の連結納税を適用する前の各事業年度の法人税について無申告加算税等を課された場合であっても、無申告加算税等が課されたことがあるものとして取り扱う。

(注) 連結法人(連結親法人を除く。)の連結納税を適用する前の各事業年度の法人税について無申告加算税等を課されていたとしても、当該連結親法人について無申告加算税等を課されたことがあるときには該当しない。

第3 重加算税の計算

(重加対象税額の計算の基本原則)

1 重加算税の計算の基礎となる税額は、旧通則法第68条及び旧通則法令(法人税法施行令等の一部を改正する政令(令和2年政令第207号)による改正前の国税通則法施行令をいう。)第28条の規定により、その基因となった更正、決定、修正申告又は期限後申告(以下「更正等」という。)があった後の税額から隠蔽又は仮装をされていない事実だけに基づいて計算した税額を控除して計算するのであるが、この場合、その隠蔽又は仮装をされていない事実だけに基づいて計算した税額の基礎となる連結所得金額は、その更正等のあった後の連結所得金額から不正事実に基づく連結所得金額(以下「重加対象連結所得」という。)を控除した金額を基に計算する。

(重加対象連結所得の計算)

2 第3の1の場合において、重加対象連結所得の計算については、次による。

(1) 不正事実に基づく費用の支出等を認容する場合には、当該支出等が不正事実に基づく益金等の額(益金の額又は損金不算入額として連結所得金額に加算するものをいう。以下同じ。)との間に関連性を有するものであるときに限り、当該支出等の金額は不正事実に基づく益金等の額の減算項目とする。

(2) 交際費等又は寄附金のうちに不正事実に基づく支出金から成るものとその他の支出金から成るものとがあり、かつ、その交際費等又は寄附金のうちに損金不算入額がある場合において、当該損金不算入額のうち重加算税の対象となる金額は、その損金不算入額から不正事実に基づく支出がないものとして計算した場合に計算される損金不算入額を控除した金額とする。

(3) 過大に繰越控除をした連結欠損金額のうちに、不正事実に基づく過大控除部分と不正事実以外の事実に基づく過大控除部分とがある場合には、過大に繰越控除をした連結欠損金額は、まず不正事実に基づく過大控除部分の連結欠損金額から成るものとする。

(不正に繰戻し還付を受けた場合の重加対象税額の計算)

3 第1の4に該当する場合において、当該連結欠損金額のうちに不正事実に基づく部分と不正事実以外の事実に基づく部分とがあるときは、重加算税の計算の基礎となる税額は、次の算式により計算した金額による。

算式の図

(重加算税を課す連結留保金額の計算等)

4 連結親法人が特定同族会社である場合において、重加対象連結所得から留保した部分の金額(以下「連結留保金額」という。)に対して課される旧法人税法第81条の13第1項((連結特定同族会社の特別税率))の規定による法人税額については、重加算税を課すことになる。この場合、その課税の対象となる連結留保金額は、更正等の後の連結留保金額から重加算税を課さない部分の連結留保金額を控除して計算するものとし、その重加算税を課さない部分の連結留保金額の計算については、その計算上控除すべき旧法人税法第81条の13第2項の法人税額及び地方法人税額並びに道府県民税及び市町村民税の額は、それぞれ次に掲げる金額による。

(1) 法人税額 その不正事実以外の事実に基づく連結所得金額について計算した金額

(2) 地方法人税額 その不正事実以外の事実に基づく連結所得金額を基礎として計算した金額

(3) 道府県民税及び市町村民税の額 原則として当該更正等がある前の各連結法人の個別所得金額を基礎として計算した金額の合計額(旧通則法第65条第4項第1号に規定する正当な理由があると認められる事実がある場合には、当該事実のみに基づく更正等があったものとした場合の各連結法人の個別所得金額を基礎として計算した金額の合計額)